エマヌエル症候群(OMIM 609029)は、過剰der(22)t(11;22)症候群としても知られており、その特徴は多発性先天性異常、頭蓋顔貌の異常、重度の認知障害です(Emanuel et al., 1976; Fraccaro et al., 1980; Zackai and Emanuel, 1980; Iselius et al., 1983; Lin et al., 1986)。親がヒトで最も頻度の高い染色体相互転座である11番と22番染色体均衡転座を持ち、罹患者には親の減数分裂時に転座染色体が3:1に分離した結果として生じた染色体が不均衡な部分があります。保因者は通常、習慣流産や不妊症の精査、エマヌエル症候群の子供の誕生後に同定されます(Fraccaro et al., 1980)。t(11;22)(q23.3;q11.2)均衡転座の保因者の児が満期まで生存してこの症候群をもって生まれる可能性は10%弱です(Emanuel et al.,1976; Zackai and Emanuel,1980; Iselius et al.,1983)。
この症候群についての臨床情報の大部分は1980年代半ば以前に論文発表されました(Emanuel et al., 1976; Fraccaro et al., 1980; Zackai and Emanuel, 1980; Iselius et al., 1983; Lin et al.,1986)。先天性異常は、よく記録してあり、心疾患、口蓋裂、尿生殖路の異常、腸閉鎖があります。頭蓋顔貌異常も、詳しく記述されていました。発達は、乳児期から大幅に遅延します。しかし、既存文献では、生後数年以降の情報は非常に限られています。エマヌエル症候群の正確な乳児期死亡率は不明ですが、長期生存も可能です。