学園月報ふじた第57号原稿 


「新しいリハビリテーション」

リハビリテーション医学の歴史は新しく,その中心的概念は第二次世界大戦以降に形成されました.しかし,それでも我が国にリハビリテーション医学会が創立されてからすでに37年,壮年の時代に入りました.

リハビリテーション医学は「動くこと」の重要性を発見し,医療上陥りやすい安静の害(廃用)に警鐘を鳴らしてきました.また,傷病により生じる生活上の困難を「障害」という見方から整理し,人間の持つ偉大な学習能力を利用した治療的訓練,系統的な援助機器の開発を行ってきました.いずれも,長寿社会における生活の質(QOL)を重視した医療課題実行のために必須な概念です.

これから始まる連載「新しいリハビリテーション」では,藤田保健衛生大学リハビリテーション科が実際に行っている臨床をもとに,私たちが生みだすリハビリテーションの新しい流れについてその一端を紹介していきたいと思います.

ちなみに,当科のロゴ(olp)は「overload principle」の略であり,これは「人の能力は日常の生活レベルを越える活動により向上する」というリハビリテーション医学の基本原理を示すものです.

藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学講座
教授:才藤 栄一

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2000.10.2 Tsuzuki