
Mixed dural pial arteriovenous fistulaの特徴に関する全国調査 (後ろ向き研究による実態調査)
本研究は埼玉医科大学中央倫理審査委員会の審査を受け、学長の承認を得て行われます。
本学では、医学系研究に協力して下さる方々(以下研究対象者)の利益と安全を守り、安心して研究に参加していただくように心がけております。こちらに記載されている研究については、研究・診療等により収集・保存された既存試料・情報を用いる研究で、直接研究対象者からインフォームド・コンセントを取得することが困難であるため、情報公開をさせていただいております。
こちらの文書は研究対象者の皆様に、情報公開をするとともに、可能な限り研究参加を拒否または同意撤回の機会を保障する為のものになります。
なお、研究参加を拒否または同意撤回されても一切の不利益はないことを明記させていただきます。
研究の実施体制
本研究の実施体制
【本学における研究組織】
研究責任者 熊本大学生命科学研究部画像診断解析学講座 特任教授 清末 一路
研究分担者 熊本大学生命科学研究部脳・心血管機能解析学共同研究講座
熊本大学病院脳神経外科(兼務) 特任准教授 賀耒 泰之
【研究事務局】
熊本大学病院脳神経外科
【研究全体の実施体制】
研究代表者 熊本大学生命科学研究部画像診断解析学講座 特任教授 清末 一路(研究代表者・情報解析)
【研究分担者】
名古屋大学医学部 脳神経外科 准教授 泉孝嗣(情報解析)
久留米大学医学部 放射線科 教授 田上秀一(情報解析)
富山大学医学部 脳神経外科 講師 秋岡直樹 (情報解析)
慶應義塾大学医学部 脳神経外科・専任講師 秋山武紀(情報解析)
岡山大学病院 脳神経外科 助教 平松匡文(情報解析)
大阪大学医学部 脳神経外科 特任助教 尾崎友彦(情報解析)
兵庫医科大学 脳神経外科 助教 立林洸太朗 (情報解析)
熊本大学病院 脳神経外科 特任准教授 賀耒泰之(情報解析、研究実務担当)
研究の目的及び意義
頭蓋内硬膜動静脈瘻(intracranial dural arteriovenous fistulas:以下DAVF)は硬膜および近傍の骨膜や骨内に動静脈短絡を形成するシャント性疾患で、時に頭蓋内出血などの重篤な症状を来すことからその診断と治療は重要です。
DAVFは通常外頚動脈分枝などの硬膜・硬膜外血管より供血され、静脈洞や脳表の硬膜に動静脈シャントを有し、静脈へ還流します。多くの症例では経カテーテル塞栓術にて根治します。DAVFの一部の症例では、DAVFの近傍に脳動脈と脳静脈が直接接続するpial AVFを合併する症例もあり、これらの症例は、Mixed dural pial arteriovenous fistula (Mixed dural pial AVF) と呼ばれています。
Mixed dural pial AVFは血管内治療での根治が困難であることが予測され、また、術前にpila AVFの合併の存在に気づかずにDAVFの治療を行った場合には出血性合併症をきたす危険性があります。本疾患は比較的稀ですが、血管造影などの診断機器の進歩により、mixed dural pial AVFと診断される症例は増加していると思われます。
しかし、未だ多数例で血管構築と血管内治療の治療成績を検討した報告はなく、その頻度や特徴についてのデータは乏しいです。またDAVFには皮質動脈より供血される(pial arterial supply)症例が約15%前後存在するとされていますが、mixed dural pial AVFとの異同や両者の鑑別に関する報告は見られません。
本研究において、Mixed dural pial AVFに関する臨床的特徴、血管構築、治療方法、および治療結果などに関する情報を、本邦の日本脳神経血管内治療学会(JSNET)専門医修練施設で協力して集積することで有益な知見が得られると考えられます。
1施設あたりの症例数が極めて少ない希少疾患であるため、全国でデータを集積し、その特徴を分析することで、臨床現場において各医師がMixed dural pial AVFを見落とすことなく適切に検査・診断と治療を行うことが出来るような情報を提供することが可能となり、本邦における頭蓋内動静脈短絡疾患の診療に非常に有益となることが期待されます。
研究方法と研究の対象
本研究は、2013年1月から2023年12月までの期間にMixed dural pial AVFと診断された患者さんを対象としています。本研究では、対象患者さんの既に行われている画像検査・治療手技の情報とカルテに記載されている診療情報を調査・解析します。画像検査とは治療前後の血管造影検査およびMRIやCT検査のことです。
