脳神経外科コラム
Column
【頭痛】長時間、首を曲げたままにしていませんか?2024年8月21日(改訂)
頭痛を認めたとき、まず脳腫瘍、脳出血などの生命に関わるようなものが潜んでいないかを確認する必要があります。これらを除外した上で、その原因についてさらに評価をしていく必要があります。 頭痛には様々な生じ方がありますが、例えば
- 頭の後ろのドーンとした重たい感じ
- 頭の後ろのズキズキする痛み
- 首から肩にかけての張り
- 頭と首の付け根を押すと痛みが強くなる
- 頭と首の付け根の痛みと同時に、頭の前の部分、顔の周り、目の奥が痛くなる
このような痛みがある場合、頭と首の繋ぎ目の問題かもしれません。
頭と首に繋ぎ目の部分を頭蓋頚椎後部と言います。この部位では関節、靭帯、筋肉で頭と首が繋がっています。これらの異常により頭痛が発生します。
この頭蓋頚椎移行部においては様々な病態が潜んでいます。
今回は、この中でも日常生活動作により誰もが生じ得る可能性のある病態を中心にご説明いたします。
長時間前屈位をとることで、後頚部筋群への負荷が増大し、後頚部筋群過緊張による頭痛が生じます。30度の前屈により後頚部筋群へ通常の3倍力が加わります。
その結果、後頚部筋群過緊張が生じ、後頚部痛が出現します。
また、同時に他の部位にも頭痛が出現する場合があります。
後頚部筋群は頭蓋骨と頚椎の隙間から硬膜に付着しています。
後頚部筋群が緊張すると、その緊張が硬膜に伝わります。
また、小脳の受け皿である頭蓋骨の後ろの部分(後頭蓋窩)が生まれつき小さいと、小脳を支えることができず、小脳が下垂します。その結果、頭蓋頚椎移行部で硬膜を圧迫します。
このようなメカニズムで硬膜が刺激されます。
硬膜への刺激により、頭蓋頚椎移行部の硬膜を支配している神経を経由し、脳に刺激が伝わり、痛みを感じます。
頭の他の部位に神経の枝を出している三叉神経と頭蓋頚椎移行部の後方部分に枝を出している脊髄神経は同じ経路を走行し、脳へ情報を伝えます。
その結果、本当は頭蓋頚椎移行部からの刺激に対する情報だけにもかかわらず、頭蓋骨の他の部位から刺激が来たと脳が誤認し、頭痛が生じます。このような痛みの出方を関連痛と呼びます。
治療方法としては理学療法、薬物療法、外科的治療などがあります。
上記病態に応じた治療を行っています。
\このコラムは私が担当しました /
脳神経外科 上甲 眞宏
専門:小児神経外科、脊椎脊髄外科
ひとこと:上記のような頭痛を認める場合には、藤田医科大学脳神経外科までお越しください。