藤田医科大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科

難聴

難聴・補聴器について

皆さんはふだん、「音がきこえる」ことにより誰かと会話を楽しんだり、趣味で音楽を楽しんだりします。季節の音を感じたり、危険を判断したりもするでしょう。このような大切な「聞こえ」が障害されることを難聴といいます。

音は、空気の「ふるえ」として空間を伝わります。耳は、ふるえをキャッチして鼓膜まで伝える「外耳」、鼓膜のふるえを大きなエネルギーに増幅する「中耳」、ふるえを電気信号に変換する「内耳」からなりたっています(図)。さらにその電気信号は神経を伝わって脳に送られます。この機構のどこかに障害が起きた場合に、難聴が引き起こされます。大きく分類すると、音のふるえが伝えられる外耳・中耳に障害があ る「伝音性難聴」、電気信号の発生伝達に障害がある「感音性難聴」、その両方の「混合性難聴」の3種類があります。

難聴

当難聴は、「聞こえが悪い」と感じるだけではありません。「耳がふさがったような感覚」「膜を通して聞いているような感覚」「聞こえるけれどもはっきり聞き取れない」などと、さまざまな感じかたがあります。「TVの音が大きい」「話しかけても返事しない」といったように、自分で意識しなくても、他の人から指摘されることも多いものです。

耳鼻咽喉科ではまず丁寧な問診によって、なにが耳に起きているのかを推測します。
発症の時期、進行のしかた、きっかけなどをお伺いします。耳の中の診察も行い、顕微鏡や内視鏡で入念に観察することもあります。必要不可欠な検査が、聴力検査です。
当科においては専門の検査技師により実施します。単に音が聞こえるかどうかのチェックだけではなく、特殊な耳の検査(聞き取りの検査、音の違いを認識できるかの検査、脳波を利用した検査や、鼓膜の動きやすさ、中耳の圧調整の検査など)を適宜組み合わせて実施し、問題を詳細に検討します。

聴性脳幹反応検査(ABR)

さらに、必要に応じて、最先端のCT・MRIなどの画像診断機器も積極的に使用して病変を見つけ出します。

代表的な難聴を起こす病気について

伝音性難聴

音のふるえを「伝える」部分に問題がありますから、耳内の異物・耳あか・中耳炎・鼓膜の損傷・耳の奥の骨折や脱臼などがあげられます。多くの場合、「実際に診察して発見できたり、画像の検査に写るような異常」が見つかります。

【中耳炎】中耳炎の詳しい説明はこちら

感音性難聴

急になるもの
頭急に出現する感音性難聴の大部分(9割以上)が原因不明で、高度なものを「突発性難聴」とよびます。多くの場合、ステロイドを含めた点滴や内服での治療を行います。入院での治療・外来通院での治療ともに対応可能です。発症してから治療開始までが早いほど改善率が良いと言われております。なお、特定の音域のみの難聴を繰り返すタイプの難聴も知られていますが、その場合時間とともに徐々に悪化することがあります。また、まれに脳腫瘍などの重要な疾患が隠れている場合もあります。当科ではさまざまなパターンを想定してすぐに対応が可能ですので、気にかかる方はなるべく早くの受診をお願い致します。
徐々に悪化するもの
代表的なものが加齢にともなっておきる老年性難聴で、両側であればほとんどが同疾患です。その場合、補聴器の適切な使用により多くの場合聴力を取り戻し、生活を豊かにすることができます。
補聴器について
当科には補聴器の適合について判断することを認証された医師が在籍し、認定された専門補聴器業者への橋渡しも可能です。補聴器の使用を希望される場合は特別な検査を施行し、補聴器の適否を判断いたします。その後、補聴器をお貸し出しし、調整(フィッティング)を進めていきます。実際に購入するかどうかは、充分に納得できてからとなります。