また、診療情報とは診断名、症状、年齢、性別、手術記録、臨床転帰のことです。すべての情報は匿名化され研究事務局(熊本大学病院脳神経外科学教室)に郵送され、同教室で保存されます。画像評価・解析は、匿名化された画像情報を本研究の複数の共同研究者が事務局に集まり行います。
研究期間
倫理委員会承認日 ~ 2025年12月31日
試料・情報の取得期間
2013年1月1日 ~ 2023年12月31日
研究に利用する試料・情報
本院におきまして、治療前後,治療時に撮像された画像データを解析させていだきます。
治療前後の経過を把握するために、患者さんの電子カルテの診療記録(カルテ番号、診断名、年齢、性別、手術記録など)を調べさせていただきます。
本研究のために患者さんの画像データ及び診療記録(情報)を使用させていただきますことは熊本大学疫学・一般部門倫理委員会において厳正に審査され承認され、熊本大学生命科学研究部長の許可を得た上で実施しています。
また、患者さんの試料および診療情報は、国の定めた「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」に従い、匿名化したうえで管理しますので、患者さんのプライバシーは厳密に守られます。当然のことながら、個人情報保護法などの法律を遵守いたします。
個人情報の取扱い
本研究に用いた画像データ(治療前後,治療時に撮像された画像)および診療情報(診断名、年齢、性別、手術記録など)については論文発表後10年間の保存を基本としており、保存期間終了後は、パソコンなどに保存している電子データは復元できないように完全に削除します。
【外部への情報の提供】
本研究の患者さんの情報の提供については、特定の関係者以外がアクセスできない状態で行います。なお、外部へ提供する際は、研究対象者である患者さん個人が特定できないよう、氏名の代わりに記号などへ置き換えますが、この記号から患者さんの氏名が分かる対応表は、熊本大学生命科学研究部画像診断解析学講座の研究代表者が保管・管理します。なお、取得した情報を提供する際は、記録を作成し熊本大学生命科学研究部画像診断解析学講座で保管します。
【情報の管理についての責任者】
熊本大学生命科学研究部画像診断解析学講座 特任教授 清末一路
研究成果に関する情報の開示・報告・閲覧の方法
この研究で得られた結果は、本研究の患者さんが説明を望む場合に、患者さんに対してのみ行い、たとえ、患者さんの家族に対しても、患者さんの承諾または依頼なしに結果を説明することはいたしません。なお、研究の進行状況やその成果、学術的な意義については、患者さんの求めに応じて、開示できる範囲でご説明いたします。
利益相反について
この研究は,日本脳神経血管内治療学会2024年学術集会の資金を用いて研究が行われ,患者さんの費用負担はありません。また,特定の企業からの資金も用いません。
「利益相反」とは,研究成果に影響するような利害関係を指し,金銭および個人の関係を含みますが,本研究ではこの「利益相反(資金提供者の意向が研究に影響すること)は発生しません。
本研究は費用の出資者の利益や意向に影響されることなく公正に行うことを約束します。本研究の利害関係の公正性については、熊本大学大学院生命科学研究部等医学系研究利益相反委員会の承認を得ております。
今後も、当該研究経過を熊本大学大学院生命科学研究部長へ報告すること等により、利害関係の公正性を保ちます。
本研究参加へのお断りの申し出について
本研究へ情報を提供するかしないかは患者さんご自身の自由です。従いまして、本研究に情報を使用してほしくない場合は、遠慮なくお知らせ下さい。その場合は、患者さんの情報は研究対象から除外いたします。
また、ご協力いただけない場合でも、患者さんの不利益になることは一切ありません。なお、これらの研究成果は学術論文として発表することになりますが、発表後に参加拒否を表明された場合、すでに発表した論文を取り下げることはいたしません。
患者さんの情報を使用してほしくない場合、その他、本研究に関して質問などがありましたら、主治医または以下の照会先・連絡先までお申し出下さい。
本研究に関する問い合わせ
本研究に関するご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。ご希望があれば、他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で、研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますのでお申出下さい。
【照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先】
住所:〒860-8556 熊本県熊本市中央区本荘1-1-1
電話:096-373-5261
研究責任者:熊本大学生命科学研究部画像診断解析学講座特任教授 清末一路(きよすえ ひろ)