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腎臓


代表者:池住洋平

小児の腎疾患として頻度の高い慢性糸球体腎炎やネフローゼ症候群は学校検尿などにより比較的早期に発見されますが、その発症・進展のメカニズムは十分に解明されていません。近年、臨床試験に基づく治療法の開発が進んでいますが、治療に用いられる薬剤がなぜ有効であるのか、その作用機序も明らかではないのが現状です。このような背景のもと、腎臓グループでは、腎生検組織や尿検体などの臨床検体を用いて小児腎疾患の病態の解明や治療法の開発に取り組んでいます。
活動内容
現在行っている主な研究内容は以下になります。

1. 慢性糸球体腎炎の発症・進展機序の解明と制御法の確立
最も頻度の高いIgA腎症をはじめとする全ての慢性糸球体腎炎の発症機序や進行機序などの病態は明らかになっていません。しかし、これらの進行性腎疾患では、いずれも進行とともに腎組織における慢性病変(糸球体硬化、間質線維化)の形成とその進行が見られます。同時に、これら全ての進行性腎疾患の進行過程では、炎症細胞、特に「マクロファージ」の浸潤が普遍的な現象として認められます。私たちは、このマクロファージが慢性糸球体腎炎の進行過程で重要な役割を担っているものと考え、治療のターゲットとしてその機能を検討しています。


2. 慢性腎疾患の難治化機序の解明とバイオマーカーの開発
日本では、学校検尿の普及によって慢性糸球体腎炎など多くの小児腎疾患が早期に発見されます。このような腎疾患の治療に副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制薬が用いられ、良好な治療成績が得られています。しかし、中にはガイドライン上の一般的な治療が奏功しない場合や、経過中に治療に対する反応が鈍くなる例があります。私たちは、このような治療に対する反応性が悪い難治例について、腎生検組織や血液、尿検体などの臨床検体を用いて腎疾患の難治化機序の解明や難治化を予測するバイオマーカーの開発に取り組んでいます。
さらに、特に侵襲の少ない尿検体を用いた検査技術を応用し、川崎病など小児に頻度の高い原因不明の疾患の病態の解明や重症化を予測するバイオマーカーの開発を目指しています。