プレスリリース

藤田医科大学病院に「漢方外来」新設

西洋医学と漢方医学の融合による新たな治療の選択肢を提案
─遺伝子検査による漢方薬の効果予測と副作用リスク診断をめざして─

藤田医科大学病院(愛知県豊明市沓掛町田楽ケ窪1番地98 病院長:白木良一)は4月3日、漢方医学を主体とした「漢方外来」を新たに開設しました。ここでは当院漢方専門医が、抗がん剤の副作用軽減や緩和ケア、更年期障害、アレルギー、感染症治療、体質改善をはじめとするさまざまな疾患や症状に対応。伝統的な漢方医学と最先端をゆく大学病院の西洋医学を組み合わせ、患者さん個々の体質に合わせた全人的な治療の実現をめざします。

漢方専門医

計4名(産婦人科2名、小児外科1名、消化器外科1名)。
他、医員として産婦人科2名、皮膚科1名の計7名が漢方外来を担当。

漢方医学の併用により症状緩和や治療効果を促進

疾患や臓器に着目しその治療を主体とする西洋医学と、人そのものや体質に着目し症状緩和を柱とする漢方医学。新しく開設する「漢方外来」では、各診療科や地域のクリニックに通院する患者さん※1を対象に、現代医学と視点が異なる漢方医学の伝統的な診断法(脈診、舌診、腹診など)および漢方薬を併用することで、症状の緩和や治療効果の向上を図ることを目的としています。漢方薬は、保険適用となっている148種すべての処方が可能です。
※1 診察の予約は地域のかかりつけ医からとなり、患者さんからの直接予約は受け付けていません
 

遺伝子検査で漢方薬の副作用リスクを確認

「生薬由来の漢方薬は副作用がないから安心」といわれがちですが、体質や薬の組み合わせによっては重大な副作用を引き起こすことがあります。なかには健康のために長年飲んでいる漢方薬が、体調不良や高血圧の原因だったということも。「漢方外来」では、これら漢方薬の副作用が心配な方に向けて遺伝子検査を実施予定。検査結果をもとに、体質に合わせた副作用がほとんどなく、効果が期待できる薬の組み合わせを探索します。

漢方薬のエビデンス構築と人材育成に向けて

日本では医師の90%が漢方薬を処方しているとされます。とくに近年はその効能が見直され、年々需要が高まっています。多くの新型コロナ感染者を受け入れてきた藤田医科大学病院でも、コロナ発症初期に漢方薬が大きな役割を果たしたほか、ほぼすべての診療科で処方しています。一方で、漢方薬には未だ作用機序が不明なものがあるのも事実です。国内最多の病床数を誇る当院と、世界水準の研究力を有する藤田医科大学が連携し、これらのエビデンス構築を進めていくことも当科開設の目的の一つです。
また、中国、韓国をはじめとする世界のほとんどの国では、西洋医学と漢方・中医学・鍼灸などの伝統医学は別々のライセンスとなっていますが、日本の医師免許の場合、その両方を駆使することができます。漢方外来を通して、最先端の西洋医学と伝統医学の知識を有する医師を育成し、地域医療の発展に寄与することも大きな役割と考えます。