本庶佑特別教授がノーベル賞受賞決定後、本学で初講演
10月5日、ノーベル生理学・医学賞の受賞が決定した京都大学の本庶佑特別教授が、受賞決定後、初めての講演を本学で行いました。藤田医学会定期講演会として第一部の江崎禎英先生(経済産業省)のご講演から会場は学生、教職員で立ち見が出るほどの満席状態、2000人が参加して貴重なお話に熱心に耳を傾けました。
本庶先生は、受賞理由となった、がん免疫療法につながるたんぱく質「PD-1」の発見の経緯や、長年研究に取り組んだがん免疫療法で臨床実験を行うまでの困難やこれからの課題について、詳しくお話しいただきました。また、免疫細胞の表面にあるブレーキ役の分子「PD—1」の働きを妨げる「オプジーボ」の開発につながった研究は、ネイチャー、サイエンスなどの有名科学誌に掲載されなかった事実から、「そういう雑誌に載らないからだめだと思うのは間違い」とし、外部からの評価にこだわらないことの大切さを学生らに訴えました。
そして、今後の可能性としては「免疫力こそが、がんを最終的に治す力である」「21世紀は、がんを克服する可能性が出てきたのではないか」と述べました。
その上で「感染症やがんによる死を恐れずに済むようになったら、人はいつまで生きたいと望み、それで幸せになるのか」と問いかけ、「自分はどう死にたいのか、一人一人が終末期医療を真剣に考えることも重要」と最後に聴衆にメッセージを残し、ご講演を締めくくられました。
貴重な時間を過ごした本学の学生からは「がんは治る病気になるとお話しされたのが心に残っています。僕もこれだと思った道を突き詰めたい」という声もありました。