咽頭の疾患鼻咽腔閉鎖不全(口蓋裂)
鼻咽腔閉鎖不全(口蓋裂)とは
鼻腔の奥の空間で咽頭との境目を鼻咽腔といい、正常では発声時には鼻咽腔が一時的に閉鎖して、空気が鼻腔に漏れないようにします。発声時に鼻咽腔の閉鎖がうまくいかず、空気が鼻腔に漏れる結果、開鼻声(フガフガといった声)や構音障害の原因となるのが鼻咽腔閉鎖機能不全症です。神経筋障害(脳梗塞や神経筋難病など)や軟口蓋が短くなること(軟口蓋腫瘍手術後や外傷)、先天的構造異常(口蓋裂など)で起こる病気です。特に口蓋裂などの先天的構造異常で起こるものは、早期に診断し治療を行うことが重要になります。
当院では、鼻咽腔閉鎖機能不全症に対し、耳鼻咽喉科・形成外科・口腔外科・小児歯科・リハビリテーション科でチーム医療を行っています。チーム医療を行うことにより、早期発見、検査、診断、治療という流れを円滑に進めていくことができます。鼻咽腔閉鎖機能不全症の患者に対する合同カンファランスを二ヶ月に一度行っており、患者の共有や治療方針の決定などを、チームで行っております。
図1:合同カンファランスの様子
鼻咽腔閉鎖機能不全症の診断には、鼻から行うファイバー検査やブローイング検査が有効です。実際に発声している時の鼻咽腔の動きを直接ファイバーで観察したり、発声時に鼻からの漏れている空気の量を測定したりします。
治療としては、リハビリテーションや手術があります。治療方針の決定は、ファイバー検査などの所見を合同カンファランスで検討します。基本的には、リハビリテーションにより開鼻声や構音障害の改善を先行し、改善が乏しい場合に手術を行っています。手術は、症例毎に閉鎖不全の様式を術前に評価した上でその様式に合わせて手術法を決定しています。また、手術後もリハビリテーションの継続を行い、長期的に治療を行っています。
図2:鼻から行うファイバー検査の実際の画像
この画像は鼻腔から鼻咽腔を見下ろした形で、観察しています。画面上が咽頭後壁、画面下が軟口蓋を示しています。