【第2弾】酒井 奈美 看護長
藤田医科大学病院において2024年度に勤続25年目を迎える酒井看護長。急性期医療から、内科系、外科系の病棟や特別室の管理者など、幅広い看護を経験されています。2024年4月から小学5年生になる双子の男の子の母でありながら、看護師としてのキャリアを築いてきた酒井看護長にお話を伺いました。
藤田医科大学病院 看護長
1999年 藤田保健衛生大学病院 救命救急センター
2007年 藤田保健衛生大学病院 整形外科病棟
2010年 藤田保健衛生大学病院 呼吸器内科病棟
2014年 産休・育休取得、出産
2015年 復職
2015年 藤田保健衛生大学病院 HCU病棟
2015年 藤田保健衛生大学病院 特別室
2017年 看護長に就任
2017年 藤田保健衛生大学病院 ICU病棟・HCU病棟
2020年 藤田医科大学病院 特別室
2023年 藤田医科大学病院 整形外科
看護師になったきっかけは
高校の担任に言われたある一言
もともと親戚に医療関係者が多かったこともあり、大学受験をするにあたり両親からも医療関係に進学するとよいのではと言われて薬剤師や検査技師の道を考えていました。しかし、高校の担任の先生に「看護師さんが似合いそうだね」と言われたことをきっかけに看護師の道を目指しました。当時は4年制の看護大学があまりなく、地元の石川県から一番近かった愛知県の藤田保健衛生大学への進学を決めました。私は一人っ子なので、両親も心配だったようですが、社会勉強だといって送り出してくれました。実際に働いてみて、患者さんやそのご家族などとお話したり、誰かのためにいろいろ考えて一生懸命尽くすことにやりがいを感じることが多いことを考えると、結果的にこの仕事に向いていたのではないかと思います。
平日の一日のスケジュールを教えてください。
朝は起きてすぐに自分の身支度をすませ、子供たちの朝ご飯を準備します。双子にもかかわらず食の好みが異なるので、好みに合わせた食事を2種類用意しています。夜は、私の方がどうしても帰りが遅くなることが多く、夫が早く帰宅できるように調整してくれています。そして子供たちを迎えに行って夕食を準備してくれているのでとても感謝しています。寝る前は唯一子供たちとゆっくり話せる時間なので、学校のことや友達のことなどいろいろ聞いてコミュニケーションをとっています。至福の時間なのでとても大事にしています。
看護師として一番印象に残っていることを教えてください。
入職後、希望して入った救命センターでの経験が最も印象に残っています。当時の救命センターにはビシバシ鍛えてくださる先輩が多く、最初は辛いことも多々ありましたが、そのおかげでいろんなことを学ぶことができ、とても価値のある時間を過ごすことができました。配置換えによりいろんな病棟で勤務させてもらいましたが、その部署ごとに新しい学びや新しい人との出会いがあり、すごく自分自身の成長につながっています。多くの看護師がいる中で一緒に働くことができる人はほんの一部なので、その人たちとの出会いは私にとって宝物になっていると感じています。
「双子はちゃんと育ててくれる親を選んで産まれてくる」
この言葉は、むかし本で読んでとても印象に残っています。「双子の子供たちは、産まれる前からちゃんと自分たちを大事に育てることができる人のところにしか現れない」と書いてありました。自分は子供たちに認められて、選ばれて双子の親になったんだと実感できた言葉でした。だからこそちゃんと選んでもらった責任を果たさないといけないなと身が引き締まる思いで常に過ごしています。
子育てと仕事の両立がしやすい環境ですか。
夫は育児や家事にとても協力的です。私の方が子供たちより朝早く、帰りも遅いので、夫が子供たちを送り出し、迎えに行ってくれています。そして夫の両親が近くに住んでいるので、週に2日程度夕飯までお願いしたり、急な体調不良の時など預かってもらったりと、たくさんサポートしてもらっています。また、子育て中の人のためのいろんな制度が状況に合わせて申請できたり、勤務時間も様々なパターンがあり、自分に合った時間で働くことができるのでワークライフバランスを保ちやすい環境は整っていると思います。
仕事や子育てに奮闘していて、「嬉しかったこと」や「苦労したこと」はありますか。
今思うと、ちょうど看護長になって部署が異動したタイミングと、子どもたちが年少になったタイミングが同じで、その時期が大変だと感じていたように思います。子供たちはまだまだ手がかかるのに、自分の事もままならないため、あまり構ってあげられなかった時期もあり、苦労した覚えがあります。また子供の扁桃腺の手術で入院させてもらったときには、まだ小さかったため付き添いが必要であり、小児科病棟で寝泊まりしながら職場と入院病棟とを行ききしていたこともありました。逆に嬉しかったことは、そんな大変だったことは関係なく子供たちは元気にすくすく育ってくれていることです。家に帰ると肩もみしてくれたり、お手伝いしてくれたりして苦労したことを吹き飛ばすくらい優しく育ってくれていることが何より嬉しいことだと感じています。
