藤田医科大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科

経外耳道的内視鏡下耳科手術

経外耳道的内視鏡下耳科手術とは

図1 細径(2.7mm)光学視管
図1:細径(2.7mm)光学視管

鼓膜穿孔や中耳炎などで行われる耳科手術は、これまでは顕微鏡下で行われてきました。しかし、近年のHD (High Definition) CCD(又はCMOS)カメラヘッドや高解像度液晶モニターの登場、硬性内視鏡の細径化などの内視鏡システムの高性能化のおかげで、以前は耳内の観察のみでしか内視鏡を使用できなかったのが、症例により耳科手術を内視鏡で行う、経外耳道的内視鏡下耳科手術(Transcanal Endoscopic Ear Surgery: TEES)も可能となりました。

耳鼻咽喉科・頭頸部外科に併設する内視鏡下耳科手術センターでは、内視鏡を用いて痛みや体の負担が少ないTEESを積極的に行っております。

図2:内視鏡下耳科手術の風景
図2:内視鏡下耳科手術の風景

  • 従来の顕微鏡を用いた耳科手術では、耳の後ろを大きく切開し、外耳道の皮膚を大きく剥がすことにより病気の部分に達して手術を行います。一方TEESでは耳の穴から細い内視鏡を入れ、モニターに映し出される画像を見ながら手術します。
  • 内視鏡を使えば、従来の顕微鏡では陰になって観察できなかった場所が確実に観察でき、かつ拡大視して手術を行うことができます。

図3 鼓膜穿孔の観察
図3:鼓膜穿孔の観察
左:顕微鏡下 鼓膜穿孔全体が見えない 右:内視鏡下 鼓膜穿孔全体が見える

  • 身体への負担が少なく、外から見える傷がほとんど目立たない低侵襲手術です。術後の耳の腫れも少なく、傷が早く回復します。負担が少ないため、顕微鏡下での耳科手術と比べて入院期間が短くて済みます。
  • TEESを行うためには顕微鏡下での耳科手術を習熟した上でさらに高い技術が必要です。充分に経験を積み熟練した医師が同手術を行います。また、最新の高精細の診断・手術器械を完備しています。
  • 鼓膜穿孔を含む慢性中耳炎、真珠腫性中耳炎、滲出性中耳炎、癒着性中耳炎、鼓室硬化症、コレステリン肉芽腫、耳硬化症、顔面神経麻痺などが対象です。幅広い耳科手術疾患に対応いたします。可能な限り内視鏡下で手術を行いますが、内視鏡下ではできない手術は顕微鏡下で行います。患者さん毎に最良の手術法を検討致します。