藤田医科大学 ばんたね病院 消化器外科

下肢静脈瘤どうやって治すの?

下肢静脈瘤とは?

下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)は足の血管の病気です。
下肢とは足のことで、静脈瘤は血管(静脈)が文字どおりコブ(瘤)のようにふくらんだ状態のことをいいます。

静脈の逆流がうっ血症状の原因

下肢静脈瘤の治療方法→逆流を止める

保存的治療

圧迫療法

逆流を抑え込む。よどんだ血液・リンパ液を押し流す

市販品:着圧ストッキング

静脈瘤などの疾患がない方

▲ 当科は上記商品を推奨しておりません

医療用:弾性ストッキング

  • 必ず医師に処方してもらってください。
  • 圧迫力、サイズ、型が異なります。
  • 履き方の指導を受けてください。

医療用弾性ストッキングと市販品:着圧ストッキングの違い

  1. 圧迫圧:足をしめつける(圧迫する)力が異なる
  2. 段階圧:足首が一番圧が高い
  3. 長持ちする(半年程使用可能)

間違った物を選ぶと、、、

  • むくみがひどくなる
  • 締めつけが強すぎ血行障害が起こる
  • 心不全が悪化する

弾性ストッキング

  • 朝起きたら履く、寝る前に脱ぐ。
  • きちんとした圧迫力が必要。
  • しわを伸ばしながら履く。
  • 傷が化膿している時ははかない。
  • 医療機関で処方してもらう。

*開腹手術や整形外科手術時の血栓症予防のものとは異なる。

弾性ストッキング治療を行った患者さん

83歳、女性

積極的に逆流をとめる治療

手術適応

  • 美容・整容的適応
  • 静脈うっ滞(むくみ)症状がある
  • 静脈瘤に伴う皮膚症状がある
  • 他に大きな病気がない

良性疾患で足切断や死亡することはない!!

硬化療法

硬化療法を受けた患者さん

*開腹手術や整形外科手術時の血栓症予防のものとは異なる。

簡単な(負担の少ない)手術

1)ストリッピング手術(伏在静脈抜去切除術)

小さな2カ所の傷から逆流の主たる原因の静脈を引き抜く。
再発が少ない。

伏在型静脈瘤が適応

*蛇行が強くカテーテル挿入できない、血管が太い等の血管内焼灼術の適応とならない症例

ストリッピング手術を受けた患者さん

2)高位結紮(切離)術

硬化療法や静脈瘤焼灼術と同時に施行することもある。

3)瘤切除術

単独では行われずストリッピング手術や高位結紮(切離)術に併用される。
最近はあまり行われない。

3)Stab avulsion法(スタブ アバルジョン法)

Stabとは“刺す”という意味で、注射針で皮膚を刺し、その隙間からフックを使って血管を引き出す。
他の治療と組み合わせる。

血管内治療

4)静脈瘤血管内焼灼術(カテーテル治療)

熱を加えて拡張した血管を閉塞させる。大きな傷跡が残らない。
痛みが少ない。局所麻酔、体の負担が少ない。手術時間は片足約15~20分。すぐに歩ける。

EVLA:レーザー焼灼術

レーザーはファイバー先端からレーザーを照射し血管壁を焼灼閉鎖する。

RFA:高周波(ラジオ波)焼灼術

ラジオ波は血管壁の蛋白を直接熱凝固変性させることにより血管壁を閉鎖する。

レーザー、ラジオ波治療の違いは?

  • 焼灼方法が若干異なります。
  • 手術時間、合併症、再発に大差はありません。
  • 当院では静脈瘤の状態(蛇行、太さ等)、皮膚の薄さ等によって使い分けています。

血管内焼灼術を受けた患者さん

5)スーパーグルー治療 VenaSeal closure system

カテーテルからシアノアクリレートという接着剤を血管内に注入して血管をくっつける。

よくある質問

Q.治療には入院が必要?

  • 大きな潰瘍(傷)や感染症を起こしていなければ日帰りでも治療可能です。
  • 当院では遠方の方や術後心配な方は1泊2日の入院治療も可能です。

Q.麻酔はどうするの?

  • 局所麻酔で行ないます。
  • 局所麻酔アレルギーや極度の緊張症の方は
    静脈麻酔や全身麻酔で行ないます。

Q.血管を抜いたり焼いたりしても大丈夫?

  • 治療をするのは表面の血管なので、深部静脈が問題なければ大丈夫です。
  • 静脈はネットワークがたくさんあるので一部がなくなっても心配ありません。

Q.お風呂には入れるの?

  • 焼灼術や硬化療法は湯船につかっても大丈夫です。
  • ストリッピング術や結紮術など皮膚を切開した治療はシャワーのみとなります。

Q.仕事はいつから?

  • 仕事内容にもよりますが、術後2~3日目から可能です。
  • 家事、日常生活は当日から可能です。
  • 軽い散歩は当日からできます。

治療(手術)までの流れ

①外来受診(問診/視診)
・超音波(エコー)検査
②再診(結果説明/弾性ストッキングの案内)
・採血、心電図、レントゲン、(CT検査)
③外来で手術説明
④手術(日帰り または 1泊2日入院)
⑤術翌日 診察(日帰り手術の方のみ)
・超音波(エコー)検査
⑥術後7~10日目 診察
・超音波(エコー)検査
⑦術後1ヶ月後 診察
・超音波(エコー)検査

治療(手術)費用:日帰り/片足の場合

日常生活で気をつけること

  • じっと座ったままや長時間の立位はさける
  • 締め付けのきつい下着は避ける
  • ハイヒールは避ける
  • 就寝の際はクッションを足元に置いて脚を高くする
  • 適度な運動を心掛ける
  • つま先立ち運動
  • 足首の運動

静脈瘤はきちんとした専門医で治療しましょう

静脈瘤は簡単な治療で治すことができますが専門的な知識が必要です。

きちんとした資格を持った医師が在籍している医療機関が望ましい。

静脈瘤焼灼術 実施施設基準

どこでもできるわけではありません。
当院では治療をする医師は全て指導医資格を持っています。

静脈瘤焼灼術 実施施設基準の詳細についてはこちら

当院の静脈瘤治療実績

2017 2018 2019
下肢静脈瘤手術 52 55 66

再発症例の手術件数も増えています。

まとめ

  • 静脈瘤は簡単に診断でき、確実な治療をすればきちんと治ります。
  • 低侵襲な血管内焼灼術での治療が可能です。
  • 日帰り、1泊2日での治療が可能です。
  • 気になる症状があれば専門医の受診をおすすめします。