非侵襲的に皮膚内部の幹細胞の加齢変化を捉えることに成功
日本メナード化粧品株式会社(愛知県名古屋市中区丸の内3-18-15、代表取締役社長:野々川 純一)は、藤田医科大学医学部(愛知県豊明市沓掛町田楽ケ窪 1番地 98)応用細胞再生医学講座(教授:赤松 浩彦)及び皮膚科学講座(教授:杉浦 一充)と共同で、非侵襲的(皮膚を傷つけることがない)に、皮膚内部の幹細胞の数や分布を可視化する独自AIシステムを開発し、世界で初めて皮膚内部の幹細胞の加齢変化を非侵襲的手法でイメージとして捉えることに成功しました。今後、再生医療や抗老化技術の開発への応用が期待できます。
一般的に、皮膚の組織学的検査には病理学的な手法が使われてきました。この場合、皮膚の摘出が必要となるため、患者への負担が大きく、検査結果が出るまでに一定の期間が必要でした。近年、皮膚を傷つけることなく、非侵襲的に皮膚内部の構造を観察できる技術が進歩しており、本共同研究では、皮膚の外部から内部を観察する特殊な顕微鏡LC-OCT(※)を用いて、皮膚を摘出することなく内部の状態や幹細胞の数や分布などを解析できるシステムの開発を進めてきました。これまでにLC-OCTを用いて皮膚の表皮に存在する幹細胞(表皮幹細胞)をイメージングする独自AI技術の開発(以下AIシステム)に成功しています(*1)。
今回は、これまでに開発した本AIシステムを用いて、皮膚の老化と幹細胞の状態変化について解析を行いました。20代から60代の女性16名の皮膚内部と幹細胞の状態を解析した結果、加齢に伴って幹細胞が減少している様子がイメージングできました。この結果は、これまでの病理学的手法による検査結果とも同じ結果であり、本AIシステムが正確に皮膚の幹細胞の状態を解析できていることが確認できました。
本AIシステムにより、皮膚を摘出することなく非侵襲的に個々の皮膚の状態を把握することが可能になります。今後は、皮膚の根本的な治療や抗老化技術の開発に応用してまいります。
この研究成果は2024年7月31日に国際学術誌「Skin Research and Technology」オンライン版に掲載されました。
※ LC-OCT:皮膚の内部構造を高解像度で取得できるシステム Line-field Confocal Optical Coherence Tomography
*1 2023年11月9日 ニュースリリース 個々の肌の再生能力を予測するシステムを開発!
LC-OCT技術により取得した皮膚内部の3次元画像と皮膚の状態および表皮の幹細胞(表皮幹細胞)の形や分布を独自AIに学習させることで、皮膚を摘出することなく内部や表皮幹細胞の状態を予測することが可能となりました(図1)。
図1. LC-OCT技術とAIを活用して皮膚中の表皮幹細胞を予測するシステムの概要
図2. 本AIシステムと従来法による表皮幹細胞の解析結果の比較
図3. 表皮幹細胞の加齢変化
一般的に、皮膚の組織学的検査には病理学的な手法が使われてきました。この場合、皮膚の摘出が必要となるため、患者への負担が大きく、検査結果が出るまでに一定の期間が必要でした。近年、皮膚を傷つけることなく、非侵襲的に皮膚内部の構造を観察できる技術が進歩しており、本共同研究では、皮膚の外部から内部を観察する特殊な顕微鏡LC-OCT(※)を用いて、皮膚を摘出することなく内部の状態や幹細胞の数や分布などを解析できるシステムの開発を進めてきました。これまでにLC-OCTを用いて皮膚の表皮に存在する幹細胞(表皮幹細胞)をイメージングする独自AI技術の開発(以下AIシステム)に成功しています(*1)。
今回は、これまでに開発した本AIシステムを用いて、皮膚の老化と幹細胞の状態変化について解析を行いました。20代から60代の女性16名の皮膚内部と幹細胞の状態を解析した結果、加齢に伴って幹細胞が減少している様子がイメージングできました。この結果は、これまでの病理学的手法による検査結果とも同じ結果であり、本AIシステムが正確に皮膚の幹細胞の状態を解析できていることが確認できました。
本AIシステムにより、皮膚を摘出することなく非侵襲的に個々の皮膚の状態を把握することが可能になります。今後は、皮膚の根本的な治療や抗老化技術の開発に応用してまいります。
この研究成果は2024年7月31日に国際学術誌「Skin Research and Technology」オンライン版に掲載されました。
※ LC-OCT:皮膚の内部構造を高解像度で取得できるシステム Line-field Confocal Optical Coherence Tomography
*1 2023年11月9日 ニュースリリース 個々の肌の再生能力を予測するシステムを開発!
