神経行動薬理学部門
研究内容概略
神経行動薬理学とは、脳の高次機能について個体の行動変化を観察することによって解析する科学です。私たちは、この神経行動薬理学の実験手法をベースに脳の高次機能(快・不快などの情動や学習・記憶)を解析や、精神疾患(統合失調症、薬物依存、双極性障害など)の発症メカニズムを分子から細胞、回路、そして個体に至るまで多階層レベルで研究しています。ICBSの一員として学内外の基礎や臨床系の研究室とも共同研究を実施し、常に世界に発信できる研究成果をあげることに主眼をおいて研究活動をおこなっています。
メンバー紹介
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永井 拓 教授
専門分野は、神経行動薬理学、神経化学です。快・不快など様々な感情の動作原理やその障害機序を明らかにして、新しい精神疾患の治療法や治療薬の開発を目指しています。
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張 心健 助教
中国江蘇省の出身で、日本に来て10年以上経ちます。この間に名古屋大学(貝淵研究室)で不快情動におけるリン酸化シグナルの解析に従事しました。現在は、報酬学習の分子メカニズムについて研究しています。
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窪田 悠力 助教
これまで、生活習慣が情動・認知機能に与える影響について研究を行ってきました。現在は、行動嗜癖に関わる神経回路の特定やリスク遺伝子に注目した精神疾患の病態機序の解明を目指しています。
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松原 崇紀 助教
これまで、遅発性筋痛の発生メカニズムの解明や、X線を用いた光遺伝学手法の開発に取り組んでまいりました。現在は、UNC-CHのGrégory Scherrer研究室への留学をきっかけに、オピオイドを基盤とした薬物依存メカニズムの解明や、中枢神経系における疼痛・鎮痛メカニズムの解明を目指しています。
代表論文
- Lin Y-H, Yamahashi Y, Kuroda K, Faruk MO, Zhang X, Yamada K, Yamanaka A, Nagai T#, Kaibuchi K. Accumbal D2R-medium spiny neurons regulate aversive behaviors through PKA-Rap1 pathway. Neurocham. Int. 143, 104935, 2021. (#corresponding author).
- Wulaer B, Nagai T*#, Sobue A, Itoh N, Kuroda K, Kaibuchi K, Nabeshima T, Yamada K. Repetitive and compulsive-like behaviors lead to cognitive dysfunction in Disc1Δ2-3/Δ2-3 mice. Gene Brain Behav. e12478, 2018. (*co-first author, #corresponding author).
- Nagai T, Nakamuta S, Kuroda K, Nakauchi S, Nishioka T, Takano T, Zhang X, Tsuboi D, Funahashi Y, Nakano T, Yoshimoto J, Kobayashi K, Uchigashima M, Watanabe M, Miura M, Nishi A, Kobayashi K, Yamada K, Amano M, Kaibuchi K. Phosphoproteomics of the dopamine pathway enables discovery of Rap1 activation as a reward signal in vivo. Neuron 89, 550–565, 2016.
- Nagai T, Ito M, Nakamichi N, Mizoguchi H, Kamei H, Fukakusa A, Nabeshima T, Takuma K, Yamada K. The rewards of nicotine: regulation by tissue plasminogen activator-plasmin system through protease activated receptor-1. J. Neurosci. 26, 12374-12383, 2006.
- Nagai T, Yamada K, Yoshimura M, Ishikawa K, Miyamoto Y, Hashimoto K, Noda Y, Nitta A, Nabeshima T. Tissue plasminogen activator-plasmin system participates in the rewarding effect of morphine by regulating dopamine release. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101, 3650-3655, 2004.
インフォメーション
神経行動薬理学部門
【所在地】
〒470-1192 愛知県豊明市沓掛町田楽が窪1番地98 藤田医科大学 大学1号館6階603号室(研究室)
【問い合わせ】
taku.nagai (at) fujita-hu.ac.jp / 0562-93-9957
※(at)を@に置き換えてください