“変形性膝関節症“の最新治療 ー先進的な再生医療「APS療法」を導入ー
本学は、再生医療の一環として従来からのPRP療法に加えて2021年7月より“変形性膝関節症”に対する新しい治療法「APS療法」を実施しています。
12月14日現在、東海地方でAPS療法を導入しているのは本学を含め5施設。当院整形外科ではAPS療法をすでに40件実施し、良好な成績を収めています。現在は保険外診療ですが、保険適応に向けた臨床データの構築を進めています。
従来の薬物療法やヒアルロン酸注射などの保存療法や膝を切開する手術とも異なる第三の治療法にあたるもので、海外では2000年頃からサッカー選手やメジャーリーガー、プロゴルファーのけがの治療などに使われています。近年日本においてもその治療法が注目されてきている再生医療の一つです。「保存療法で症状が改善されない」「手術にふみきれない」という方の新しい選択肢の一つとして広がりつつあります。
※PRP(platelet-rich plasma:多血小板血漿)
けがをした時、かさぶたができて傷がふさがる過程において、血小板は重要な役割を果たしています。血小板からは傷んだ組織の修復を促進する物質(成長因子)が供給されます。PRPの組織修復能力を利用する治療法です。
また、現在は「変形性膝関節症」への治療として行われていますが、関節への注入という治療法から足・股・肩などの各関節への治療の応用も期待されています。
当院では、安心・安全な人工膝関節置換を実現するため、2020年9月に整形外科用手術支援ロボットを導入し、良好な成績をあげています。一方で手術にふみきれない方や諸事情によりすぐに手術を受けられない方もおり、APS療法という新しい治療法を導入することは、患者さんの選択肢が広がることにつながると考えます。
12月14日現在、東海地方でAPS療法を導入しているのは本学を含め5施設。当院整形外科ではAPS療法をすでに40件実施し、良好な成績を収めています。現在は保険外診療ですが、保険適応に向けた臨床データの構築を進めています。
「APS療法」とは
APS療法(Autologous Protein Solution:⾃⼰タンパク質溶液)とは、次世代PRP※とも表され、PRPをさらに脱水処理し、抗炎症成分(IL-1やTNF-αなどの炎症性サイトカインを阻害する)など関節の健康に関わる成分を抽出したものを患部に注入する治療法のことで、膝関節内の炎症を抑え、痛みが軽減されることが期待されています。従来の薬物療法やヒアルロン酸注射などの保存療法や膝を切開する手術とも異なる第三の治療法にあたるもので、海外では2000年頃からサッカー選手やメジャーリーガー、プロゴルファーのけがの治療などに使われています。近年日本においてもその治療法が注目されてきている再生医療の一つです。「保存療法で症状が改善されない」「手術にふみきれない」という方の新しい選択肢の一つとして広がりつつあります。
※PRP(platelet-rich plasma:多血小板血漿)
けがをした時、かさぶたができて傷がふさがる過程において、血小板は重要な役割を果たしています。血小板からは傷んだ組織の修復を促進する物質(成長因子)が供給されます。PRPの組織修復能力を利用する治療法です。
また、現在は「変形性膝関節症」への治療として行われていますが、関節への注入という治療法から足・股・肩などの各関節への治療の応用も期待されています。
APS療法のメリット
- 患者さん自身の血液を利用するため、重篤な副作用のリスクがほとんどない
- 1回の治療で持続的な痛みの抑制効果が期待できる
- 入院の必要がなく外来での処置が可能
- 治療後効果が続けば、通院の頻度が減り、通院にかかる負担が軽減される
APS療法のデメリット
- 保険が使えないため、高額な費用負担が必要
- 自己修復力に依存するため、修復力が働かない場合がある
- APSを分離する器具が置いてある限られた施設でしか治療できない
健康寿命の延伸に向けて
「ひざが痛くて動けない」。関節痛は、腰痛と同様、健康寿命の延伸を妨げています。関節痛の多くを占める変形性膝関節症の症状がある人は全国で1,000万人いるとされ、重篤にもかかわらず「手術が怖い」と我慢している人も多く、実際に手術を受けているのは年間9万5千人にとどまります。当院では、安心・安全な人工膝関節置換を実現するため、2020年9月に整形外科用手術支援ロボットを導入し、良好な成績をあげています。一方で手術にふみきれない方や諸事情によりすぐに手術を受けられない方もおり、APS療法という新しい治療法を導入することは、患者さんの選択肢が広がることにつながると考えます。