医療ロボット・AIの実践

手術支援ロボット「Hugo」を含む外科手術トレーニング施設

大学・病院施設内へ国内初の設置

本学内に、世界的医療機器メーカー メドトロニック社が運営する外科手術のトレーニング施設「メドトロニック サージカル エクスペリエンスセンター」が2024年4月9日、開設されました。
センターには同社の手術支援ロボットHugoをはじめ、内視鏡手術機器、電気手術装置などの医療機器を揃え、医療従事者が開腹手術・腹腔鏡下手術・ロボット支援手術等の外科手術を包括的かつ実践的に学べるようになっています。

2024年4月 メドトロニック サージカル エクスペリエンスセンター開設式の様子

屋内配送向けサービスロボットの病院内実証実験

複数台ロボットとエレベータを連携した24時間運用を検証

ロボット複数台を運用

本学と川崎重工業株式会社、SEQSENSE株式会社、TIS株式会社は、医療従事者の負担軽減・業務効率化を目指す取り組みとして、サービスロボット(以下「ロボット」)を使った実証実験を藤田医大で開始しました。2021年10月以降、ロボットの種類や試験内容が異なる実証実験を続けており、最終段階のフェーズ3(2回目)にあたる今回は、TISが提供するマルチロボットプラットフォーム「RoboticBase®※1」を用い、ロボットとエレベータの連携を含む配送業務自動化を検証しました。

今回の実証実験で、エレベータやセキュリティドアなどのインフラ設備との連携を含む、ロボットを24時間連続で運用する上での課題などを確認した上で、藤田医大での2022年度内トライアルサービス開始(ロボット導入)に向けた最終準備を進めます。

※1. TISが提供するサービスロボットをインテグレーションするためのプラットフォーム。

2022年12月 実証実験の様子

手術支援ロボット「hinotori」トレーニング施設

本学は、日本初の国産手術支援ロボット「hinotori」のトレーニングおよび遠隔手術等の研究・実証実験施設として、「メディカロイド インテリジェンス ラボラトリー 名古屋(略称:MIL™-Nagoya)」を2021年1月、学内に開所しました。神戸に続き、国内で2カ所目のトレーニング施設となります。

「hinotori™」は、株式会社メディカロイドが開発した日本初の国産手術支援ロボットです。手術器具や内視鏡を取り付けた4本のアームが特徴で、医師は患者さんの体から離れたコックピットで内視鏡の立体画像を確認しながら遠隔でアームを操作して手術をします。臨床現場で使用するためには、医療従事者がMIL™-Nagoyaをはじめとするトレーニング施設で安全使用のためのプログラムを受講し、修了を認定される必要があります。

MIL™-Nagoyaでは、「hinotori™」のトレーニングおよび研究を基盤として、日本が得意とする根治性が高く合併症が少ない精緻な先端外科手術を広く浸透させるとともに、ロボットや高速通信、AIなどのテクノロジーを駆使した遠隔手術環境を構築する研究を進めています。

整形外科手術支援ロボット「ROSA」を国内初導入

2022年、藤田医科大学病院とばんたね病院に、アジア初となる人工股関節置換手術支援ロボット「ROSA Hip システム」が導入されました。
「ROSA」は、2007年にフランスで開発された神経外科領域・整形外科領域の手術支援ロボットで、藤田医科大学病院が、2020年9月に人工膝関節置換術用の「ROSA Kneeシステム」を国内初導入。この「Kneeシステム」に加え、同じロボットに新たに人工股関節用の機能を追加したものが、今回、両病院に配備した「ROSA Hipシステム」です。通常手技に近い感覚で術者の自由度が高く、効率的にロボットのサポートが受けられるため、熟練度に関わらず、安全で正確な手術が可能になり、良好な成績が期待できます。

手術支援ロボット「ダビンチ」

全国に先駆けてダビンチを導入した本学第1教育病院は、国内最多レベルの手術実績を誇ります。頭頸部外科領域での手術が可能になったため、全領域でのロボット支援手術を本学で実施できる環境が整いました。総合消化器外科、呼吸器外科、心臓血管外科、泌尿器科、産婦人科、耳鼻咽喉科のロボット使用可能全領域で手術をおこなえるのは、日本で本学のみです。
現在まで、ロボット支援手術の多くは悪性腫瘍(がん)に対して実施されてきました。今後は、小児領域や機能改善を目的とした低侵襲手術への応用が期待されています。大学病院であればこそ保険未収載の新規手術にも先進的に挑戦し、今後もこの領域のオピニオンリーダーであるべく、新たな術式の拡大へも挑戦していく方針です。

ダビンチによる手術件数 6,018件

※2008年10月~2024年3月実績

リハビリテーションロボット

ウェルウォークWW-1000

2015年5月に誕生したリハビリテーションセンターには、本学・藤田医科大学病院と、トヨタ自動車をはじめさまざまなメーカーとが産学連携で開発したリハビリテーションロボットが多数設置されています。
ロボットを使ったリハビリは、自動計算された動きと迅速な反応速度により、「患者自身の力」を最大限に引き出すことができ、回復までのスピードを短縮することにつながります。

導入されている主なリハビリロボット

  • 歩行支援ロボット ウェルウォーク
  • 歩行練習ロボット GEAR
  • バランス練習ロボット BEAR
  • 上肢練習ロボット ReoGo, Magus
  • 対麻痺者自立歩行ロボット WPAL

自動調剤ロボット

藤田医科大学病院では、処方の7割を院内で調剤しており、その数は1日平均約1500人分に上ります。薬の取り出しや加工作業の一部を調剤ロボットによって自動化し、棚から錠剤を必要な量だけ取り出し、患者さんごとのトレーに入れる仕組みです。スピードの改善はもちろん、取り違えなどのミスを減らすことにもつながりました。調剤ロボットで減らした時間は、服薬指導などの患者さん対応に充てていきます。

  • 散剤調剤ロボット

  • 調剤室風景

AIホスピタルによる高度診断・治療システムの構築

本学は、株式会社日立ハイテクノロジーズと臨床検査の品質向上および効率化に向けた共同研究に関わる連携協定(以下、本協定)を締結しました。本協定に基づき、藤田学園内に新たな研究拠点を設置し、より安心・安全な医療の提供とともに、医療従事者における「働き方改革」など医療現場の課題解決につながる研究を連携して進めていきます。