<セントピエールさんのホームページより> 症状について(2)
 
 
 
 
 
 
エマヌエル症候群の子供たちの成長発達
 
(この項に書いた情報は、患者さんのご家族との個人的なおつきあいや、症例報告から得たものです。私の娘に関する情報はひょっとしたら他の患者さんには当てはまらないかもしれません。それぞれの項目に関してはご自身の主治医である専門医に相談してください。ここにあげた情報は勉強のためにのみ使用してください。)
● 知的発達の遅れ ● 言語 ● 運動の遅れと異常 ● 先天性股関節脱臼 ● 心臓の病気 ● 歩行
 エマヌエル症候群の子供の最も重要な問題のひとつが、知的発達と運動発達の遅れです。早い段階で対応してあげることで、その子供の持つ能力を最大限に発揮させてあげることができます。あなたのお子様の知的発達と運動発達の遅れを補助するためにできることはたくさんあります。ほとんどの地域はそれぞれ、早い時期からの療育プログラムを持っていて、あなたのお子様はそれを受けることができます。そこで、どうすれば子供の感覚を刺激することができるか、どうすれば触覚防衛反応や、言語の発達や、運動の発達を補助することができるのか、に関して教えてくれます。
 私達のグループのエマヌエル症候群の130人の患者さんの中では、言葉をしゃべれる子供は大変少ないです。一部の子供は少しの単語を覚えることができ、1,2人は文章をしゃべることができましたが、これは非常に珍しく、通常はそうではありません。私達の子供は大部分は言葉がしゃべれず、多くは、例えば手話とか、絵による代替の方法とか、別のコミュニケーションの方法を使っています。
 低緊張は11/22転座の子供の約30%にみられます。これは、よく、全身が「ぐにゃぐにゃ」である、と表現され、子供の筋肉に緊張がありません。中枢神経系の機能が悪いときの特徴で、子供は力が無くて、関節の運動を支えることができません。運動療法によってこれを助けるのがよく、それによって改善します。ただし、低緊張はたいてい残ります。
 先天性股関節脱臼も11/22転座の子供に共通してよくみられ(約25%)、時には手術を必要とします。初期に有用な治療は、おむつを2枚重ねて使い、足を「かえるの足」の位置に保つことや、装具も有用です。マイアの場合は、股関節の形成不全でした。彼女の股関節はたいへん浅く、十分大腿骨のまわりを囲むようにできていなかったため、生後2ヶ月の時に脱臼が見つかりました。数週間の間、おむつを2枚重ねにし、療法士さんの方針で、立たせるような装具で股関節の上にかかる加重をふやして、股関節の正常発達を促しました。現在は整形外科の専門医にみてもらっていますが、手術が必要だとは思っていません。ただ、一部の子供には手術が必要です。股関節の低形成や脱臼は、子供が大きくなったあとから関節炎を併発するかもしれません。
 11/22転座の子供の歩行は遅れます。11/22転座の最も古い報告では、独歩は2-3才と書いてありますが、私が見る限り、歩行を練習した子供の大多数は5才前後かそれ以降に歩行可能となります。一部の子供はそれ以降になっても歩きませんし、また、一部の子供は全く歩きません。他の症候群でもそうですが、症例によって変わります。最も重要なことは、支援と治療を続けることです。
 
もしあなたが新しいご両親で、はじめてこの文章を読んだら、すごくたいへんなことのように聞こえるでしょう。他のメンバーの話を聞いてみるために、私達に連絡してください。
 約50%の11/22不均衡転座の子供は、生まれた時から、なんらかのタイプの先天性心疾患を持っています。11/22転座の子供に関連した心疾患には多くの種類があります。報告されているもので最も頻度が高いのは心房中隔欠損、心室中隔欠損、動脈管開存ですが、他のものもみられます。