世界初 低濃度オゾン水による 新型コロナウイルス不活化を確認
藤田医科大学(愛知県豊明市沓掛町田楽ヶ窪1番地98)の村田貴之教授(ウイルス・寄生虫学)は、手指消毒等に安全に使用できる低濃度のオゾン水による新型コロナウイルスの不活化を確認しました。
研究の背景
2019年に中国より発生し、パンデミックとなっているSARS-CoV-2(通称新型コロナウイルス)は、伝播性、感染性が高く、特に、高齢者や基礎疾患のある方では重症化するリスクが高いことも報告されているため、世界的な公衆衛生上の問題となっています。感染拡大を防止する手段の一つとして、人体に許容される濃度のオゾンガスの有効性について先日ご報告しました。オゾン水については、これまで高濃度(10 mg/L)でのSARS-CoV-2に対する有効性が報告されていますが、低い濃度での効果については明らかにされていませんでした。
今回我々は低濃度(2.0 mg/L以下)のオゾン水がSARS-CoV-2に対して効果があるということを、世界に先駆けて実験的に明らかにしました。本研究は新型コロナウイルスへの感染対策としてオゾン水を使用していくための重要なエビデンスとなります。
今回我々は低濃度(2.0 mg/L以下)のオゾン水がSARS-CoV-2に対して効果があるということを、世界に先駆けて実験的に明らかにしました。本研究は新型コロナウイルスへの感染対策としてオゾン水を使用していくための重要なエビデンスとなります。
実験内容
SARS-CoV-2のウイルス液(1 μL)を、オゾン水(100 μL)と混合します。一定時間後に20%ウシ胎児血清添加の培養液(899 μL)で縣濁して反応を停止し、ウイルスを回収しました。回収したウイルスを適宜希釈し、VeroE6/TMPRSS2細胞に感染させ、4日後にTissue culture infectious dose 50(TCID50)という指標を計算することで、反応後のウイルス力価を評価しました。VeroE6/TMPRSS2は細胞バンクJCRBより入手し、SARS-CoV-2は神奈川県衛生研究所より入手しました。全ての実験は藤田医科大学内に設置されたバイオセーフティレベル3(BSL3)の実験施設において、適切な封じ込め措置を執りながら行いました。
研究成果
オゾン濃度1.0 mg/Lのオゾン水を10秒処理することで、感染性ウイルスは0.70%に、2.0 mg/Lのオゾン水では0.1%未満にまで抑制されました。オゾン濃度0.4 mg/Lでもウイルス力価は5.8%まで減少しました。
まとめ
手指消毒、飲料水消毒、歯科・眼科診療、医療器具洗浄等には、2.5 mg/L以下のオゾン水を使用することが一般的です。今回の研究では、それ以下の低い濃度のオゾン水であっても、十分な量を使用することでSARS-CoV-2を不活化できることが明らかになりました。パンデミックに際しアルコールの在庫が不足するような事態となっても、水と装置があればオゾン水は生成できるので、オゾン水生成装置は有事に対する備えにもなると考えられます。ただしオゾン水は保存が効かないので、用事調製の必要があります。