[研修医・学生の皆様へ]
先輩からのメッセージ
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vol.004 小嶋 大二朗先生
私は幼い頃より絵を描くことや物を作ることが好きでした。また、ヒトの意識や思考に興味があり、医師になることを志したときには、既に漠然と脳神経外科医になりたいと考えておりました。脳神経外科を目指した理由は枚挙に遑がありませんが、特に二つあげさせて頂くと【手術による救命】と【緻密な解剖】に魅力を感じた、ということになると思います。研修医で脳神経外科をローテートした時に、緊急疾患に対し、手術手技がダイレクトに救命につながる様を目の当たりにし、それまで漠然と抱いていた憧れは、この科なら必ずやりがいを持って働くことができるだろうという強い確信へと変わりました。
病変に到達するのに、正常の脳を通過しなければならないこともあり、その際は、骨や脳の繊維の解剖と機能を熟知した上で綿密に手術計画を立てる必要があります。
脳神経外科とは、大胆でいて繊細という、相反するものが共存している科であると思い至り、その守備範囲の広さから「もうこの科からは逃げられないな」と直感し、早々に藤田医科大学脳神経外科への入局を決断いたしました。
実際に脳神経外科医として勤務いたしますと、脳神経外科入局を決めた時に考えていたことや見えていたことは脳神経外科学のほんの一部に過ぎないことに気がつきました。急性期対応の多い科の人気がなくなっている昨今で、急性期診療に対する熱い気持ちを持たれている方は一人でも多く歓迎いたしますが、急性期診療は脳神経外科の一部にしか過ぎません。例としてお話ししますと、てんかんは慢性の脳の病気と定義され、急性期の脳卒中や頭部外傷などの治療の後にも慢性期の治療が必要となります。てんかんに悩まれる方も少なくありません。
さらに、脳卒中治療においては、急性期になる前の、特に予防的な診療が大きな役割を持つのではないかと考えます。研修医の先生を勧誘し、残念ながら断られてしまう場合に、「いや、脳外科は急性期なので、僕(私)には無理です」という声を多く聞きます。実は、脳神経外科において急性期診療は一つの側面に過ぎず、実際は予防段階から慢性期まで診療を行い、サブスペシャリティーは多岐に渡ります。どこにやりがいや魅力を感じるかは人それぞれであり、まだ進む科が決まっていない学生や研修医の先生の中には、知ってみたら、とあるサブスペシャリティーに非常に興味がわいてきたという方がいらっしゃってもおかしくないと思います。藤田医科大学病院には外傷・血管障害・脳腫瘍(良性/悪性)・間脳下垂体腫瘍・機能外科・小児脳神経・脊髄外科にエキスパートがおり、多様な診療を行い、指導体制も整っておりますので、脳神経外科にあまり興味がなかった方でも、一度ご見学いただけると何か心に響くものがあるのではないかと思います。また藤田医科大学病院は国内一の病床数を誇り、日夜多く救急症例を受け入れておりますので脳神経外科として経験すべき一般的な疾患を多く経験した上で、専門性の高い疾患の経験を積むことができる環境であると考えます。
医局の雰囲気については、ご見学いただければ、雰囲気の良さを実感していただけるかと思います。現在私は他施設勤務のため参加できておりませんが、カンファレンスは非常に教育的であり当医局の財産と言えます。上級医の先生方からは脳神経外科としての基本を教わっただけでなく、自身では出来なかった、日々の臨床における疑問点や違和感を言語化し答えを探すヒントを与えていただきました。その結果として、培われたリサーチマインドはかけがえのないものだと感じております。専攻医が術前カンファレンスで、担当症例について発表する機会があり、ここで手術方法や予測される術野を図示したものとして術前イラスト(図①、③)を提示します。専攻医にとって日常診療の中でも重要なウェイトを占めるものであり、手術書を読み漁り、画像所見や模型や解剖アトラスとにらめっこしながら術前イラストを描き、年次の近い同僚と討論した日々を非常に懐かしく思います。術前カンファレンスで症例提示することで上級医の先生方から適切なフィードバックを頂き、さらに術後イラスト(図③)を提示することで貴重な手術症例から多くの学びを得られたと考えております。また当医局ではCadaver training(ご献体で手術トレーニングをさせて頂くこと)を行っております。医療の発展・進歩を願ってご献体いただいた方へのお気持ちに応えるべく、ひとつの知識も洩らさないぞと気を引き締めて臨み、スケッチ(図④)をもとに後日も同僚と復習した思い出があります。学びが盛んであることは当医局の気風であり、特に専攻医として研鑽される環境として大変お勧めできます。
