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肺移植について


藤田医科大学病院は、2020年12月に肺移植実施施設として認定されました。
東北大学、獨協医科大学、東京大学、千葉大学、京都大学、大阪大学、岡山大学、福岡大学、長崎大学、国立循環器病センター(心肺移植のみ)に加えて、日本で肺移植ができる11番目の施設となりました。

①脳死ドナー肺を用いた肺移植

脳死状態になった方から肺の提供をいただき、レシピエント(肺の提供を受ける方)に対して肺移植を行います。
疾患やご病状によって両側肺移植か片側肺移植を選択します。

脳死両側肺移植と脳死片側肺移植

肺移植のためのガイドブックより

肺移植のためのガイドブックより


②脳死肺移植を受けるために

1. 脳死肺移植待機登録
脳死肺移植を受けるためには、肺移植適応検討委員会で審査され承認された後、日本臓器移植ネットワークに登録し、適合するドナーが出現するまで待機をする必要があります。まず主治医の先生から藤田医科大学病院呼吸器外科にご紹介いただき、肺移植適応の可能性があると判断されれば、肺移植に関する1回目のインフォームドコンセント、検査、評価を行い、地区肺移植適応検討委員会に申請します。地区肺移植適応検討委員会で認定された後、中央肺移植適応検討委員会に申請し再度審査されます。ここで認定されれば、日本臓器移植ネットワークに登録して待機が始まります。日本における登録から肺移植実施までの平均待機期間は2021年1月現在2年以上です。


脳死待機登録の手順

肺移植のためのガイドブックより改変

肺移植のためのガイドブックより改変


2. 肺移植の適応疾患
肺移植の適応疾患は、次の通りです。
1 肺高血圧症
  1.1特発性/遺伝性肺動脈性肺高血圧症
  1.2薬物/毒物誘発性肺動脈性肺高血圧症
  1.3膠原病に伴う肺動脈性肺高血圧症
  1.4門脈圧亢進症に伴う肺動脈性肺高血圧症
  1.5先天性短絡性心疾患に伴う肺動脈性肺高血圧症(アイゼンメンジャー症候群)
  1.6その他の疾患に伴う肺動脈性肺高血圧症
  1.7肺静脈閉塞症(PVOD)/肺毛細血管腫症(PCH)
  1.8慢性血栓塞栓性肺高血圧症
  1.9多発性肺動静脈瘻
  1.10その他の肺高血圧症
2 特発性間質性肺炎(IIPs)
  2.1特発性肺線維症(IPF)
  2.3特発性非特異性間質性肺炎(INSIP)
  2.3特発性上葉優位型間質性肺炎(IPPFE)
  2.4上記以外のIIPs
3 その他の間質性肺炎
  3.1膠原病合併間質性肺炎
  3.2薬剤性肺障害
  3.3放射線性間質性肺炎
  3.4慢性過敏性肺炎
  3.5上記以外のその他の間質性肺炎
4 肺気腫
  4.1慢性閉塞性肺疾患(COPD)
  4.2α1アンチトリプシン欠乏症
5 造血幹細胞移植後肺障害
  5.1閉塞性GVHD
  5.2拘束性GVHD
  5.3混合性GVHD
6 肺移植手術後合併症
  6.1気管支合併症(吻合部および末梢も含む)(狭窄など)
  6.2肺動脈吻合部合併症(狭窄など)
  6.3肺静脈吻合部合併症(狭窄など)
7 肺移植後移植片慢性機能不全(CLAD)
  7.1BOS
  7.2RAS
  7.3その他のCLAD
8 その他の呼吸器疾患
  8.1気管支拡張症
  8.2閉塞性細気管支炎
  8.3じん肺
  8.4ランゲルハンス細胞組織球症
  8.5びまん性汎細気管支炎
  8.6サルコイドーシス
  8.7リンパ脈管筋腫症
  8.8嚢胞性線維症
9 その他、肺・心肺移植関連学会協議会で承認する進行性肺疾患
日本肺および心肺移植研究会より

3. 肺移植の適応と除外条件
肺移植を受けるためには、次の適応条件(一般適応指針)が満たされなければなりません。また、除外条件に当てはまる場合には適応とはなりません。


肺移植の適応
Ⅰ. 一般適応指針
  1. 治療に反応しない慢性進行性肺疾患で、肺移植以外に患者の生命を救う有効な治療手段が他にない。
  2. 移植医療を行わなければ、残存余命が限定されると臨床医学的に判断される。
  3. レシピエントの年齢が、原則として、両肺移植の場合55歳未満、片肺移植の場合には60歳未満である。
  4. レシピエント本人が精神的に安定しており、移植医療の必要性を認識し、これに対して積極的態度を示すとともに、家族及び患者をとりまく環境に十分な協力体制が期待できる。
  5. レシピエント症例が移植手術後の定期的検査と、それに基づく免疫抑制療法の必要性を理解でき、心理学的・身体的に十分耐えられる。


肺移植の除外条件
Ⅲ. 除外条件
  1. 肺外に活動性の感染巣が存在する。
  2. 他の重要臓器に進行した不可逆的障害が存在する。
  3.   ・悪性疾患 骨髄疾患
      ・冠動脈疾患 高度胸郭変形症
      ・筋・神経疾患
      ・肝疾(T-Bil>2.5mg/dl)
      ・腎疾患(Cr>1.5mg/dl、Ccr<50ml/min)
  4. 極めて悪化した栄養状態。
  5. 最近まで喫煙していた症例。
  6. 極端な肥満。
  7. リハビリテーションが行えない、またはその能力の期待できない症例。
  8. 精神社会生活上に重要な障害の存在。
  9. アルコールを含む薬物依存症の存在。
  10. 本人及び家族の理解と協力が得られない。
  11. 有効な治療法のない各種出血性疾患及び凝固能異常。
  12. 胸郭に広汎な癒着や瘢痕の存在。
  13. HIV(human immunodeficiency virus)抗体陽性。


肺移植レシピエントの適応基準(肺移植関連学会協議会2015年)
日本肺および心肺移植研究会より引用

4. お問い合わせ
肺移植をご検討の方は、主治医の先生にご相談いただき、主治医の先生を通じて下記にお問い合わせください。

リンク

  1. 肺移植のためのガイドブック  http://www.asas.or.jp/jst/pdf/guidebook_200703kai.pdf
  2. 日本移植学会 臓器移植Q&A   http://www.asas.or.jp/jst/general/qa/lungs/qa3.php
  3. 日本肺および心肺移植研究会  http://www2.idac.tohoku.ac.jp/dep/surg/shinpai/index.html