学園月報ふじた第58号原稿  


「リハビリテーション医療総論」

「リハビリテーション部は何をするところだと思いますか」と皆さんに伺うと、「麻痺をなおす」との回答がほとんどです。実際はどうなのか、これからお話します。

脳卒中になって片側の手足が動きにくくなったり、交通事故などによる脊髄損傷のため両足が動かなくなった場合を例にしましょう。自力で動かせない関節がかたまることを防ぐため、まずは関節可動域訓練(ROM訓練)を行ないます。

そして、筋肉が少しでも動きを取り戻すよう、療法士が手助けして練習していくとともに、今使える手足を使って日常生活をできるだけ自分で行えるように練習します。これは、麻痺そのものの回復に限度のあることが多いからです。

脳卒中片麻痺であれば麻痺した足に装具をつけて歩く練習をし、また、麻痺していない手を使って更衣やトイレ動作の練習をします。

このように、リハビリテーション部では、麻痺そのものを治そうとすると同時に、今出来るはずの動作を出来るようにする努力をしています。

藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学講座
助教授:園田 茂

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2000.10.2 Tsuzuki