いつの日か共に学び、診療できることを心より願っております。
2022年掲載
vol.003 東口 彩映子先生
私は学生の時に未破裂脳動脈瘤の開頭クリッピング術手術見学をした際に、術野のきれいさに感銘を受け、脳神経外科を志望しました。満ち引きする髄液、拍動する脳、半透明な血管の中を走る血液が見える…というようなきれいな術野の状況が、当時外科系志望をしていた私にとって輝いて見えました。また、当時大学病院におられた女性の脳神経外科医が執刀されていたことが強く印象に残っており、緊張感の漂うカンファレンスでの綿密な術前計画や多様な疾患の提示、NCUの環境、医局員の人柄や親身になって教えてくださる姿を見て、また、卓上顕微鏡での血管の縫合練習を含めた研修医向けセミナーなどに参加し、入局を決意しました。
初期研修は、大垣市民病院で全科ローテートをし、救急外来での当直と外科系、麻酔科に力を入れました。
脳神経外科入局後1年目はNCU(neurosurgical care
unit)に従事し、毎日のNCUカンファレンスと重傷頭部外傷や脳卒中急性期、緊急の脳腫瘍疾患などの手術に参加し、全身集中管理を学びました。その後は大学病院では主に脳腫瘍や外傷の手術や管理と急性期脳卒中疾患を学びました。カンファレンスには緊張感があり、準備にも勉強・画像の読み込み・術前イラスト作成など時間とストレスはかかり、たくさんの上級医の前でプレゼンをするたびに毎回震えていましたが、治療方針や最新の動向、意見やアドバイス、専門医試験のための鍛錬という意味でとても親身になって教えてくださり、とてもためになる機会であると思います。また、大学病院には専門医以上の先生方で構成される脳卒中科があり、当直オンコールの際や週に1回ある脳卒中担当の際には専門性の高い内容を教えていただきながら手術等に入らせていただいたり、脳卒中科のカンファレンスに参加させていただいたりと、とても良い刺激であると思っています。また、連携施設や関連施設で脳血管障害の手術や管理、外来診療を学ぶ機会もあります。
現在は、関連施設で修行させていただいています。
プライベートでは、妊娠・出産をし、夫と協力しながら職場復帰をしました。出産し育児をしながらも仕事を続けることができているのは、周りの先生方にご迷惑をかけることが多いのですが、先生方の理解や配慮があってのことだと痛感し、感謝しながら仕事をしております。仕事も家庭も諦めなくてよかったと思っています。
脳神経外科に入局するにあたり女性は少ないし果たして仕事をこなせるのか、など色々考えるところはあり、勇気はいりました。色々と気にかけてくださる上司、教育的な上司、また、頼もしい同期と後輩に恵まれ、楽な仕事ではありませんが、日々がとても刺激的であり、入局してよかったと思っています。一緒にお仕事ができることを楽しみにしています。
2021年掲載
vol.002 公文 将備先生
私は他大学出身ですが、藤田医科大学を選択した理由は、医局全体の雰囲気が良く、更に多くの症例を経験することができると感じたからです。まず、働いている医局員は、藤田医科大学卒業の先生の他に、多くの他大学出身の先生が在籍していますが、医局内の派閥などは一切ありません。どの先生も親密に相談に乗って下さり、指導も非常に細かく丁寧です。私自身も、興味のある領域に非常に熱心に指導していただいております。女性の先生も在籍しており、育児を行いながら臨床も行うなど、家庭と仕事を両立されている先生が多くいらっしゃいます。
