

【背景・目的】X線CT装置に備え付けられた高原子番号フィルタの半価層・実効エネルギーは,半導体測定器の測定限界を越えるため評価ができない.半価層,および,実効エネルギー(Eeff)を金属板付加による減弱法で評価した際の測定精度を評価することを目的とした.【方法】管電圧70~135kV,及び,120kV銀フィルタ有に対して,1)エネルギースペクトルの測定結果より第1・2半価層,均等度,スペクトル分解能,Eeff評価,2)半導体検出器のOne-ShotHVLモードから第1半価層・Eeff測定,3)Al・Cu減弱法からの第1・2半価層,均等度,Eeff測定を行った.スペクトルの測定結果を理論値としてEeffを比較し,誤差が低減される測定方法の提案に向けて検討した.

【背景・目的】ボウタイフィルタの形状は公開されていない.形状推定法には,一般的な固定法とCOBRA法がある.固定法は精度の高い形状推定が可能であるがユーザー権限でX線管を固定できない.本研究では,これらの課題を解決可能な推定法を提案した.【提案】新たな推定法(新法)では,リアルタイム線量計の測定点をアイソセンタより1cm間隔で25cmまでオフセットして1回転撮影した際の線量率プロファイルを取得した。各測定点の線量率プロファイルより,X線管が0°の位置での線量率を評価しボウタイフィルタ形状を推定した.【結果・考察】固定法に対する誤差はCOBRA法:5.06%,新法:0.41%となった.新法はユーザー権限で可能であり,高精度の推定が可能であることが示唆された.

【背景・目的】先行研究では3DCGモデルをデジタルファントムに変換し,モンテカルロ・シミュレーションに利用できることが確認できている.本研究では,様々なデジタルファントムを撮影技術学の教育教材、放射線防護分野の被ばく線量評価に活かすためのプロジェクトの第一段階として,一般撮影(立位)を対象に3DCG人体モデルの整位を行った.【方法】X線撮影技術学(改訂3版)を参考に胸部・胸郭(14種類),腹部(3種類),骨盤(4種類),股関節(3種類),脊椎(16種類),上肢(18種類),下肢(3種類),頭部(3種類)の計64種類の立位整位モデルを作成した.学習意欲向上のための動機付けモデルであるARCSモデルのうちA,R,Cの項目に対応する質問を行うことで,学習効果を検証した.

【目的】感染拡大防止のため搬送・整位に携わった医療従事者がCT室に留まり検査が実施される状況があった.感染リスクと被ばくのリスクを比較した論拠と対応指針がないため,本研究では次の感染対策時に備え医療従事者の被ばく線量を低減する手段を模索した.【方法】CT検査は頭部・胸部・腹部・体幹部をHeadFirst・FeetFirstで実施し,医療従事者は検査室内で低い線量を示すガントリの側面に待避すると仮定した.1800cc電離箱(床上150cm;水晶体相当)を医療従事者と見立て,これを中心に防護板(2.0mm鉛当量)の設置位置をなし+4方向に変更した際の散乱放射線量(空気カーマ(率)を測定した.【結果・考察】防護板はガントリ側面における散乱放射線量を低減したが,配置方向により低減割合が異なった

【背景・目的】X線管を回転させた位置決めスキャン(3DLandmarkScan;3DLS)が開発されたが患者に与える被ばく線量が詳細に評価されていない.【方法】モンテカルロ・シミュレーションに必要となる基礎データを収集し,標準人に対して胸-骨盤部CT検査の範囲をスキャノグラフィーと3DLSでシミュレーションした.シミュレーションから得られた線量分布データに対し線量評価の対象臓器(肺,乳腺,肝臓,甲状腺,皮膚,脳,心臓壁,腎臓,膵臓,脾臓)の平均吸収線量を臓器線量とした.【結果・考察】スキャノグラフィーの被ばく状況はスキャン方向に依存するため,左右非対称の臓器は3DLSの被ばく状況と明らかに異なった.3DLSがAutoExposureControlの精度に与える影響は検証されていない課題が残る.

【目的】SSDEは位置決め画像より評価した水等価直径に対する換算係数を利用し,総撮影範囲の平均値で評価するため評価精度の把握が必要である.本研究は表示SSDEの精度検証と臓器領域別のSSDE換算係数の評価を目的とする.【方法】7つの撮影範囲(頭部,胸部,上腹部,全腹部,胸-上腹部,胸-骨盤部:各30症例,頸-骨盤部:14症例)のアキシャル画像に対して水等価直径とSSDEを評価した.表示SSDEとアキシャル画像から詳細に評価したSSDEとの誤差を評価した.各撮影範囲において特定の臓器領域に対する換算関数を導き,撮影範囲による違いを検討した.【結果・考察】換算関数の決定係数:0.998以上,最大誤差:12%となった.臓器領域への換算関数は,撮影範囲の違いにより変化した.