子育てと仕事を両立するコツは「なんとかなる!」という気楽な気持ちでいること
もちろん自分でできることは一生懸命やりますが、自分で何でもやろうと気負い過ぎないで、人に頼ることも必要です。仕事も子育ても完璧にこなしたいですが、なかなか難しいことだと思います。仕事中は仕事のこと、家では家族とのことだけを考え、頭を切り替えています。ちゃんとオンとオフでメリハリをつけて、できることを一生懸命取り組みます。「すべて完璧にこなさなきゃ」と自分を追い込みすぎるとノイローゼになってしまうので、きっとなんとかなる!という気楽な気持ちでいることがいいのかなと思っています。
子育てや仕事でモチベーションが下がったときはどのように対処していますか。
モチベーションが下がってしまった時は、マッサージやスーパー銭湯、カフェ巡りなど1人時間を楽しんだり、家族旅行に行くなどリフレッシュをして気持ちを切り替えています。また、アロマが好きなので寝る前にアロマオイルを焚いて癒されながら寝ることでリラックスでき良い気分転換になっています。
心に残っているアドバイスや周りからのサポートはありますか。
出産前は、大学時代の親友や職場の元先輩がいろんな相談にのってくれました。出産後も、離乳食の相談に乗ってもらったり、いらなくなったおもちゃや子供服を分けてもらったりして、とても心強かったです。また、ICU時代には麻酔科の先生に双子のパパがいたので、子どもの写真を見せ合ったり、休日に遊びに行くおすすめの場所はどこか聞いたり、勉強机はいつ頃買ったのか、そして二人分はどこに置くといいのかなど、双子にまつわる相談やあるある話で盛り上がりました。
お休みの日はどのように過ごしていますか。
毎週日曜日は、10時から16時まで2人の子供と一緒に地元の和太鼓チームの練習に参加しています。1年前までは近所の方との繋がりもあまりなかったのですが、チームに入ったことをきっかけにご近所付き合いも生まれました。様々な年代の人が参加しており、子供たちも楽しんで参加しています。運動不足も解消され、ストレス発散にもなります。子供たちと一緒に何かをすることは「今しかない」と思い、情熱を注いでいます。
藤田学園の魅力は「すべての夢が叶う場所」
藤田学園という大きな組織の中で自分が目指す場所がたくさんあり、人それぞれいろんな可能性を試すことができ、その夢が叶うところだと思います。看護師として就職しても、将来的に大学院へ行き、特定看護師や専門看護師の道や教員も目指すことができます。また、興味のある部署への異動や、結婚して住むところがかわっても辞めずに4つの病院のなかで選択することもできるなど、今の多様性社会の中で他では考えられないことを実現できる場所であることが魅力だと感じています。
今後の目標を教えてください
家庭では「事故なく」「怪我なく」
仕事では「目配り」「気配り」「心配り」
とにかく、子供たちは元気いっぱいなので、大きな事故にあわないようにと願っています。健康でいてくれさえすれば何とかなると思っています。仕事では、常に藤田ホスピタリティを目指しています。広い視野を持って細かなところまで気づく「目配り」、相手が次にどのような行動をするのか少し先のことを考えて行動する「気配り」、相手を想い、相手の心に寄り添い、相手の立場になって考えて行動する「心配り」が行き届いた病棟にすることが目標です。
若手看護師さんへメッセージ
あきらめず楽しんでチャレンジしてみて!
日々生活している中で、その時々の出来事に対しつらいなぁ、しんどいなぁと感じることはありますが、きっとうれしい、楽しいと感じている時間も同じように過ごしていると思います。仕事でもプライベートでも無理だと思うことも、できないと決めつけずに一度やってみるとできたりすることもあります。挑戦を苦に思わず、楽しんでやってみてください。そして、ちゃんと自分の時間も作ってリフレッシュしてください。仕事を頑張ったご褒美に旅行に行ったり、買い物したり、おいしいご飯を食べに行ったりすれば仕事も頑張れる気がしませんか?プライベートを充実させることで、仕事も頑張れると思います。
頑張って働いているパパ・ママを子供たちはちゃんと見ています。我が家の子供たちは、平日にあまり接する時間がなくても、朝は「頑張ってね」と送り出してくれ、帰ってくると「今日も一日お疲れ様」と声をかけてくれます。無理をしすぎず、適度に力を抜き、頑張ればその分いいことがあると思っていろんなことを楽しんでチャレンジしてみてください。悩み事や困りごとがあればいつでも相談に乗りますので、気軽に声を掛けてくださいね。
ママとしても看護師としても周りから慕われる酒井看護長。今年の目標は旦那さんに頼ってばかりではなく、自分もお子さんたちにもっと晩御飯を作ってあげることだそうです。昨今は働き方改革も推し進められ、効率的な経営戦略を通して、すべての医療従事者がワークライフバランスを保って働けるよう、本学も尽力して参ります。