また、現在はコロナウイルスにより中断されておりますが、脳神経外科の野球大会にも毎年多くの医局員で参加し、なかなか良い成績を収めているなど、仕事以外のことに対しても団結力があり、とても雰囲気のよい医局だと思いました。
また当院では多くの症例を経験することができることも魅力の一つでした。当院は三次救急まで対応しているため、重度の交通外傷症例も多く、また疫学的に少ない脳腫瘍の手術を毎週行うなど、多くの症例を経験することが可能です。最近は、小児症例や機能外科症例も増えており、後期研修医および専門医取得後の選択を考えるにおいては非常に優れた環境ではないかと思います。また当院では脳神経外科は脳卒中科と分かれていますが、脳卒中科の先生とともに脳卒中患者の治療に関わることも多く、カンファレンスも合同で行っております。そのため血管内治療およびクリッピング術などの開頭手術も多く経験することが可能で、脳卒中に興味のある先生方も多くの症例を経験することができます。もちろん教育体制も整っており、カンファレンスでは多くの助言や指導を頂けるため、専門医の勉強を行うにはとても充実したよい環境であると思います。
その他、関連病院も本院から1時間以内に通える病院がほとんどで、更に症例数の多い活発な病院がほとんどです。単身赴任をされている先生方は少なく、家族との時間も大事に過ごすことが可能です。昔は疲労困憊で働く忙しい医師はかっこいいと思われていた時代もあったかと思いますが、時代とともに受け入れられ難くなっております。その点では、当科は当直回数も昔と比較して減少しており、労働環境も年々改善されているなど、医局員を大事に考えてくれる医局だと思います。
少しでも興味を持ってくださった先生がいらっしゃれば、是非とも一度見学にいらっしゃってください。
今後も多くの若い先生方とともに、雰囲気の良い医局で一緒に働けますことを心より願っております。
2020年掲載
vol.001 藤原 英治先生
私は外科系志望を研修医早々から決断しておりましたが、研修医2年目の締め切りギリギリまで志望科を決められなかった事が今でも良く思い出されます。
数ある外科系の科から脳神経外科を選んだのは、
① その疾患特異性から、緊急、救急疾患がある事
② 腫瘍、血管外科、外傷、機能外科、脊椎、小児など分野が幅広く、また直達(開頭、脊椎、頸動脈狭窄)手術、血管内手術、神経内視鏡手術など術式も多岐に渡る事
主に上記2つが志望理由と考えております。
① については、外傷、脳卒中、一部の脳腫瘍などが代表的で、短時間で
高度な判断が求められる事も多く、
当然、手術場も緊迫した様相になり、神経を擦り減らす事となりますが、そのような環境に身を置きチームの一員となる事で、一外科医として成長できると考えたからです。そして、患者さんを救うことでより一層の達成感を得ることができるからです。
② については、恐らく一生脳神経外科医であっても、全ての脳神経外科のサブスペシャリティ領域について習熟出来ないであろう程 多岐に渡っており、それが故に興味が尽きる事はありません。本病院においては、それぞれの専門分野のスペシャリストがいるために、その観点からの意見を鑑みて、症例毎に最良と思われる治療を行っており、「これだけ様々な手術があれば、この中の何か一つに夢中になれるであろう」と思う所存で、日々勉強させて頂いている所です。
私自身の苦い経験を申せば、研修医時代に 当院内の他施設見学に
行く機会があまりなかった為、自分の職場である脳卒中・脳神経外科の救急病棟(NCU)の場所がどこにあるか分からず、広い大学病院の中で迷子になったこともありました。
また、研修医時代に経験しなかった疾患、治療法も多く、当初は大分苦労しましたが、 そのような自分が現在何とかやっていけているのは、現職場、また関連施設で、厳しく、時に
温かい指導を頂いた結果であると考えております。
当病院は国内最大の病床数、そして、国内有数の手術件数を誇る病院であり、少人数で多忙ながらも充実した日々を過ごしている現状です。専攻医選択においては是非考慮すべき環境かと存じますので、皆様からの見学、
また御連絡をお待ちしております。
一緒に、脳神経外科医として働きましょう。
2020年掲載