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大学院生(D4) 村野友幸さんの研究成果が国際誌『COMMUNICATIONS BIOLOGY』に掲載されました。


 

神経の過活動で生じる未成熟様の遺伝子発現パターン変化が疾患横断的にみられることを発見

研究の背景と経緯

我々の研究室ではこれまでに200近くの系統の遺伝子改変マウスに網羅的行動テストバッテリーを行っており、その中の顕著な行動パターンの異常を示すマウスの多くに共通して脳の成熟度異常が見られることを明らかにしてきました。 

また、各種の精神疾患・神経変性疾患ではその病態の一つとして神経の過活動が関与している可能性がこれまでに多くの研究で報告されてきています。

今回私たちは、神経の過活動によって引き起こされる未成熟様の遺伝子発現パターンが複数の精神神経疾患において疾患横断的に見られることを明らかにしました。

研究の内容

今回の研究ではランニング・フィッシャー法という情報科学的な方法を用いて、神経の過活動が脳の未成熟化様の遺伝子発現パターン変化を引き起こすことを明らかにしました。さらに、オープンソースのデータベースから取得した87のデータセットを用いてメタ解析を行ったところ、このような未成熟様の遺伝子発現パターンは、統合失調症、アルツハイマー病、ALSなどの患者死後脳や患者iPS細胞由来神経細胞において疾患横断的に見られる、ということがわかりました。

今後の展開と期待

今回の私たちの研究成果によって、様々な精神神経疾患に共通した病態のさらなる理解が進むことが期待されます。

発表論文

Transcriptomic immaturity inducible by neural hyperexcitation is shared by multiple neuropsychiatric disorders.
Tomoyuki Murano, Hideo Hagihara, Katsunori Tajinda, Mitsuyuki Matsumoto, and Tsuyoshi Miyakawa.
Communications Biology. volume 2, 32 (2019).


研究費

 本成果は、以下の事業・研究領域・研究課題によって得られました。

 1. 科学研究費補助金・新学術領域研究「マイクロエンドフェノタイプによる精神病態学の創出」
  (領域代表者:喜田 聡 東京農業大学 応用生物科学部 教授)
  研究課題名:「非定型炎症を伴う精神疾患モデル動物を活用したマイクロ精神病態の同定と分子機序解明」
  研究代表者:宮川 剛(藤田医科大学 総合医科学研究所 システム医科学研究部門 教授)

 2. 科学研究費補助金・新学術領域研究「スクラップ&ビルドによる脳機能の動的制御」
  (領域代表者:榎本 和生 東京大学 大学院理学系研究科 理学部 教授)
  研究課題名:「成体脳におけるスクラップ&ビルドの高次機能の解明」
  研究代表者:宮川 剛(藤田医科大学 総合医科学研究所 システム医科学研究部門 教授)