以下の家族の方々は、ほかの家族の方々が11/22部分トリソミー
の子供たちのことをよく知るために、快く参加して頂きました。
参加して頂いたみなさん、どうもありがとうございました。
●[家族1:アメリカ、男児]
1990年10月27日生まれ。母は28才、父は32才。お子様は1992年2月6日に亡くなられました。お子様は骨盤位のため、帝王切開で生まれました。
母は均衡型t(11;22)転座の保因者で、新生転座でした。母方の祖父母はt(11;22)を持っていませんでした。お子様には3人の兄弟がおられ、均衡転座の保因者の女の子、正常核型の女の子、均衡転座の保因者の男の子です。母は、4回の流産を経験しておられます。
お子様の出生体重は6ポンド9オンス(2977グラム)、身長は18インチ(45.7センチメートル)。お子様には、口蓋裂、小下顎、耳介の前の小孔、首の皮膚のたるみ、耳介後方付着、低緊張、頑固な便秘と繰り返す中耳炎がありました。生後16ヶ月で亡くなられる時まで歯がありませんでした。心房中隔欠損、心室中隔欠損、軽度の肺動脈狭窄がありました。心室中隔欠損は自然治癒、心房中隔欠損は、お子様がもしもう少し長く生きておられたらいずれ手術が必要だったでしょう。4ヶ月の時には、中耳炎の液体貯留のため、耳にチューブを入れました。
言葉は、とくに、食べること、お出かけすること、服を着ることなどに関する言葉は、よく理解しているようにみえました。4-5ヶ月の時に「ママ」といい、1才の時に「ダダ(パパのこと)」と言いました。
仰向けからうつ伏せ、うつ伏せから仰向けに寝返りをすることが可能でした。ハイハイはできなかったのですが、13ヶ月の時に、お座りで移動することが可能になりました。寝ている状態から自分で座ったり歩いたりして移動することはできませんでした。哺乳瓶を使って飲むことができましたが、ひとりで飲んだり、噛んだりすることはできませんでした。お子様は、口蓋裂の手術の後に肺炎を併発して、亡くなられました。
お子様は明るい快活な男の子で、4ヶ月の頃からは午後8時から午前7時までよく眠り、日中はよくお昼寝をしました。「セサミストリート」が好きで、乳母車や、おんぶや、お父さんの自転車で散歩に行くのが好きでした。多くのおもちゃや人や動物、とくに子猫や子犬に興味を持ちました。両親や先生やまわりのみんなに喜びをもたらしました。
●[家族2:アメリカ、女児]
1973年12月15日生まれ。母は33才、父は31才。母は、1回流産を経験している。母は、均衡型転座の保因者でした。母方の祖母と曾祖母がともにt(11;22)転座の保因者でした。
出生体重は、6ポンド2オンス(2778グラム)、身長は22インチ(56センチメートル)。25才の現在、体重85ポンド(38.5キログラム)、身長4フィート11インチ(150センチメートル)。
お子様には、耳介の前の小孔、耳介低位、低緊張、小頭症、歯牙萌出の遅延、脊柱側弯症があり、痙攣のため薬物治療を必要としました。心室中隔欠損症がありましたが、症状はありませんでした。乳児から幼児の間は、中耳炎にかかりやすく、その結果、少し聴力障害を生じました。チューブを挿入したこともありました。2次性徴は来ませんでした。最近の超音波では、子宮や子宮頸部がありませんでしたが、小さいながらも正常の卵巣がひとつありました。
彼女は言葉を理解し、ジェスチャーや絵、身体言語(みぶり言葉)を使っています。言葉をしゃべることはできません。限られた手話で「行く」、「赤ちゃん」、「食べる」、「飲む」を表現します。彼女は、ある程度、トイレに行きたいことを教えることができます。トイレは自立しており、夜間のみ、おむつを必要とします。
彼女は、仰向けからうつ伏せに寝返りをすることができましたが、ハイハイをすることができませんでした。彼女は、ひとりで座る事ができ、人の手を借りずに歩くことができます。彼女は、自分で指やスプーンを使って食べることができ、自分でコップを持って飲むことができます。
彼女の性格は社交的で、周りの人々が好きで、外に出かけるのが好きです。そして、あらゆる種類の音楽を聞き、非常に楽しんでいます。電子ピアノを弾いて長い時間を過ごしています。
