脳動脈瘤に対するコイル塞栓術における術中破裂時の塞栓物質としての
N-Butyl-2-cyanoacrylateの有用性及び安全性について

本研究は藤田医科大学の医学研究倫理審査委員会で審査され、学長の許可を得て実施しています。

研究の対象

2010年1月~2023年10月に藤田医科大学病院脳神経外科及び藤田医科大学岡崎医療センター脳神経外科で脳動脈瘤に対してコイル塞栓術を施行された方

研究目的・方法・研究期間

近年、未破裂・破裂脳動脈瘤の治療においてコイル塞栓術が行われる機会が増えています。そしてコイル塞栓術の重大な合併症として、動脈瘤塞栓時の術中破裂が挙げられます。もし術中破裂をした場合、従来は動脈瘤に開いた孔を塞ぐように動脈瘤内外でコイルを追加塞栓することで止血を得るのが定石となっています。しかしながら、動脈瘤ネック近傍で動脈瘤が裂けている場合や、小径の動脈瘤でコイルを追加できない場合などにおいてコイルの追加塞栓では止血が得られず、最終的に不幸な転帰辿る場合が散見されます。当科ではかねてより、術中破裂した際に上述の従来法で対処しても止血が得られない場合は、しばしば液体塞栓物質であるN-Butyl-2-cyanoacrylate (NBCA)を緊急的に用いて止血をし、良好な治療結果を得てきました。NBCAは液体塞栓物質であるため、動脈瘤に対して使用すると動脈瘤から母血管に漏出して脳梗塞を引き起こすリスクがある一方で高い止血効果を有しており、感染性動脈瘤に起因する仮性動脈瘤や脳動脈奇形の治療など幅広い疾患で使用されています。しかしながら動脈瘤術中破裂時のNBCAの使用に関してこれまでに2本の症例報告があるのみで1,2、その安全性や有効性について検討した報告はありません。本研究では、これまでに当科で手術した動脈瘤塞栓術のうち、動脈瘤術中破裂時にNBCAを使用した群と使用しなかった群を比較することでNBCAの有効性と安全性を検討することを目的としています。

参考文献:
1: Farhat HI, Elhammady MS, Aziz-Sultan MA. N-Butyl-2-cyanoacrylate use in intraoperative ruptured aneurysms as a salvage rescue: case report. Neurosurgery.2010;67(1):216-217. doi:10.1227/01.NEU.0000370014.67631.FF

2: Patsalides A, Smith M, Gobin YP. Intra-procedural aneurysm rupture treated with n-butyl cyanoacrylate embolization: technical note. J Neurointerv Surg. 2010 Jun;2(2):145-6. doi: 10.1136/jnis.2009.001180.

研究に用いる試料・情報の種類

情報:性別、年齢、術前症状、診療記録、臨床検査データ、術前後画像検査データ、手術画像等

外部への試料・情報の提供

無し

研究組織

本学の研究責任者:
藤田医科大学岡崎医療センター 脳神経外科 講師 山城慧

研究分担者:
藤田医科大学岡崎医療センター 脳神経外科 助教 東口彩映子
藤田医科大学 医学部 脳神経外科 助教 藤原英治

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照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先

藤田医科大学岡崎医療センター 脳神経外科
担当者:講師 山城慧
愛知県岡崎市針崎町五反田1番地
電話 0564-64-8800