肺癌の手術
開胸手術
肺癌は、当院では積極的に胸腔鏡手術(主に単孔式手術)で行いますが、施設によっては胸腔鏡を使用しない開胸手術で手術を行っているところもあります。当院ではがんが進行していた場合などに行います。この開胸手術は20~25cmの皮膚切開を行い、呼吸に大切な呼吸筋を切離し肋骨を切断することもあります。また傷と肋骨を広げる器具、開胸器を使用します。開胸器を使用すると肋骨および肋間神経を少なからず損傷するため、術後の疼痛は当然強く患者さんの体への侵襲は決して小さくありません。
一般的な胸腔鏡手術
多くの施設で行われている胸腔鏡(きょうくうきょう)手術(内視鏡手術)はこの方法です。開胸手術より痛みが少なくて済みます。1~4cmの切開を3~4か所行い肋骨の隙間から手術をします。痛みとしびれは切開の傷に沿って生じますので範囲がやや広くなります。また、開胸手術でも胸腔鏡手術でも、ろっ骨の間から行う手術(側胸部アプローチ)では約10~50%の方に痛みやしびれが残ると言われています(開胸術後疼痛症候群)。
単孔式手術
最も患者さんの負担の少ない肺がん手術法です。4cm以下の傷1つで行う手術です。痛みやしびれが最小限になることが期待でき、美容的にも優れた方法です。前述の開胸術後疼痛症候群の発生が減ることが報告されています。手術操作に慣れが必要であるため、まだこの方法ができる施設は限られています。当院のチームは、この方法を2015年から行っており、我々はこの方法の手術指導を全国で行っています。多くの患者さんは、この方法で手術を受けることができます。
ロボット手術
2009年日本で最初の肺癌ロボット手術を執刀
藤田医科大学岡崎医療センターの呼吸器外科チームは、2009年11月藤田医科大学病院において日本で最初に肺がんに対するロボット手術を行った手術チームです。現在も全国でロボット手術の指導を行っています。ロボット手術の利点は、人間の手ではできない、より正確で高精度な手術を可能にすることです。ロボット手術は、今まで開胸手術でしか出来なかった難易度の高い手術に対しても患者さんの身体の負担の少ない内視鏡下手術で行うことを可能にします。ロボット手術はより難しい手術に向いています。傷は4~5か所、1~4㎝の切開で行います。