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第92回保健学セミナーのお知らせ

大学院保健学研究科 第92回保健学セミナーのお知らせ

藤田医科大学大学院 保健学研究科 保健学専攻では、6領域の大学院生が共に集まり、領域横断的に視野を広げ最新のトピックスを学ぶため、各分野の第一線で活躍されている学内外の先生や著名な研究者を講師に招聘した「保健学セミナー」を開催しています。
今回の第92回保健学セミナーは、臨床検査学領域の企画担当で開催いたします。

演題 生体試料分析の仕方と読み方と頼み方 -衛生学の領域から-
演者

名古屋大学大学院 医学系研究科総合保健学専攻 准教授
上山 純 先生

日時 2023年5月24日(水)18:00~19:30
場所 大学1号館5階 フジタホール500

ご講演要旨

 分析化学は、物質の検出、分離、特徴解析、定量などの情報を得るための方法を研究する学問です。自然科学のおおくの分野において分析化学は欠かせない学問と言っても過言ではなく、診断・治療方針決定・効果の判定などを目的とした生体試料の「分析」は、医療系学生の皆さんにはお馴染みだと思います。衛生学分野、たとえば環境衛生、労働衛生、食品衛生分野においても、生体試料に化学的な分析データを加えることは、科学的根拠に基づいた評価と判断に大いに役立っています。
 ヒトの尿や血液中から化学物質やその代謝物,関連する付加体等を定性・定量することで、化学物質の曝露レベルを評価するという手法があり、Human biomonitoring(HBM)と呼んでいます。食事や環境中の化学物質量から曝露量を評価する方法と比べて、HBMではさまざまな経路(経口、経気道および経皮的曝露)から人体に吸収された化学物質量を個人レベルで推定できることが特徴の一つです。
 本講演では、HBMの基礎から応用、最近の知見についてお示しするとともに、「分析化学+衛生学」領域での新たな研究展開についてご紹介いたします。

 今回ご講演いただく上山純先生は、平成16年に名古屋大学大学院医学系研究科をご卒業後、同大学附属病院検査部に務められました。その後、名古屋大学医学部保健学科に教員として着任され、臨床検査技師や関連領域での研究者養成等に尽力されています。担当科目は、臨床化学、一般検査学、検査管理および保健行政等。殺虫剤や農薬を専門に取り扱う労働者や農家、食品摂取や生活環境中で摂取(曝露)する一般生活者集団における化学物質の安全性を計ること(リスク分析)は、人の健康にかかわることのみならず、政治経済は言うに及ばず文化の昴揚においても必要不可欠です。医療従事者としてだけでなく、一市民としても化学物質のリスク分析を適切に理解することは、今後のリスク評価、リスク管理、リスクコミュニケーションの発展の一因となります。本講演では分析化学を軸とした化学物質のリスク評価の基礎から現状も含めて解説していただき、労働安全衛生や環境衛生について考える機会にしていただきたいと思います。
 大学院生はもとより、学部学生や教職員の皆様で関心のある方のご来聴をお待ちしております。



                                                                                        大学院保健学研究科長 齋藤 邦明
 
問い合わせ:鈴木 康司(ksuzuki@fujita-hu.ac.jp)