主任教授、岩田仲生挨拶 | ||
多様化、複雑化が進み、ストレスが増大する現代社会において、こころの健康を育み豊かな人生を全うするのがますます困難となってきています。日本においては1998年以降うつ病をはじめとする気分障害に苦しむ人が増え続けています。また先進国の中でも際だって多い自殺者は年間3万人を超えたままです。 その克服に向けて、文部科学省は、『社会に貢献する脳科学』の実現を目指し、社会への応用を見据えた脳科学研究を戦略的に推進するプログラム(通称脳プロ)を開始しています。藤田保健衛生大学は脳プロにおいて、うつ病や躁うつ病など、気分障害の発症のメカニズムを明らかにし、早期診断、治療、予防法の開発に繋げることを目標としています。もともと個々人が受け継いできた個別の多様性を詳細に調べることを足がかりに、様々なストレスや環境がそれぞれの個性にどのように作用するかを調べていきます。どの個々人の多様性やシステムが、うつ病などの病気のしくみと関係しているかがわかれば、それに対応したストレスや環境への対処をすることで、その人の人生の豊かさは大きく違ってくるはずです。また病気の予防法や今までとは全く違う治療方法が開発できるかもしれません。 人はこころのあり方が他の動物と決定的に違う地球上唯一の生物です。他の動物をもちいて人のこころを解明するのには様々な困難さがあります。これらを克服するには、何よりも多くの方の研究への参加が不可欠です。当事者の方、職場や地域で暮らしている方の協力なくして、この研究はすすみません。もしこの研究の意義をご理解いただき、協力いただけるのであれば、是非とも私達にご一報いただけないでしょうか。 健康で豊かな人生を一人でも多くの方に享受していただくために、私たちと一緒に歩んでいただけないでしょうか。 |
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