【目的】散乱放射線の平均光子エネルギーの計測が可能なサーベイメータの精度検証および平均光子エネルギーと実効エネルギーの関係を明らかにした.【方法】Ray Safe 452で平均光子エネルギー、X線スペクトルアナライザでエネルギースペクトル、半導体線量計で実効エネルギーを計測した.X線出力は管電圧50~120 kV及びAl板(0~25 mmAl)とした.X線スペクトルアナライザに対するサーベイメータで測定した平均光子エネルギーの最大誤差を算出した.また,平均光子エネルギー→実効エネルギー換算関数を作成した.【結果・考察】換算関数は線量計のエネルギー換算に用いることで線量測定の制度を向上させることが期待される.

【目的】立位CT装置を利用した検査は室内への散乱線の状況が明らかにされていない。その結果、安全な介助方法についての議論は全く始まっていない。【方法】患者の介助・抑制を行う機会があり、かつ、人体構造と管電流による散乱線の経時的変化が最も大きい躯幹部立位CT検査を評価対象とした。半導体式サーベイメータを用いて床上50 cmから250 cm までを50cm間隔で散乱線を測定し得られた線量率より経時的な空間線量分布を作成した。【結果】介助者の水晶体の高さとして想定される床上150 cmでは常にガントリが遮蔽体となることから最大測定値がおよそ250 µGy/hであった。本研究により経時的な空間線量分布を得ることができた。

【目的】裸眼立体視することができる空間再現ディスプレイが開発された。ディスプレイの初期検討と放射線技師教育においての活用について検討した。【方法】Unityにて開発されたデモ3次元モデルを空間再現ディスプレイに投影し20名の学部生を対象にそれを体験させた後、視認性等のアンケー調査を実施した。一般撮影の整位像の3次元モデルを投影し、教育教材としての有用性等について同様にアンケート調査を実施した。【結果・考察】実際に空間に浮き出てみえる(13名/20名)、酔いや目の疲れなどの不快感がある(7名)との回答があった。一般撮影の整位像モデルについては教科書よりもわかりやすく技師として必要な空間把握能力が向上する(20名)との回答が得られた。

【目的】高精細CT装置を利用して0.5mm以下の穿通枝を描出するための撮影条件の検討をファントムスタディで行った。【方法】頭蓋内模擬血管(内径2.0、1.0、0.8、0.5、0.2mm)を寒天で満たした円筒アクリル内に配置することで自作ファントムを作成した。条件(管電圧、管電流、注入速度など)を変えながら造影中にスキャンを行った。得た画像から最大値投影画像を作成し診療放射線技師3名による視覚評価を行った。定量的評価としてCT値を計測し造影効果を確認した。【結果】0.5mmの穿通枝は描出可能であったが0.2mmは有効な画像が得られなかった。高いCT値を得るためには注入速度を上げ濃度のピークを高くする必要がある。

【目的】スキャノグラフィの被ばく線量評価の指標としてCTDIvol,SPRがCT装置の操作卓に表示されるようになった。CTDIvol,SPRと実際のスキャノグラフィの被ばく線量の妥当性を検討した。【方法】スキャノグラフィの線量をどのように評価すべきかを多角的に評価した。【結果】操作卓に表示されるCTDIvol,SPRはgeometric efficiencyを考慮していないため線量が過小評価される。実測した被ばく線量と比較して操作卓に表示されるCTDIvol,SPRは最小で21.9%、最大で43.9%過小評価していた。また、スキャノグラフィの原理にそぐわない評価指標となっているため、スキャノグラフィにおいてCTDIvol,SPRは管理基準となる線量であり被ばく線量の指標とはなり得ない。


【目的】近年,銀フィルタにより低エネルギー光子を除去することで線量低減を図るX線CT装置が臨床稼働している.本研究では胸部X線CT検査を対象に臓器吸収線量を推定し銀フィルタの有用性を評価した.【方法】評価は超低線量,低線量,藤田医科大学病院の標準撮影,診断参考レベル 2020を基準とした.銀フィルタ使用時でこの線量と同等画像を得るために必要な管電流時間積を決定するために水ファントムを使用したSD評価を行った.モンテカルロシミュレーションソフトウェア(Impact MC)を用いて,デジタルファントムに対して光子輸送計算を行った.皮膚,肺,乳腺,心臓,胃,肝臓を対象に臓器吸収線量を推定し銀フィルタの有無による線量低減率を評価した.

