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臨床免疫制御医学講座


寄附講座の概要

■目的
本講座は、顆粒球吸着など免疫機能の調整を企図した血液浄化法の基礎研究、敗血症病態の研究などにより、敗血症に対する血液浄化法の発展に寄与することを目的として株式会社 JIMROの寄附講座として設立されました。麻酔・侵襲制御医学講座の関連講座として、設立当初より森山和広が大学外(麻酔・侵襲制御医学講座客員講師)から着任し、2015年7月から2024年7月まで講座責任者を務めました。

■成果
敗血症は2016年に免疫制御不能な臓器障害と定義されました。私と麻酔・侵襲制御医学講座西田修教授は2010年頃から、免疫制御血液浄化に着目し、敗血症を適応とする血液濾過器(セプザイリス®)の治験および製造承認取得を行いました。
その後、2015年に寄附講座が設立され、敗血症病態の解明研究とともに、潰瘍性大腸炎に使用されている顆粒球吸着カラム(アダカラム®: 株式会社JIMRO)の基礎研究、ブタ動物実験などを実施し、敗血症に対する免疫制御血液浄化法としての有用性を明らかにすることができました。このように期待通りの成果を収めることができ2024年7月に講座を修了しました。

寄附講座責任者のコメント

藤田医科大学 医学部 客員准教授
元 藤田医科大学 医学部 臨床免疫制御医学講座 准教授
森山 和広

私は1983年に薬学部を卒業し、企業勤めをしていた8年目の1991年に“急性血液浄化法”と出会いました。1994年に私が開発を担当したエンドトキシン吸着カラム(PMX:トレミキシン®)を上市し、その後、敗血症に対する血液浄化法の開発を30年以上行ってまいりました。私の開発活動は、“敗血症の病態に立脚”することを礎としており、2000年代の初期にサイトカイン吸着カラム、HMGB1吸着カラム、好中球除去カラム、トロンボモジュリン固定化ヘモフィルターなどの基礎研究を行なっていました。ちょうどそのころ、海南病院の副院長西田修先生と、“敗血症に対する最高の血液浄化”を開発したいとの将来構想のもと、免疫制御血液浄化システム構想に着手しました。2008年に西田修先生が藤田保健衛生大学医学部麻酔・侵襲制御医学講座を初代教授として開講され、私は客員講師として免疫制御血液浄化システムの研究が始まりました。2015年には麻酔・侵襲制御医学講座の関連講座として本寄附講座が開講されました。
寄附講座では、西田修教授のご指導のもと、“免疫制御血液浄化システム:Decoy Organ理論-好中球の攻撃標的を生体臓器からカラムに移行する-”(図1)を企図して、基礎実験、動物実験(図2)、学会発表、論文作成と多くの研鑽を積むことができました。

図1

図2

医局員の先生らとの研究会議や朝の症例カンファレンスにより“集中治療”も勉強させていただき、その後の治験、PMDAとの会合、治験総括報告書の作成などに役立ちました。

また、2023年には西田教授のご推薦をいただき、第34回日本急性血液浄化学会学術集会の大会長を拝命する機会にも恵まれ、成功折に終了することができました(図3)。このように企業人では決して経験できない経験をさせていただき、麻酔・侵襲制御医学講座の皆様には心よりお礼申し上げます。
また、寄附講座の運営では、星長清隆理事長、湯澤由紀夫学長、岩田仲生医学部長、産官学連携推進センター齋藤邦明センター長、瀬戸孝一教授には、報告会でのご教示など多くの示唆に富むお話をいただき大変感謝しています。

図3

寄附講座終了後は、集中治療、血液浄化関連の学会活動や大学、企業との共同研究は続けていく所存です。
引き続きお声がけいただければ幸いです。
 


免疫制御血液浄化システム関連の報告
1. Hara Y, Moriyama K, Nishida O, et al: Ther Apher Dial 2015.
2. Moriyama K, Kato Y, Nishida O, et al: J Artif Organs 2020
3. Moriyama K, Nishida O: Int J Mol Sci 2021.
4. Nakamura N, Moriyama K, Nishida O, et al. Ren Replace Ther 2024
5. Nishida O, Moriyama K, Nakamura N, et al. Artif Organs (under submission)