●[家族3:イングランド、男児]
1993年9月16日生まれ。30才の均衡型転座の保因者の母親から正常妊娠後、生まれました。父は29歳。母には不妊症の時期があり、2回流産しました。ご夫婦には、もうひとり、女のお子様がいますが、均衡型転座の保因者でした。母親にひとりいる兄弟もまた均衡型転座で、11才の姪もまた、不均衡型転座でした。
出生体重は、3.5キログラム、身長は53センチメートルです。5才となった現在、体重は18キログラム、身長は104センチメートルになりました。
お子様には、鎖肛、耳の小突起、低緊張、腎臓欠損、斜頸がありました。肺動脈狭窄症もあり、5年間毎年、心エコーの健診を受けました。眼鏡を必要とし、中耳炎を繰り返し、便秘があり、歯牙萌出が遅延しました。中耳炎のせいで少し聴力障害があり、3つのチューブを耳に入れています。大変低い音を聞くことができないのですが、補聴器の必要はありません。
言葉を一部理解しますが、手話を使ったり、しゃべったりすることができません。トイレは自立していません。寝返りは全くできませんが、うつ伏せの姿勢から、座ることができます。ハイハイはできませんが、20ヶ月の時にボトムシャッフルをし始めました。10ヶ月の時にはひとりで座ることができ、4才の時に、寝そべった状態から自分で座ることができるようになりました。補助をすれば歩くこともできます。
自分で指やスプーンを使って食べることができ、自分でコップから飲むことができます。おとなしい、かわいい性格の子供で、容姿は魅力的で、音楽はなんでも好きで、ビデオを見るのが好きで、動きのあるもの、抱きしめられるのが好きです。音のするおもちゃや、動くおもちゃが好きです。
●[家族4:イングランド、男児]
1997年8月31日生まれ。母は30才、父は30才。母は、t(11;22)転座の保因者であり、流産を1回経験していますが、この妊娠中は何の問題もありませんでした。お子様の出生体重は、6ポンド8オンス(2948グラム)。19ヶ月の現在、体重は24ポンド(10.9キログラム)、身長は82センチメートルです。
お子様には、耳介の前の小孔、鞍鼻、低緊張、仙骨のくぼみ、小陰茎があり、痙攣のため薬物治療を必要としました。呼吸器感染や中耳炎を頻繁に繰り返しました。16ヶ月の時に耳チューブが挿入されましたが、数週間で詰まってしまいました。現在、補聴器を使っていますが、今のところ難聴が永続的のものなのか、液体の貯留によるものなのか、はっきりしません。3ヶ月の時に、心不全と重い肺炎のせいで動脈管開存症結紮の手術が行われ、成功しました。お子様は現在のところ、コミュニケーション能力が限られていますが、単純な物事は理解できます。例えば、ジュースが欲しいときに、それを見せてあげれば欲しいことを伝える事が出来ます。
生後6週で、股関節脱臼の予防のためにエジンバラ・ギプスを装着し、右足の弯足を治療するために小さな靴をはきました。彼は、生後数週の時に激しい腹痛と便秘がありました。
うつ伏せから仰向けに、仰向けからうつ伏せにと寝返りをすることができ、19ヶ月でハイハイを覚えました。彼は、16ヶ月でひとりで座ることも覚えました。手伝ってあげればコップから飲むことができます。いつも幸福で愛想がよく、普段は痛みがあるときのみ泣き、常に喃語をしゃべっています。特に空中に投げ出されるのが好きで、歌ってもらうこと、お風呂が好きです。
●[家族5:アメリカ、男児]
1998年6月2日生まれ。1999年5月21日に急逝しました。
出生時、母と父はともに29才でした。母は、流産を1回経験しており、妊娠中は、3-4ヶ月の時に不正出血があり、切迫早産がありました。母は、t(11;22)転座の保因者です。他の家族は、そのうち検査をすることになっています。
お子様の出生体重は、4ポンド4オンス(1928グラム)、身長は、18.5インチ(47センチメートル)。3ヶ月の時には、体重は、9ポンド7オンス(4.3キログラム)、身長は20インチ(50.8センチメートル)でした。生まれつきピエール・ロバン症候群、口蓋裂、小下顎があり、呼吸と、吸うことや飲み込むことが困難でした。鎖肛、耳の小孔、耳介低位、膀胱腎臓逆流による腎機能異常、水頭症、停留睾丸、胃食道逆流もあります。心臓には、動脈管開存症、卵円孔開存、大動脈狭窄があります。3ヶ月の時には、声や音楽に反応しました。チューブ栄養を必要としました。死亡原因は、心肺停止によるものでした。
