ダビンチロボット手術について
ロボット支援手術は、今までの内視鏡下手術の利点をさらに向上させうる、次世代の医療革新の一端を担った手術法です。手術支援ロボットのひとつであるダビンチサージカルシステム(Intuitive Surgical)”は、7度の自由度を持つロボットアーム・鮮明な3次元画像を有した、最先端の手術支援システムです。1997年に同システムが最初に臨床で使用されたのは米国での心臓手術症例でした。それ以来、ロボット手術は、欧米を中心に、肺癌手術を含めた多くの領域で行われています。2009年11月、我々は肺癌症例に対し、このダビンチ サージカルシステムを使用し、ロボット肺癌手術(肺葉切除+縦隔リンパ節郭清)本邦で初めて成功させました。当院は日本で最も長いロボット肺癌手術経験年数を有します。現在まで大きな合併症の発生や死亡例はありません。また、2014年より新しいアプローチによるダビンチロボット胸腺摘出術も開始しています。ロボット手術の利点は、双眼鏡での真の3D画像と多関節を有する鉗子の使用から可能になる手術手技における正確性と高い操作性にあります。実際に手術を行うと、術者はあたかも胸腔内にいるような立体的な近接画面が得られます。さらに、胸腔内(胸の中)での多関節の存在は、自然な方向での手術操作を可能にします。これは、通常の胸腔鏡手術(きょうくうきょうしゅじゅつ)における直線的な器具での操作と比較して大きな利点です。特にリンパ節郭清(リンパ節を取ること)の手技は、胸腔鏡手術と比較して明らかに容易です。また、ダビンチのシステムは手の生理的振戦を補正するので繊細な操作を容易に行えます。これらのダビンチロボット手術の利点は、一部において人間の限界を超える操作を可能にします。2019年我々は世界で初めてのロボットを使用して内視鏡下の左腕頭静脈人工血管置換術、2020年には上大静脈置換術を行いました。これらの手術は今まで開胸手術でしか行うことが不可能とされた手術法ですが、我々が開発した方法とロボットを組み合わせることで開胸することなく手術が可能になりました。
現在外科手術は、低侵襲化(からだにやさしい手術)が進んでいます。同じ手術を受けるのであれば小さな傷でより痛くない手術を希望するのは当然です。このダビンチロボット手術は、体にやさしい胸腔鏡手術の精度を上げるものです。より正確な手術が可能になり、ひいては安全な手術になると考えています。この最先端手術を希望される方は、須田までご相談ください。
ここで掲載している動画が実際の手術映像になります。このような動画で気分が悪くなる方はご遠慮ください。