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2018年度進捗状況報告


2018年度の実施目標及び実施計画

研究推進部門の整備と研究活動:
  構築した患者バイオリソース・データベースを用いて[ビックデータ解析から生活習慣などの環境要因]を明らかにする。
  本年度から、精神神経疾患について具体的な研究活動を開始する。過去の実績に基づいて[本学で優位性・独自性を有
  するターゲット分子の評価]を行い、個々人レベルでの診断薬・治療薬・機能性食品の開発を目指す。
ブランディング戦略: 
  研究成果の公表をマイルストーンとし精神神経疾患研究での最先端研究開発を推進していることを様々な情報媒体を通
  じた広報活動を進める。上記により、発症する前に精神神経疾患を診断できる新しいバイオマーカーや、精神機能の異
  常と治療効果の予測などを研究する基盤を構築する(岩田仲生・武藤多津郎)。
 (B)精神神経疾患は単一性の遺伝子疾患では無く、複数の遺伝要因や環境要因が関与する多因子性疾患である。
  各検体については必要十分な臨床情報を収集し、なおかつ経時的な検体および情報収集、将来にわたるフォローアップ
  によりビックデータ解析を行う。それにより、精神神経疾患の発症の要因となるストレス、生活習慣、食習慣、など環
  境要因を同定し、点ではなく線で繋がった利用価値の高いバイオリソースを構築する(鍋島俊隆・齋藤邦明)。
【ビックデータ解析に基づいた本学が優位性・独自性を有するターゲット分子の評価】
  以下の※ターゲット分子を対象に、企業(A&T、和光純薬)との産学連携によって、診断法を開発する(鍋島俊隆・齋藤邦明)。
  ※ 1. 特許を保有する精神神経疾患バイオマーカー[トリプトファン代謝関連分子
   (Indoleamine 2,3-dioxygenase (IDO)-1・2、/ Kynurenine 3-monooxygenase
  (KMO)/ phosphoribosyltransferase (QPRT) 、ユビキチン化セロトニントランスポーター]
    2. 我々が発見した精神神経疾患関連新規遺伝子[Shati/ NAT8l]
  3. 精神神経疾患ゲノム研究で認められた候補分子    
  4. 連携企業が保有する候補分子     
ブランディング戦略:
  大学のビジョン実現に向けたアクションプランの進捗を情報発信する。
  公開シンポジウムの開催、サイエンスカフェ、オープンキャンパス等の一般を対象としたアウトリーチを行う。
各年度の目標の達成度の評価法:           
  学内外の評価委員会に必要に応じて報告し、年1回の評価を受ける。

事業成果

[研究推進部門の整備]:
  藤田バイオバンクが開設され、電子カルテと連携し、バーコードにより匿名化された臨床検査データ付サンプル
 (血液、DNA、組織)の系統的保存ができるバンキングシステムを構築した。本バイオバンク・データベースを活用し、
  新薬・診断薬の開発を行った。
[精神神経疾患患者のビックデータ解析から生活習慣などの環境要因を解明]:
  岩田グループは双極性障害および統合失調症患者におけるゲノムワイド関連解析により、日本人だけでなく多民族でも
  共通する関連遺伝子群を同定した。うつ病における遺伝環境相互作用解析を行う予定である。
  武藤グループは10000を超える神経疾患患者の血清・髄液を集積し、液体クロマトグラフィー質量分析法によりこれら
  患者に各疾患特異的な糖脂質異常を同定した。今後これら異常のvalidationを行い、バイオマーカの開発と病態解明を
  目指す。
[ビックデータ解析に基づいた本学が優位性・独自性を有するターゲット分子の評価]:
  鍋島・斎藤グループは特許を保有するうつ病バイオマーカーについて企業とELISAキットを開発し、産後うつにおける
  トリプトファン代謝経路の変化およびトリプトファン代謝酵素の欠損が神経変性を惹起することを明らかにした。
  宮川グループはマウスの網羅的行動テストバッテリーにより、精神疾患様行動異常を示すマウスに共通した脳変化で
  ある未成熟歯状回に注目し、それを脳内中間表現型として精神疾患の発症機序・病態解明を目指す。
  外山グループはプレクリニカル超高磁場MRI装置による生体マウス脳の画像解析法の開発を行い、他の研究グループの
  精神疾患モデルマウスの解析を目指している。湯澤グループは糖尿病性腎症の病態についてトリプトファン・キヌレニ
  ン代謝経路に注目した網羅的メタボローム解析を開発し、ヒトと動物モデルでの解析により、糖尿病性腎症の病態解明
  と診断バイオマーカーを開発した。

補助金の使用状況

 ・光遺伝学により神経活動の活性化あるいは抑制を特定の神経活動のみで行うことでモデル動物の病態の変化を検討するた
  め光遺伝学神経機能解析装置を購入した。
 ・昨年に引き続き、中国の伝統薬成分の抗うつ薬評価をするため、中国藩陽薬科大学からの留学生2名の日本での滞在費およ
  び研究費に使用した。
 ・研究ブランディングの広報戦略を行うにあたり、研究分析・論文業績管理等を行う情報ツールPUREをエルゼビアジャパン
  と契約し、本学ホームページと連携することで研究者情報を広く世界に発信している。
 ・2018年度の研究成果報告会を開催するともない、外部評価委員を招聘し謝金等支出した。
 ・ポストドクター2名、研究補助員1名を雇用しメタボロミクスシステムによる検体測定の業務を行った。
 ・バイオバンク開設のための研究棟改修工事を行った。