●[家族6:カナダ、女児]
1995年2月2日生まれ。母は34才、父は35才。母は、以前に流産を1回経験していました。母と17才の娘がt(11;22)転座の保因者でしたが、息子は保因者ではありません。
お子様の出生体重は、2ポンド10オンス(1191グラム)、身長は、19インチ(48.3センチメートル)。4才の現在、体重が35ポンド(15.9キログラム)、身長が41インチ(104センチメートル)です。鎖肛、耳の小突起、耳介低位、外耳変形、低緊張、心房中隔欠損症、過剰肋骨、仙骨のくぼみ、胃食道逆流、痙攣、股関節脱臼があります。また中耳炎や呼吸器感染を繰り返しました。そして歯牙萌出の遅延がありました。液体の貯留のため耳チューブを4本入れていて、難聴がありました。言葉を理解する事ができないようでした。仰向けからうつ伏せに寝返りをすることができ、3才の時にはひとりで座ることが出来ました。チューブ栄養と吸引を必要としました。音楽刺激は有効で、楽しんでいるようでした。そして最近、ハグ(抱きしめること)を覚えて、両親は大喜びです。いつも微笑んでいます。
●[家族7:アメリカ、女児]
1986年1月2日生まれ。母は36才、父は35才。母は、t(11;22)転座の保因者です。母は、一度も流産を経験していませんが、不妊症の時期がありました。
お子様の出生体重は、7ポンド(3175グラム)、身長は21インチ(53センチメートル)。13才の現在、身長が5フィート(152センチメートル)、体重が95ポンド(43キログラム)です。出生時に、高口蓋、耳介の前の小孔と小突起、鞍鼻、低緊張、腎機能異常、仙骨のくぼみ、斜視(そのため現在、眼鏡をかけています)、首の皮膚のたるみ、気管軟化症がありました。中耳炎や便秘を頻繁に繰り返し、触覚防衛反応がありました。耳は、液体の貯留により軽度の難聴があり、耳チューブを挿入していました。思春期は通常通り到来しました。決まった言葉や要望は理解しますが、言葉が話せず、手話も使えません。おおよそ2才でハイハイを覚え、短い距離なら手助けなしで歩く事ができます。自分の指で食べることができ、自分でコップから飲むことができます。フォークは使えますが、まだ食物をすくいあげることは出来ません。音楽が好きでリズム感覚が素晴らしいです。一般に新しいことをするのには、おびえます。からだを動かすのが好きで、泳いだり、庭のトラクターやバイクに乗るのが好きですが、毛皮のおもちゃや生きた動物が嫌いです。
● [家族8:アメリカ、女児]
42才の母から生まれました。父は45才。父がt(11;22)転座の保因者です。母は、一度も流産を経験した事がありません。3人いる兄弟のうちひとりの男児がt(11;22)転座の保因者です。父方の祖母、父の叔母二人も転座の保因者です。父の姉妹も転座の保因者です。
お子様の誕生日は、1998年6月5日です。出生体重は、6ポンド10オンス(3005グラム)、身長は21インチ(53.3センチメートル)。10ヶ月の現在、体重は、14ポンド13オンス(6.7キログラム)、身長が25インチ(63.5センチメートル)です。出生時に小下顎、吸う事と飲み込む事が困難、呼吸困難があり、発育不良、耳介の前の小孔と小突起、外耳変形、鞍鼻、低緊張、仙骨のくぼみ、(法律上)失明、長い指、首の皮膚のたるみ、股関節異形成、股関節脱臼、触覚防衛反応がありました。心臓には異常はありませんでした。左耳には聴力障害があり、右耳は、聴覚反応の遅延がありました。愛らしく、かわいいお嬢さんです。抱きしめられたり、歌ってもらうことが大好きです。座ったり、寝転がって遊ぶことを好みます。
●[家族9:イングランド、女児]
34才の母から生まれました。父は37才。母は、t(11;22)転座の保因者であり、7回の流産を経験しています。ほかに二人の娘さんがいますが、ともにt(11;22)転座の保因者です。母方の祖父もまたt(11;22)転座であり、祖父の3人いる息子のうちひとりも保因者です。
