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診療と研究


当科における主な取り組み

1.小児生体肝移植
当院では平成16年6月から生体肝移植が開始され、当科はその中心を担ってきました。
胆道閉鎖症、アラジール症候群、原発性硬化性胆管炎など小児期に肝不全に陥る肝胆道疾患から、糖原病、高チロシン血症、高アルギニン血症、メチルマロン酸血症などの肝臓に原因のある代謝性疾患、切除不能の肝芽腫などに対する生体肝移植(主に小児)を行ってきました。なかでも最も多いのが胆道閉鎖症ですが、胆道閉鎖症に対する診断、初回手術、術後管理から移植適応の決定、移植の実施、移植後の管理まで一貫した治療が可能であることが大きな特徴の一つです。
胆道閉鎖症

肝硬変に陥った肝臓

正常な肝臓を移植したところ

2.内視鏡下手術
手術の傷はやはり気になるものです。病気で仕方がないとはいえ、我が子に傷をつけてしまったと自責の念にかられるご両親も少なくありません。腹腔鏡や胸腔鏡を利用した手術は、傷を小さくできるだけでなく、体にあたえる負担も軽減でき、術後の経過や回復もはやいといわれています。もちろんご両親の傷に対する満足度も高いものとなっております。当科でも以下の疾患に導入しており、他疾患についても積極的に適応を広げています。

胸腔鏡 嚢胞性肺疾患、自然気胸、縦隔神経芽腫
腹腔鏡 胃食道逆流症、メッケル憩室、ヒルシュスプルング病
直腸肛門奇形、先天性胆道拡張症、門脈環流異常症
鼠径ヘルニア、虫垂炎、腹部リンパ管腫
など
3.臍を利用した手術
内視鏡手術と同じく、傷を目立たなくする工夫の一つです。小児は相対的に臍が大きく、臍は皺を有することから、この皺に沿った傷だけで手術ができることがあります。以前行われていた上腹部横切開に比べて、術後の傷はほとんど目立ちません。

上腹部横切開
(小腸閉鎖症)

臍上部弧状切開
(十二指腸閉鎖症)

4.漏斗胸に対する異物を使わない手術
漏斗胸に対しては、現在ナス法というものが多くの施設で行われています。これは陥凹している胸骨の裏側に金属製のバーを入れ、裏側から前方へと胸骨を押しだして矯正するもので、傷は目立ちませんが3年後くらいでバー抜去のための再手術が必要です。異物を長年体内に入れておくことの弊害も時々みられます。当科では異物を使わずに陥凹を矯正する方法(胸骨挙上術:肋軟骨ブリッジ法)をとりいれています。術後の疼痛がナス法に比べて軽いことに加え、ナス法では矯正が困難な非対称性の陥凹にも対応できることが特徴です。

術前

術後

5.腫瘍性疾患
小児の固形腫瘍は非常に稀な疾患ですが、当科では日本小児血液・がん学会の認定する小児がん認定外科医が1名在籍しより専門的な医療を提供します。また、当施設は日本小児血液・がん学会の認定施設になっています。小児がんの手術の際には腫瘍と血管や周辺臓器との関係を把握する必要があります。当院では320列マルチスライスCTを有しており、手術に必要な情報の詳細が手に入ります。小児がんは診断、治療(化学療法、手術、放射線療法、緩和ケア)に多くの部門が協力しあうチーム医療が重要であり、定期的に腫瘍カンファレンスを開催しその連携が円滑に行われるよう努めています。良性疾患としては、難治性のリンパ管腫に対するブレオマイシン局注療法を行っています。血管腫や静脈奇形に対しては放射線科と共同して血管内治療を行うこともあります。
顔面のリンパ管腫

硬化療法前

硬化療法後

研究

当科がこれまでに取り組んだ主な研究は以下の通りです。

  • 小児肝移植術後におけるヘルペスウイルス長期持続感染症例における追跡調査
  • 漏斗胸の成因(肋軟骨の過成長)に関する基礎的研究
  • 胆道閉鎖症における肝線維化と血小板減少におけるVWF及びADAMTS-13の関連の究明
  • 肝移植における脾臓と肝臓の臓器相関に関する研究
  • 鏡視下手術の小児外科症例への応用
  • ISSVA分類に基づく血管腫・血管奇形の診断とブレオマイシン局注療法の有効性の検討