診療科案内
臨床
消化器救急
消化器内科は救急疾患を多数扱う診療科の一つです。藤田医科大学病院は救急外来(ER)のほか、救命ICU、NCU、CCU、GICU、災害外傷センターを備え、年間で救急車約9000台を受け入れており、2021年4月から高度救命救急センターとして指定を受けました。消化器内科は24時間365日の体制で救急疾患を受け入れております。○○年の緊急内視鏡の検査数は○○件であり、迅速かつ適切な処置により多くの患者様の救命に貢献しています。
腹部超音波
腹部超音波検査は消化器内科に留まらず、臨床医にとって非常に重要な検査モダリティです。低侵襲でリアルタイムに画像診断が可能であり腹部疾患の多くにおいてその有用性が明らかになっています。藤田医科大学病院のB棟二階には全○室を備える超音波センターがあり、腹部のみならず全領域の超音波検査がここで行われています。臨床検査技師と医師が主に検査を担当し、迅速かつ適切な診断を心がけています。腹部超音波検査は年間○件と、この地域では圧倒的な検査数を誇ります。第二世代超音波造影剤を用いた検査は肝癌をはじめとする腫瘤性病変の診断に非常に有用であり、ほぼ毎日造影超音波検査も行われています。定期的な超音波カンファを開催し画像所見から臨床転帰を振り返る機会を設け診療のレベルアップに努めています。
ERCP
内視鏡を用いて主に胆道系膵臓系の細密検査・治療介入の際に行われる手技です。当科ではERCP関連手技を年623例(2019年度)施行しています。内視鏡手技の中ではいまだに偶発症が多く、一歩誤ると重篤な偶発症を生じてしまう可能性もあるため、大学病院として高度かつ安全な手技に努めています。最近では親子式胆道鏡を用いた診断や治療介入、選択性の高いガイドワイヤーの使用、最閉塞が少なくなることが期待できる胆管内埋め込み型のプラスチックステントや逆流防止機構のついたメタリックステントの使用など、新規モダリティをうまく活用しながらより安全で確実な手技に努めています。
EUS/EUS-FNA
EUS(超音波内視鏡)とは内視鏡の先端に超音波プローブを有し消化管内腔から主に胆道系や膵臓、消化管粘膜下腫瘍などを観察する検査モダリティです。膵癌診療ガイドラインにおいても微小な膵癌を発見するのに最も適した検査として挙げられています。当科では膵疾患が疑われる患者様に積極的にこの検査を受けて頂けるよう、検査体制の拡充をはかりました。またEUS-FNAはそのEUSを用いて実際に超音波観測下に細い穿刺用針を用いて病変にアプローチし病変の病理診断に役立てる検査です。当院では年間○件のEUS(内○件がEUS-FNA)を行っています。今後増えいくことが予測される膵癌などの膵疾患に十分対応できる体制が藤田医科大学病院にはあります。また、FNAで得られる病理検体は微小ですが、今後の方向性としてがん遺伝子診療に役立てることが出来ないかを院内各部署と連携して努めております。
EUS下瘻孔形成術
上記のEUS-FNAの手技を応用し、胆道のドレナージや膵炎後の被包化膵壊死の治療を行っております。この手技は臨床的有用性は非常に高い一方で、胆汁や消化液が腹腔内に漏れるなどの重篤な合併症も生じうるものです。特に近年では被包化膵壊死に対する大口径ステントの留置が注目されており、藤田医科大学病院は近隣の大学病院よりも多くの症例の経験があり、またその臨床的有用性も非常に高いものが分かってきました。消化器内視鏡学会等からは、この手技は十分な経験のある施設で行うことが推奨されております。
膵癌診療
日本における膵癌の患者数は増加傾向であり、社会的にも大きな問題になっています。膵癌診療ガイドラインも頻回に更新され、その診断や治療法は日進月歩です。切除可能膵癌に対しては毎週外科医と情報共有する場(膵癌クラスター)を設け速やかな診断→術前治療→手術までの連携を図っています。また切除不能膵癌であっても、外科や臨床腫瘍科や放射線科と密に連携し最善の治療を提案できるように努めています。
実際に切除不能膵癌の診断からコンバージョン手術に移行しお元気に社会復帰されている患者様もいらっしゃいます。膵癌の早期診断や予後改善は、今後の最重要課題と考え臨床から研究まで幅広く対応しております。