1. 非侵襲的な表皮幹細胞を解析するAIシステム
一般的に皮膚の幹細胞を解析するためには、皮膚を摘出し、病理学的な手法により、その断面に特殊な染色を施し幹細胞を特定する必要があります。このような従来の手法に対し、本共同研究では、皮膚を摘出することなく非侵襲的に皮膚の内部の幹細胞の状態をイメージングするシステムの開発を進めてきました(参考1)。LC-OCT技術により取得した皮膚内部の3次元画像と皮膚の状態および表皮の幹細胞(表皮幹細胞)の形や分布を独自AIに学習させることで、皮膚を摘出することなく内部や表皮幹細胞の状態を予測することが可能となりました(図1)。
図1. LC-OCT技術とAIを活用して皮膚中の表皮幹細胞を予測するシステムの概要
2. 本AIシステムの信頼性の確認
本AIシステムによる表皮幹細胞の解析精度を検証するために、従来の病理学的手法を用いて解析した結果と比較しました。同一検体に対して、皮膚内部の表皮幹細胞の数について本AIシステムによる解析と病理学的手法を用いた解析を行ったところ、表皮幹細胞の数(割合%)が一致しました(図2)。以上のことから、本AIシステムの表皮幹細胞の解析精度は高いことが確認できました。
図2. 本AIシステムと従来法による表皮幹細胞の解析結果の比較
3. 本AIシステムを用いて非侵襲的に加齢に伴う表皮幹細胞の減少を確認
これまでの研究から、加齢とともに表皮幹細胞の数が減少することが明らかになっています。今回、本AIシステムを用いて、非侵襲的に20代から60代の女性被験者(16名)の頬部における表皮幹細胞の数や分布について解析しました。その結果、これまでの研究結果と一致して、表皮幹細胞の数が加齢に伴って減少することが確認できました(図3)。また、同じ年代の被験者でも幹細胞の数には個人差があることも確認できました。
これらの結果から、本AIシステムは非侵襲的に皮膚外部から内部の状態や皮膚の再生能力を見極める技術として有用であり、皮膚の再生医療や抗老化技術の開発への応用が期待できます。
これらの結果から、本AIシステムは非侵襲的に皮膚外部から内部の状態や皮膚の再生能力を見極める技術として有用であり、皮膚の再生医療や抗老化技術の開発への応用が期待できます。
図3. 表皮幹細胞の加齢変化
4.掲載雑誌・タイトル・著者について
雑誌名
Skin Research and Technology
タイトル
Development of a noninvasive and label-free imaging system for human interfollicular epidermal stem cells based on cell morphology
掲載アドレス
著者
宮地 克真1, 白石 健1, 眞田 歩美1,2, 石井 佳江1,2, 広瀬 統1, 山田 貴亮1,2,3,
五十嵐 敏夫1, 長谷川 靖司1,3,4, 有馬 豪3, 岩田 洋平3, 杉浦 一充3, 赤松 浩彦2
五十嵐 敏夫1, 長谷川 靖司1,3,4, 有馬 豪3, 岩田 洋平3, 杉浦 一充3, 赤松 浩彦2
所属
1 日本メナード化粧品株式会社 総合研究所
2 藤田医科大学 医学部 応用細胞再生医学講座
3 藤田医科大学 医学部 皮膚科学講座
4 名古屋大学大学院 医学系研究科 名古屋大学メナード協同研究講座
2 藤田医科大学 医学部 応用細胞再生医学講座
3 藤田医科大学 医学部 皮膚科学講座
4 名古屋大学大学院 医学系研究科 名古屋大学メナード協同研究講座