女児の誕生日は、1986年5月27日です。出生体重は、5ポンド8オンス(2495グラム)。13才の現在、体重が84ポンド(38キログラム)、身長が5フィート(152.4センチメートル)です。高口蓋、小下顎、発育不良、耳の小突起や外耳変形、鞍鼻、低緊張、腎臓欠損、まれにおこる痙攣、長い指があります。またエナメル質の欠損や歯牙萌出の遅延、脊柱側弯症、便秘や中耳炎、呼吸器感染を繰り返しました。心房中隔欠損症と心室中隔欠損症があり、17ヶ月の時に手術をしました。5才の時には、肺動脈絞扼術を必要としました。補聴器を薦められましたがうまく使えませんでした。思春期は通常通り到来しました。必要最小限の言語は理解力でき、いくつかの文章は理解できます。トイレに行きたいことを伝える事ができないので、おむつを必要としています。6才の時にはひとりで座る事ができ、寝ころんだ状態から座ることができました。手を貸してあげると歩く事ができ、手伝ってあげるとコップから飲む事ができます。赤ちゃんの時はチューブ栄養でしたが、大きな心臓の手術の後、摂食に関しては本当に上手になったようです。食事の時間が好きで、決まった時間に食事が来ないとすごく怒ります。ここ数年で微笑むことと声を出して笑うことを覚えましたが、ほんの時々です。いまだに十分の水分をとることができないことが問題です。免疫系は毎年、発達しているように見えます。深い悲しみから、信じられないほどの興奮状態まで、すごく幅広い情動を示します。私達は、彼女が楽しいときや、怒っているときがわかります。そして、本当にものすごく一生懸命やれば、あなたが待っている、彼女の微笑みや笑い声を得ることができます。
●[家族10:アメリカ、双子女児]
40才のご両親から生まれました。母は、t(11;22)転座の保因者で、流産を1回経験しています。母には、三人の兄弟がいますが、そのうち二人もまたt(11;22)転座の保因者です。母には、他に4人のお子様がいますが、そのうち息子一人と娘一人もまたt(11;22)転座の保因者です。母方の祖母がt(11;22)転座の保因者であり、母の姉妹のうちひとりもt(11;22)転座の保因者です。孫息子と、おいの娘がt(11;22)転座の保因者です。
双子女児の出生日は、1975年1月1日です。体重は4ポンド11オンス(2126グラム)、もうひとりが4ポンド13オンス(2183グラム)、24才の現在、体重は85ポンド(38.6グラム)、身長は4フィート6インチ(137センチメートル)です。ふたりとも、口蓋裂、小下顎、耳の小孔, 鞍鼻、低緊張がありました。ふたりとも眼鏡をかけています。ひとりは、長い指をしています。ふたりとも、小さな心雑音があり、何度も耳にチューブを挿入しました。ひとりは、両側の乳様突起炎をおこし、片方の耳は鼓膜の置換手術をし、外耳道をまっすぐにするための形成外科手術も行いました。もうひとりもまた、乳様突起炎をおこし、新しい鼓膜を入れる手術を行いました。ふたりとも、いくぶん難聴があると思われます。ふたりとも、思春期は通常通り到来しました。
ふたりとも、何を言われているかは理解出来ます。ひとりは、ボードを利用することで、コミュニケーションがうまくいきました。ふたりとも、トイレに行くことを伝えることができ、トイレは自立しています。ふたりとも手を貸してあげると歩く事ができます。自分で食事を取ることはできませんが、手伝ってあげるとコップから飲む事が出来ます。ひとりは、アルバムを見ること、本を読んでもらって遊んでいます。また、料理や工芸のテレビ番組が好きです。愛想がよく、買い物や親戚の家に遊びに行くことが好きです。彼女は他人に対してとても繊細で、他の人が車椅子に乗っているのを見ると不安になり、他人の失敗を心配したり、心を痛めたりします。もうひとりは、台所にもたれて見ているのが好きです。映画や演劇が好きです。目線が合うのが嫌いで、誰かが見ているのに気が付くと、目をそらしたり、動きを止めます。買い物に行くのが嫌いで、ドライブ中や散歩中に何かで止まるのが嫌いです。
(文責:細羽、倉橋)