医療科学部 臨床教育連携ユニット
医学物理学分野

ニュース&トピックス

分野紹介

医学物理とは、放射線を用いた医療が適切に実施されるよう、医学物理学の観点から貢献する学問です。物理工学的な知識・成果を医学に応用していくものであり、放射線診断、放射線治療など、放射線を用いる医療分野で大きな役割を担っています。
藤田医科大学 医療科学部 臨床教育連携ユニット 医学物理学分野では、放射線計測・放射線治療を専門とし、体表面監視システムの開発、検出器の応用・開発、Deformable Image Registration、陽子線治療、Precision Medicineを目指した細胞実験など、放射線計測と治療にかかわる様々な研究を行っています。

メンバー

教員

放射線学科

大学院生

 博士課程
 1年 長宅祐哉

修士課程
 2年 林研究室 :足立夏基、眞継雄大、森口鵬飛
    安井研究室:大塚至流、森下真帆、山本未来
 1年 林研究室 :花井諒、伊藤駿羽、長坂帆夏
    安井研究室:川嶋統也、原日和葵、三輪桃佳

学部生

林研:5名(SRP学生1名)、安井研:6名

・可搬型体表面動態監視システムの開発
・高精度放射線治療の照射正確度向上に向けた研究
・非剛体レジストレーション臨床利用における最適化

表面監視システム開発のための基礎実験

近年では放射線治療装置や治療計画装置の進歩により、高精度放射線治療が身近な存在となっています。また、画像誘導放射線治療が広く普及し、放射線治療中に取り扱う情報は以前より遥かに増加しました。しかしながら、これらの技術を安全に実施し、さらに発展するためには 医学物理の観点からの研究が必要です。私たちは臨床現場に潜む些細な疑問から生じる仮説を明らかにすべく、臨床に即したさまざまなテーマの研究を実施しています。最近では、可搬型体表面動体監視システムの開発や高精度放射線治療の照射正確度向上に向けた研究に取り組んでいます。(林 直樹)

・患者固定システムの開発
・放射線治療装置の品質管理機器の開発
・最新のエビデンスに適応した高精度放射線治療計画の最適化
・放射線治療の効果と副作用に関する研究

放射線治療の精度向上と副作用の軽減を目指し、遠隔自動制御機能を備えた放射線低吸収素材の「ねじれ補正システム」を開発しています。このシステムにより、頭頸部がん患者の頸部の回旋や前後屈などの「ねじれ」を補正し、より正確な治療が可能になります。近年の人口の高齢化に伴い、脊椎後弯症の患者さんが無理のない姿勢で治療を受けられるよう、快適で効果的な固定具の開発も進めています。
また、高精度かつ効率的な品質管理を実現するため、放射線治療装置の品質管理機器の開発にも取り組んでいます。これまでに以下の装置を開発しました。
• レーザ調整用ファントム:患者さんの位置合わせ用に使用するレーザの水平性、鉛直性を向上させるファントム
• 寝台速度検証機器:寝台の動作速度を表示する機器
• 放射線焦点計測機器:放射線の焦点位置を特定する機器
さらに、病院スタッフと協力し、新たな臨床試験結果に基づき、その効果を最大限に引き出すための治療計画の手法の開発も行っています。
また、これまでの膨大な治療データを分析することで、放射線治療の効果(腫瘍制御)や副作用(毒性)の関連因子の解明にも取り組んでいます。<b>(清水 秀年)</b>

・線量計測:モンテカルロ計算を用いた検出器応答特性の検立
・線量計測:3Dプリンタを用いた検出器の開発
・放射線生物:細胞の線量率特性の解明
・医療AI:AI技術の放射線治療への応用

陽子線のモンテカルロシミュレーション

陽子線治療は既存の光子線と異なる物理特性を有し、放射線治療分野で急速に適応が拡大しています。我々の研究室では、陽子線の物理特性の変化における検出器の応答特性の検証をメインテーマとして行っています。モンテカルロ計算を用いたシミュレーションや、実際の陽子線装置を用いた計測により検討を行い、国内で陽子線の線量を標準化するための第三者評価手法の確立や、線量計測の不確かさ低減に向けた研究を進めて成果を発表しています。またこのテーマを拡張し、小線源治療の第三者評価の確立に向けた検討を開始しました。
3Dプリンタを活用した研究では、近年医療での活用が増えている3Dプリンタを応用し、自由造形の放射線検出器を開発する研究を行っています。
腫瘍医学研究センターとの協働においては、放射線治療のプレジション・メディシン、個別化治療を実現するため、オルガノイド細胞を用いて放射線感受性と遺伝子情報の相関を調査しています。
最後に、東北大学・キヤノン社・アイラト社などと共同で、AI技術を放射線治療計画に応用する研究開発を開始しました。この研究に関する情報公開文書はこちらのHPで公開しています。(安井 啓祐)

年間行事

論文抄読会

教員および大学院生が最新の知見について、論文を紹介します。リサーチミーティングと合わせて、研究室ゼミとして週に1回実施しています。

リサーチミーティング

大学院生の研究進捗を発表します。論文抄読と合わせて、週に1回実施しています。

3大学合同ゼミ

名古屋大学、金沢大学の放射線治療分野の研究室と年に1回合同ゼミを行っています。主に修士1年生、4年生が発表を行います。

学会発表

日本医学物理学会、日本放射線技術学会などの国内学会に加え、米国医学物理学会(AAPM)、アジアオセアニア医学物理学会(AOCMP)など、多数の海外学会でも発表を行っています。

レクリエーション

誕生日会やたこ焼きパーティなど、学生同士・また学生と教員でコミュニケーションが取れるようなイベントを適宜開催しています。

フォトギャラリー

  • 誕生日のお祝い

  • 実験の様子

  • 医学物理臨床実習

  • 祝:医学物理士認定試験合格

  • 卒業式

研究業績

原著論文

2025

2024

2023

2021

2020

  • Kensuke Tani, Akihisa Wakita, Naoki Tohyama, Yukio Fujita, Satoshi Kito, Ryohei Miyasaka, Norifumi Mizuno, Ryuzo Uehara, Toru Takakura, Shunsuke Miyake, Kazuya Shinoda, Yoshitaka Oka, Yasunori Saito, Hideki Kojima, Naoki Hayashi; Evaluation of differences and dosimetric influences of beam models using golden and multi-institutional measured beam datasets in radiation treatment planning systems. Medical physics 47(11) 5852-5871 2020, November
  • Tokiko Nakamura, Shoichi Suzuki, Kyoichi Kato, Napapong Pongnapang, Naoki Hayashi, Chie Kurokawa, Ikuo Kobayashi, Toru Negishi, Tamaki Matsunami; Effect of protective glasses on radiation dose to eye lenses during whole breast irradiation Journal of Applied Clinical Medical Physics 21(11) 272-277 2020, November
  • Asada Y.,Kondo Y.,Kobayashi M.,Kobayashi K.,Ichikawa T.,Matsunaga Y.; Proposed diagnostic reference levels for general radiography and mammography in Japan, J. Radiol. Prot. Volume 40, Issue 3, Pages 867 – 876 September 2020

2019

アクセス

  • 医学物理学分野へのアクセス ⇒ 大学7号館3階