胃癌、大腸癌、食道癌、肝癌、膵癌などの消化器がんのみならず、鼠径ヘルニア、虫垂炎、胆石・胆嚢炎、腸閉塞、食道裂孔ヘルニア、肛門機能疾患などの良性疾患、肝移植を要する病態など、外科治療を要するすべての消化器疾患を対象として診療を行っています。
特に、難易度の高い手術を得意とし、消化管、肝胆膵各領域のエキスパートがチームを組み、豊富な経験と高度な技術に裏打ちされたロボット手術、系統的肝切除、肝移植、膵手術などを日常的に行っています。
がん治療では、他診療科との連携に基づく集学的治療により予後向上を目指すとともに、過不足のない切除と丁寧な消化管再建を行い、合併症が少なく機能温存に優れた手術を行うよう心掛けています。
看護師、薬剤師、栄養士とのチーム医療による診療体制を確立し、地域医療機関との病診連携、医療安全にも力を入れています。
低侵襲手術については、1994年に腹腔鏡下大腸切除術、1997年に腹腔鏡下胃切除術、2005年に腹腔鏡下肝切除術、2006年に腹臥位胸腔鏡下食道亜全摘術を導入しました。2009年1月にはロボット手術を開始し、順次胃、食道、大腸、肝、膵領域に適応を広げて参りました。
先進医療B「内視鏡下手術用ロボットを用いた腹腔鏡下胃切除術」では、研究代表施設として消化器領域のロボット手術保険収載に大きく貢献しました。国内、海外における低侵襲手術、ロボット支援手術をリードしています。
肝切除については、高難度低侵襲肝切除の術式を定型化しました。他施設で治療不能とされた症例においても、行い得る術式やその安全性を十分に検討した上で積極的に受け入れ、患者さんの目線に立って最適な治療を模索するよう心がけています。
本年4月より、先端的な手術手技や医療機器の開発を主眼とした先端ロボット・内視鏡手術学講座(宇山一朗主任教授)が開設されたことに伴い、当科は体制を刷新致しました。
主任教授・須田、上部消化管班長・柴崎、下部消化管班長・廣、肝胆膵班長・高原、腫瘍班長・松岡、代謝栄養班長・田中の6名を中心に、当科が得意とするロボット手術を中心としたがんに対する低侵襲手術は元より、最新のがんゲノム医療やがん薬物治療、肝移植、腹部救急疾患への対応,周術期管理など多職種連携が不可欠な分野にこれまで以上に積極的に取り組み、専門性を高めつつ裾野を広げ、皆様により一層貢献できるよう全力を尽くします。
計 | ロボット | 腹腔鏡 | 開腹 | |
---|---|---|---|---|
食道がん | 23 | 23 | ・ | ・ |
胃がん | 133 | 119 | 11 | 3 |
胃空腸吻合 | 24 | ・ | 24 | ・ |
胃GIST | 9 | 3 | 3 | 3 |
結腸がん | 246 | 2 | 214 | 30 |
直腸がん | 130 | 117 | ・ | 13 |
大腸・小腸良性 | 18 | ・ | ・ | ・ |
肝切除 | 117 | 18 | 49 | 50 |
小児生体肝移植 | 2 | ・ | ・ | ・ |
成人生体肝移植 | 1 | ・ | ・ | ・ |
膵頭十二指腸切除 | 35 | 14 | 1 | 20 |
膵体尾部切除 | 32 | 9 | 12 | 11 |
胆嚢摘出 | 146 | ・ | 141 | 5 |
(肝胆膵高難度手術) | 117 | 32 | 26 | 59 |