Q&A - 魚アレルギー
魚アレルギーはどうして起こるのですか?
- 近年、アレルゲンが皮膚に繰り返し暴露されることで発症する「経皮感作による食物アレルギー」が注目されており、魚アレルギーの患者さんの中にも、同様の機序で発症してしまう方がいます。
- 特に寿司屋など、長時間にわたり鮮魚を素手で扱う方や、アトピー性皮膚炎患者さんのような皮膚バリアが維持できていない方では注意が必要です。
- また、魚を素手で触る機会が少ないにもかかわらず発症する方も多くおり、これら発症メカニズムについてはまだ解明されていないのが現状です。
魚アレルギーになったら、もう魚は食べられませんか?
- 魚アレルギー患者さんの中には、ある特定の魚のみ症状が出る人もいれば、多くの種類で出てしまう人もいます。中には、生魚は摂取できるが焼魚は摂取できない方もいます。まずは、専門の医療機関を受診し、摂取できる魚とできない魚を把握することが重要です。また、摂取できない場合でも、経口免疫療法という治療によって、少量の魚から摂取を開始し、通常の生活では困らない量まで食べられるようになることもあります。
- また、魚アレルギーだと思っていた方が、実はアニサキスという魚の寄生虫に対するアレルギーの場合もあります。まずは何が原因でアレルギー症状が出ているのかの特定が必要です。
魚アレルギーを防ぐにはどうすればよいですか?発症した場合、仕事を続けるのは難しいですか?
- 経皮感作が発症機序の場合は、その発症までに繰り返しの暴露経験が必要です。アレルギー症状がまだ出ていない方の中で、鮮魚を扱う方は常にリスクがあると思って予防することが重要です。例えば、鮮魚に触る際は必ず手袋やマスクなどを着用し、魚成分の飛散も含め魚と接触する部位を隠すなど、予防策をとってください。
- すでに発症してしまった方は、予防策に加え、ご自身の会社に魚アレルギーについて理解を深めてもらうのも重要です。職場環境の改善により発症リスクを最小限に抑えることができます。まずはアレルギー専門医と相談して下さい。
魚アレルギーにはどのような症状がありますか?
- 魚を食べたり、触ったりした後に出現する一般的な症状として、消化器症状(腹痛・下痢)や皮膚症状(蕁麻疹)などの即時型アレルギー症状が挙げられます。また、症状がひどい場合は、呼吸困難や血圧低下(アナフィラキシーショック)も引き起こすことが知られています。
魚の原因アレルゲンは何ですか?
- 魚のアレルゲンとして、筋肉中に含まれるパルブアルブミンやコラーゲン(1)がすでに報告されていますが、これら以外のアレルゲンも特定されています。当講座においても、新たなアレルゲンを特定し、その成果を学会や論文により公表しています(2)。
- (1) Hamada Y. et al. Biosci Biotechnol Biochem. (2001)
(2) Shimojo N. et al. Contact Dermatitis. (2017)