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第91回保健学セミナーのお知らせ

大学院保健学研究科 第91回保健学セミナーのお知らせ

藤田医科大学大学院 保健学研究科 保健学専攻では、6領域の大学院生が共に集まり、領域横断的に視野を広げ最新のトピックスを学ぶため、各分野の第一線で活躍されている学内外の先生や著名な研究者を講師に招聘した「保健学セミナー」を開催しています。
今回の第91回保健学セミナーは、リハビリテーション学領域の企画担当で開催いたします。
演題 高齢化社会における心不全
演者 兵庫県立尼崎総合医療センター 循環器内科長
佐藤 幸人 先生
日時 2023年1月13日(金)18:00~19:30
場所 Web開催

ご講演要旨

 超高齢化社会を迎えた今、心不全患者は増加しているが、入退院を繰り返し死に至る疾患である。その平均年齢は80才を超え、ガン、認知症、腎不全などの併存症も多く、独居やフレイルなど社会的・家庭的にも多くの問題点を抱えるようになってきている。このような心不全患者では医師が単独で医学的介入を行うだけでは入院回避やQOL, ADLの維持が困難なことが多く、多職種が多面的に介入する必要がある。その結果、生活態度が改善、セルフモニタリングが可能となり薬剤アドヒアランスが上昇し、運動能力や栄養状態が維持され、その相乗効果が入院回避やQOL、ADL改善などに結び付くと考えられている。今後の日本ではさらに在宅介護と連携する必要性も高い。本講演では、心不全が医療と介護の領域にまたがる疾患であるという観点に立ち、解説をしたい。
 今回ご講演いただく佐藤幸人先生は、昭和62年に京都大学医学部をご卒業後、平成13年から京都大学循環器内科助手・病棟医長を務められました。心不全に関する臨床研究を積極的に行われ、多くの研究成果を挙げられています。その中でも拡張型心筋症における心筋トロポニンT持続高値と予後との関係は、Circulation誌に掲載され、臨床に大きなインパクトを与えました。平成16年から兵庫県立尼崎病院に異動され、平成27年から兵庫県立尼崎総合医療センター循環器内科長として臨床業務に当たられながら、臨床研究を継続されています。一方で日本心不全学会ガイドラインの策定委員として、「高齢心不全患者の治療に関するステートメント」や「心不全患者における栄養評価・管理に関するステートメント」の作成に携われました。日本病院薬剤師会の「心不全緩和ケアの薬剤業務に関する進め方」作成にも尽力されました。また、心不全患者に対して多職種が多面的に介入する、いわゆるチーム医療を早い時期から積極的に導入され、素晴らしい治療成績を挙げられています。今後、高齢化社会とともに心不全患者数が増加する、「心不全パンデミック」が危惧されています。ご講演では、社会的および医学的な側面から心不全を解説して頂き、心不全を包括的に理解できるお話が伺えると思います。
 
大学院生はもとより、学部学生や教職員の皆様で関心のある方のご来聴をお待ちしております。
 

 

大学院保健学研究科長 金田 嘉清

 
問い合わせ:成瀬 寛之(hnaruse@fujita-hu.ac.jp)