肝癌診療
肝炎診療
緩和ケア
藤田医科大学病院は近隣の大学病院にはない、緩和ケア専属病棟を備えた大学病院です。消化器癌の診断早期の段階から多職種が関与し苦痛や疼痛がないQOLの保たれた生活が送れるように連携しています。入院の必要が有る場合も上記緩和ケア病棟と調整を速やかに行っています。また当科スタッフからも定期的に緩和ケア病棟へ人員派遣を行っております。
当科のコロナ対策
重症度レベルにより、3ヵ所の病床に分けて管理を実施しております。重症者はECMO(体外式膜型人工肺)や人工呼吸器を備えた集中治療室,中・軽症者は感染者専用病棟で治療を行うなど、多くのCOVID-19感染者を受入れ、診療を行っています。感染対策としては、病院外に発熱外来を設置し、院内では動線を一般患者と完全に分離しています。また、病棟職員に対する感染予防教育の徹底、入院患者の全例PCR検査、慢性疾患に対する電話での外来診療導入などの対策を行い、院内クラスターの発生を予防できているとともに、内視鏡診療や外科手術などの診療も前年度と同様の水準で行うことが出来ました。内視鏡検査の際には、医療者の飛沫暴露を予防するためにキャップ・フェイスシールド・マスク・手袋・ガウン・シューズカバーの着用を徹底し、また被験者からの飛沫を予防する工夫として経口内視鏡検査の際には切れ込みを入れたマスクを使用するなどの工夫を行っています。
研究
ケストース
AI
ステント
オニバイド
医工連携
消化器診療の多くの場面で、新規デバイスの開発が求められています。内視鏡手技が簡便にできないか?経験の浅い医師でも安全に手技が出来ないか?などデバイスの進歩で臨床に貢献できる点は多々あります。全国の大学工学部や産総研の研究者と連携し、年数回の会議やリモート面談を行っています。医療現場でのニーズと工学系のシーズを摺合せ、デバイスを開発し、机上実験からその有用性や課題を検証し、より良いデバイスが世の中に発信できるように努めています。
論文発表等
田中浩敬、ら:肝・胆・膵の解剖と走査のポイント
レジデントノート増刊 22(14),87
(2601)-102(2616),(2020)
田中浩敬、ら:重複胆管・重複胆嚢
胆と膵 41(11),1077-1080,(2020)
田中浩敬:悪性胆道狭窄に対する有効なドレナージの考え方
川澄化学工業株式会社 CaseReport(2020,11)
学会活動
田中浩敬、ら:当院におけるLAMS(Lumen apposing metal stent)導入初期の成績
第63回日本消化器内視鏡学会東海支部例会
越智友花:胆道膵臓③ 座長
第63回日本消化器内視鏡学会東海支部例会
教育
卒前教育
スチューデントドクターとして受け持ち症例を担当してもらっています。患者さんの問診から身体診察、診断の進め方や治療方針の検討、実際の検査への立会いなど、臨床診療チームの一員として消化器疾患に触れる機会を設けています。また、モデルを用いた内視鏡手技の体験などを積極的に行ってもらい少しでも消化器内科の診療に興味を持って取り組めるよう工夫しています。専門医からのクルズスを行い、国家試験に役立つことはもとより、最新の診断や治療のエビデンスにも触れる機会を設けています。
初期研修
主に若手の消化器内科医師中心に、救急外来で初期研修医が対応した症例をレビューし、ERでは思いつかなかったような鑑別診断からの診断アプローチや、入院後の臨床転帰、背景にある最新エビデンスを議論する「消化器救急カンファ」を隔週で行っており、消化器研修ローテ中以外でも積極的に参加してもらい議論しています。また消化器内科ローテート中に経験した内容を積極的に学会発表する機会を与えています。○○年日本超音波医学会奨励賞を受賞しました。
後期研修
10年目以上の専門医資格をもつ医師と1対1で診療に当たっています。疑問に思ったことをすぐに調べ解決できる環境があります。また救急疾患には最前線で対応してもらい、即戦力のある消化器内科医の育成に努めています。興味を持った分野における研究支援・学会活動の指導も行っています。