藤田医科大学では、PET(陽電子放射線断層撮影)装置を有するセラノスティクスセンターが2024 年5月から稼働しています。セラノスティクス(Theranostics)は治療(Therapy)と診断(Diagnostics)を合わせた造語で、がんの診断と治療を一体化して行う手法です。しかし、脳の神経変性疾患に関して、病気の進行を止め、治癒させる治療は未だ登場していません。
本部門では、神経変性疾患の臨床症状、MRI、PET、血液や髄液のバイオマーカーなど様々な情報を統合し、新たな予防や治療法開発の「シーズ」を明らかにしていくことに取り組んでいます。特に、神経変性疾患の発症前や初期段階において、神経変性疾患を治すという、本当の意味で「治療」できる世の中にすることを目標にしています。脳のあらゆる情報を統合し、新規治療の手がかりを見出す新しい分野として、脳治療情報学(BrainTheraInformatics)を立ち上げました。各臨床講座や、精神・神経病態解明センターの他部門をはじめ、国内外の研究機関と協力し、研究を推し進めていきます。

川畑　和也 講師

これまでパーキンソン病をはじめとした神経変性疾患に対して、主に頭部MRI画像を用いた脳内の機能に関連したネットワーク解明や、先進的な鑑別診断法の開発などの研究を行ってきました。この度、藤田医科大学でPETの撮像ができるようになり、これまで以上に神経変性疾患の病態に迫ることができます。新たに脳治療情報学の分野を切り開き、患者さんや社会への還元ができるよう、研究をすすめてまいります。