臨床
・認知症・老年病で診断・治療をお求めのかた、日常生活でお悩みのかたなどに対して、ベストの医療を提供すべく励んでいます。
・外来では、もの忘れ外来および高齢者総合外来を行っています。もの忘れ外来では、認知症およびその前段階とされる軽度認知障害を中心に診療を行っています。高齢者総合外来は、もの忘れも含め、老年病全般について診療を行っています。
外来担当表はこちら
http://www.fujita-hu.ac.jp/HOSPITAL1/doctor-table/table1_571de9355a872/index.html
*新規外来受診については、原則、予約制となっています。かかりつけの医療機関から当院地域連携室経由での紹介・予約をお願いいたします。かかりつけ医もしくは身近な医療機関でご依頼下さい。
・現在、診療科独自の入院ベッドは持っていませんが、認知症ケアチームを組織し、本病院に身体的な疾患や手術を要する疾患で入院中の認知症症状のある方々への支援を行っています。
当科で診療する主な病態・疾患
老年病を高齢者の病気と捉えると、病院受診の約半数は高齢者であり、悪性腫瘍、心不全などの心疾患、肺気腫などの呼吸器疾患など非常に幅広いものになってしまいます。そこで、認知症・高齢診療科で臨床・教育・研究で主として行っている老年病について、簡単に解説しておきます。
老年病は加齢に伴って諸臓器におこる老化がベースにあるため、1つの疾患、1つの臓器など個別に対応を行うのは不十分なことが多いということが根底にあります。そのため、病気を主とするよりも生活を基本に考えることや、病院だけではなく地域とのつながりを考えることなども臨床・教育・研究の上での特徴です。老年病の主たる疾患・状態である、認知症、老年症候群、フレイル、サルコペニアについて以下に記載しておきます。
認知症は認知機能の低下に伴い、買い物、運転、銀行関係、調理、入浴などあらゆる日常生活場面に影響をもたらす疾患です。そのため、本人のみならず家族全体の日常生活のことも考え、診断・治療・ケアなど多面的に行うことが重要です。神経の変性や脳血管障害などに伴って発症し、行動面や精神面での症状も出てくることから、神経内科、精神科、リハビリテーション科、脳外科などとも連携して診療にあたるとともに、地域のかかりつけ医、介護関係者などとも協力していきます。
めまい、転倒、脱水、食欲不振、尿失禁、せん妄、抑うつなど高齢期に多い多数の疾患・症状を含みますが、1つの疾患、1つの臓器の不具合と特定することが難しく、加齢に伴う多くの臓器の不具合が重なっていることが少なくありません。また、いずれかの症状が悪化した場合、連鎖的に他の不具合も悪化し、総体として日常生活の質を損ねることにつながります。そのため、症状の基本を見極め、改善のための優先順位を決めることや、食事・運動などを含む生活習慣の見直しを行うことも重要です。
いずれもまだ耳慣れない言葉かもしれませんが、フレイルは虚弱を表わす英語frailtyから来ている言葉です。日本老年医学会で健常と要介護の中間的な状態を表わす用語として定義されています。サルコペニアはサルコ(筋肉)とペニア(減少)を合わせた言葉で、筋肉の減少を示します。加齢や廃用によって筋肉量や筋力が減少する状態を示します。フレイルは、年齢とは独立して死亡、入院、日常生活活動低下の危険因子となるといわれていますが、一方、フレイルの状態は運動、食事、適切な疾病管理などにより可逆的ともいわれているので、早めの対応が大切です。
老年病に対応するため、高齢者総合的機能評価、在宅医療、地域連携、多職種連携なども大切です。