医学部医学科 6年間の学び・カリキュラム

1年次

「良き医療人」をめざし人間形成を含めた基礎を築く

基本的な医学知識や一般教養、語学などを学び、素養を身につけるのはもちろんですが、1 年次より「早期臨床体験」や「医療コミュニケーション」を実践的に学びます。これにより〝生きた〟医療現場の実際をいち早く体感し、かつチーム医療への意欲を高め、医療人としての自覚、責任感を養います。また、「基礎教室体験実習」では、科学的な探究心も養い、医学研究者としての第一歩を踏み出します。

どんな授業をしている?

早期臨床体験 (Early Clinical Exposure)

1年次の早期段階では、医療的な専門知識の習得を前に、チーム医療の実際を学ぶための必要な考え方や態度を身につける実習を実施します。授業は2部構成となっており、1学期はメディカルスタッフの業務を、2学期では臨床各科を見学・体験します(知識・態度)。医科だけでなく、看護部・薬剤部・食養部などの各部の仕事内容や、それぞれの部門の役割、連携などを包括的に学ぶことで、メディカルスタッフの全体像を把握し、治療への的確なアプローチの基本と流れを理解します。

読書ゼミナール —科学研究の基礎Ⅰ—

医学を始めとする諸学を学ぶ上で必要な基礎的思考能力の習得と言語による表現力の啓発を目的としています。医療の世界は既にインフォームド・コンセントが広く浸透しており、患者さんやご家族の心情を汲み取った上で適切かつ的確に、かつ曖昧さを極力排して、言葉や文章によって説明できるという能力が医療従事者には強く要求されます。体験型学習の中でコミュニケーションについて学びます。

2年次

人体の構造と機能を理解し臨床医学に備える

医療の全ての基礎となる解剖学、病理学、生理学などに関して、実習を主体とした学びが始まります。特に解剖学は医師としての力量を測る一つの指標に用いられるほど、重要な知識となります。解剖学の実習では実際にご献体を用いて解剖を行い、知識はもとより、生命の尊厳、医師としての倫理、患者さんに寄り添う気持ちなどを学びます。人体の構造や機能を理解することで、医師になることを強く自覚し、3年次からの臨床医学への土台を築きます。

どんな授業をしている?

ウイルス・寄生虫と感染

ウイルス学は、ウイルス感染症の病態、疫学、予防を中心とした医学ウイルス学と、ウイルスをモデルとしての生命科学の2本柱からなります。寄生虫学においては、臨床的・免疫学的に重要な寄生虫症に重点を置き、各寄生虫の生物学的特性や寄生虫症の病態、免疫、症状、診断、治療などの基本的知識を習得します。また、変遷している感染症についても学習します。

解剖学B

解剖学は、医療においてすべての基礎となる学習です。医師としての力量を図る一つの指標として用いられることもあるほど、非常に重要な知識といえます。授業では献体していただいた人体を用いて解剖をおこないます。多くの人の力によって支えられている実習であることを自覚し、取り組む姿勢も必要です。

3年次

基礎医学から臨床医学へ幅広い領域を学習

1年次、2年次で学んだ基礎的な医学知識をベースに、より具体的な臨床医学を、実際の医療現場に近い環境で学び、最新医療や実験データなどを通して理解を深めます。特に3年次からは、問題解決型授業「PBL」がスタート。学生が少人数グループになり、教員から提供される「主訴」や「病歴」、「身体所見」などのシナリオに沿って、問題を見つけ、調べ、結論を導きます。医療推論でのプロセスを実際的に学ぶことで臨床医学の力を培います。

どんな授業をしている?

PBLⅠ(Problem Based Learning)

PBL(Problem Based Learning)は問題解決型授業といわれ、少人数のグループで一つの課題に取り組み、課題を見つけ、調べ、結論を導くという3段階の過程を経て、知識や思考方法を習得する学習です。日本において実践が難しかったPBLを本学独自のシステムに改良。「藤田式PBL」として他大学からも注目を集めています。

Medical English Ⅱ

皆さんが学んでいく医学の情報は凄まじい勢いでグローバル化が進んでおり、英語は医師にとって他の外国語と比較にならぬ程の重要性を持っています。自ら収集した英語情報(文献やインターネットなど)を理解し、さらに、自ら英語によってプレゼンテーションできる力や医学英語領域の文献を読み解き、内容を説明できる能力を習得します。10名前後のスモールグループで学習していきます。

4年次

臨床実習に向けて知識の整理・統合を図る

本格的な臨床実習に向けて、基本的な手技を身につけるとともに、基礎医学と臨床医学の知識を整理統合します。夏には臨床実習に進むために、共用試験「CBT」「OSCE」を受験します。CBT(コンピュータ式試験)は知識面、OSCE(客観的臨床能力試験)は技能・態度面を評価します。これらに合格することで「スチューデントドクター」として、臨床実習に臨むことができます。

どんな授業をしている?