【背景・目的】2022年7月の肺がん検診ガイドライン改訂により一部高リスク群に対しての低線量胸部CT検査がグレードAに分類された.本研究では高原子番号金属フィルタ(銀フィルタ)を用いた超低線量胸部CT検査が胸部X線撮影検査と同等の被ばく線量かどうかを評価する.【方法】評価は、胸部正面(検診),胸部正面+側面の入射表面線量,超低線量CT(銀フィルタ有・無)とCTDI(CT Dose Index)を基準とした.臓器吸収線量(皮膚、肺、乳腺、心臓、胃、肝臓)はモンテカルロシミュレーションソフトウェア(Impact MC)でデジタル人体ファントム(成人の男性と女性)に対して光子輸送を計算することで評価した.

【背景・目的】320列の検出器を備えたX線CT装置は、160mmという広範囲を一度に撮影するボリュームスキャンが可能であるためヒール効果が大きい。しかし、ヒール効果による線量の差によりどれほど画質が変化するのかが明らかにされていない。そこでヒール効果が画質へ与える影響をTTF、NPS、SNR、d’で評価する。【方法】ボリュームスキャンにおけるヒール効果を確認するため半導体線量計を用いて線量分布を得た。画質の評価点はヒール効果によるX線出力の差が最も大きくなる陰極側、陽極側とその中央とした。画質評価用自作ファントムをスキャン後、CT measureを用いてTTF、NPSを求め、SNR、d’を算出して評価した。

背景・目的】画像診断X線検査に伴う,介助者に対する被ばく線量の低減は重要な研究課題である.しかし,散乱線の経時的な変化が明らかとされていないため,介助者の被ばく線量がどのような要因・タイミングで増加するかが明確になっていない.本研究では半導体式サーベイメータを用いてX線CT検査により生じる散乱線を測定することで,介助者の新しい線量評価指標となり得る経時的な空間線量分布の評価を目的とする.【方法】患者の介助・抑制を行う機会があり,かつ,人体構造と管電流による散乱線の経時的変化が最も大きい躯幹部CT検査を評価対象とした.散乱線の発生機序解明のために管電流一定,管電流変調条件で撮影を行い,RaySafe 452を用いて散乱線を測定した.得られた線量率より,床上100 cm,150 cmにおいて経時的な空間線量分布を作成した.



【背景】COVID19の影響でWeb講義が余儀なくされた。基礎科目のような座学中心の講義はWeb講義でも問題ないが、実技を伴う臨床科目に関しては座学のみからでは内容を深く理解することが難しい。【目的】臨床的な技術(撮影技術学等)をともなう講義に対して最新のデジタルアプリケーション(MedspaceVRとVIVE Sync)を用いることでWeb講義を対面型講義にどこまで近づけることができるかどうかを試みることを目的とした。【新規性】アバターや3DCGモデルを利用したX線撮影技術学の講義を試みた点において新規性がある。【課題】VR酔いや講義の準備に時間がかかり、教員・学生ともにデバイスの準備に関しても課題が残る。





【背景】摂食・嚥下障害患者に対する検査は嚥下造影検査や嚥下内視鏡検査が一般的であるが2次元画像のみで表示される問題や観察時のホワイトアウトの問題がある。本院は320列CT装置の臨床稼働にともないダイナミックスキャンを利用して検査を実施する嚥下CT検査を初めて実施し、現在までに220症例を実施してきた。【目的】嚥下CT検査を実施することを想定して開発されたX線CT装置(Aquilion ONE Genesis)は、従来機よりエネルギーが変更され、再構成法が追加された。そこで、嚥下CT検査の撮影条件を最適化することを目的とした。【新規性】嚥下CT検査の線量と画質の最適化を初めて実施した新規性がある。

【背景】患者の被ばく線量は実測やシミュレーションにより評価することが可能である。代表的なシミュレーションにはモンテカルロ計算を利用したEGSやPHITSが広く知られている。【目的】DICOM画像をもとにX線スペクトルとボウタイフィルタの形状、撮影条件(空気カーマ)を入力することで簡便にモンテカルロ・シミュレーションを実施可能なソフトウェア(Impact MC)を得たため、CTDIに関して実測値と操作卓表示値と比較を行い、その精度を評価することを目的とした。【結語】Impact MCの精度は、実測値や操作卓表示値と比較して10%以下と良好であったため今後の研究活動にも十分利用できることが証明された。
