プレスリリース

本大学病院は整形外科手術支援ロボット「ROSA」を 日本で初めて導入しました
~安全・安心な人工膝関節置換術の実現へ~

藤田医科大学病院(愛知県豊明市沓掛町田楽ヶ窪1番地98 病院長:湯澤由紀夫)は9月24日、より安全・安心な人工膝関節置換を実現するため、米国ジンマー・バイオメット社の整形外科用手術支援ロボット「ROSA Kneeシステム」を日本で初めて導入しました(オーストラリアを除くアジアでは2例目)。これまで術者の経験にゆだねられていた人工膝関節置換術における骨切りやインプラントの設置をロボットがアシストすることによって、低侵襲で合併症リスクの少ない手術をめざします。

2020年10月28日現在、当院整形外科では「ROSA Kneeシステム」による人工膝関節置換術をすでに4件実施し、良好な成績を収めています。

ROSAとは

「ROSA」は、2007年にフランスで開発された神経外科領域・整形外科領域の手術支援ロボットです。なかでも人工膝関節置換術のプログラムを組み込んだ「ROSA Kneeシステム」は、軟部組織のバランス調整や大腿骨回旋位決定など、術者の手技をより正確にサポートする機能がさまざまに備えられています。

ROSAの特長(先行機との相違点)

  • 通常手技に近い感覚で術者の自由度が高い
  • これまで気づかなかった誤差の範囲を数値として可視化。蓄積された数値をフィードバックすることで、より安全・安心な手術が可能に
  • 術者の経験にゆだねられていた骨切りの角度やインプラントの設置位置などを0.5°、0.5mmといった細かい単位で術中に微調整ができる。正確な手術が可能になり患者さんの満足度向上につながる
  • 経験やイメージではなく正確な数値で示されることで、術者のストレスを軽減

難易度が高いひざの手術を均てん化

人工関節がもとの関節のような自然な動きをするには、骨を整え、インプラント(人工関節)を適切な位置に置くことが重要です。しかし、インプラントの設置は、骨切り量や角度を含め術者の経験によるところが大きく、熟練度によって手術成績に差が出ることが課題でした。ROSAでは、ロボットのガイドによって正確性が担保されることで、熟練度にかかわらず良好な手術成績が期待できます。 

人工関節全置換術は保険適用

人工関節置換術には、部分置換と全置換があり、「ROSA Kneeシステム」では全置換術が保険適応となっています。 

健康寿命の延伸に向けて

「ひざが痛くて動けない」。関節痛は、腰痛と同様、健康寿命の延伸を妨げています。関節痛の多くを占める変形性膝関節症の症状がある人は全国で1,000万人いるとされ、重篤にもかかわらず「手術が怖い」と我慢されている人も多く、実際に手術を受けているのは年間9万5千件にとどまります。熟練したドクターの技術にさらにロボットの正確性・安全性というアシストを入れることで、人工関節置換術がより一般的になり、痛みから解放される人が増えること願ってやみません。そのためにも当院は、誰もが安全に手術を受けられるよう、ロボット支援手術を広め、健康寿命の延伸に寄与していきたいと考えます。
また将来的には、本学のサージカルトレーニングセンターで「ROSA」の実践的なプログラムが受講できるよう準備を進め、未来を担う整形外科医の育成にも取り組んでまいりたいと思います。