法医学

法律上あるいは社会的に問題となる医学的事項を研究します。医学・医療のさまざまな局面において、医師は基本的人権や公共の福祉に深く関わっていることを認識し、その上で法医学的に的確な判断をするための医学的常識を習得します。また、近年社会的にも関心の高まっている生命倫理学や医事法制など、社会と医学の接点に存在する事項についても学習します。

画像診断Ⅱ

現代の医学において、各種画像診断の占める割合は大きく、その対象は身体のあらゆる部位に及び、関連する診療科もほとんど全科にわたっています。3年次で習得した各々の画像診断法の原理と特長をもとに、4年次には、それぞれの応用と疾患ごとの各論を習得します。放射線医学に関しては、その基本に始まり、放射線診断学、核医学、放射線治療学(放射線腫瘍学)を学びます。

5年次

より実践的な臨床医学系の学びへと歩みを進める

臨床実習により、実際に患者さんと接し、診療に従事しながら、これまで学んできた知識を実践的に応用していきます。指導医の下、患者さんの考え方や生活なども含め問題点を発見し、問題解決に向けて医師としての思考や振る舞いができるようトレーニングします。講義では得られない医療現場の常識や技術、深い知識に加え、患者さんとの信頼関係の大切さを学び、医師としての責任感を強く認識する学びを得ます。

どんな授業をしている?

臨床実習(クリニカルクラークシップ)

4年次の後期から、スチューデントドクターとして実際に患者さんと接しながら、医療の知識や技術を磨くと同時に、患者さんの想いや生活環境などの背景も俯瞰的に見て判断し、知識・技術を臨床応用する力も高めていきます。チーム医療における各専門職の役割や、多職種連携の在り方も現場でリアルに学べます。また、専用携帯が与えられ、実際の電子カルテに入力するなど、医療行為に参加しながら、医師に求められる高度な技術や知識を学びます。学生の電子カルテ入力は、藤田の先進的な取り組みで、見学実習や模擬実習では得られない実践力が身につきます。学生は365日医療チームの一員としての意識を持って医療現場に参加し、世界標準とされる72週の実習を行います。

6年次

全ての学びを統合し、国家試験に向けて集中する

6年次では、これまでの全ての学びを統合し、知識や技術の再確認を行い、国家試験に備える1年になります。まず、春先の6週間にわたり、自主的に選択した国内外の実習先で臨床実習プログラムにより実践能力を高めます。中でも医学の国際化に対応した選択制総合医学実習「国外」では、タイ、イタリア、韓国、UAE、ザンビア、台湾といった海外の提携大学への留学が可能です。自主選択による実習は、医師としてのビジョンを明確にする機会にもなっています。文化も医療状況も異なる現場での体験が、医師としてだけでなく、人間としても成長を促し、視野を広げます。6年次の後半には、国家試験に向けた準備を集中的に実施して、最後の総まとめを行います。

どんな授業をしている?

総合医学

5年間で身につけた知識を確かめ定着をはかる6年次において、その手助けをおこなうカリキュラムの一つです。6年次の前期におこなわれ、国家試験の出題基準をもとに、出題頻度の高い主要疾患や症候、病体生理などについて問題形式で授業を実施。実践的に知識の習得度をチェックします。 最近の国家試験では、基礎的な知識だけではなく、治療法や検査方法など臨床医的な視点が求められる問題が重視されています。視覚的教材なども使用した臨床実地問題形式の実習を通じて、臨床現場において知識をどのように適用し解釈していくかを学びます。

選択制総合医学

6年次初頭の6週間にわたり、自主的に選択した学内や学外、海外の実習先にて臨床実習プログラムを実施。多様な医療分野を体験することで知識や技術を深めていきます。中でも、医学の国際化に対応した選択制総合医学海外実習プログラムでは、海外の提携大学への留学が可能です。文化も医療状況も違う現場での体験を通して、人間としての視野も広がります。