◆ V. 研修内容

●一般目標:
脳卒中患者、脊髄損傷患者などを指導医とともに主治医として、あるいは、併診医として受け持つ。
運動機能障害、認知機能障害のリハビリを知り、必要に応じて治療計画を立てて訓練処方を出せるようになる。
リハビリ的検査、手技を知る。
廃用症候群を理解し、各科の医療を行う際に、過剰な安静状態とならないように配慮できる。
以上、リハビリ医学をよく理解した臨床医となる基礎を習得すると同時に、将来、リハビリ専門医になるにあたって最良の臨床経験を積む。

臨床のみならず、研究・教育も奨励する。相乗効果で臨床能力が高まる。
大学院進学も積極的に勧めている。研修後の海外留学も勧めている。

●行動目標:
1)基本事項:リハビリに関連する職種名とその内容を知る。リハビリの問題点を機能障害、能力低下、社会的不利に分類する。安静の弊害を知る(廃用症候群)。運動学を知る(筋の作用、関節運動など)。運動学習を知る(各種療法の意味)。リハビリカンファレンスに出席し、チームアプローチを知る。脳卒中の運動麻痺、ADLの予後を知る。脊髄損傷の損傷高位と達成活動レベルとの関係を知る。リハビリを必要とする原疾患の医学的管理を行う。
2)評価:以下の評価方法を知り、実践する。面接技法。徒手筋力検査 (MMT)。関節可動域 (ROM)。中枢性麻痺 (Brunnstrom stage)。脳卒中機能評価法 SIAS (Stroke Impairment Assessment Set)。ADL (FIM: Functional Independence Measure)。標準失語症検査 (SLTA: Standard Language Test for Aphasia)。半側視空間無視検査。
3)訓練処方:歩行訓練、筋力増強訓練、関節可動域訓練、ADL訓練。装具・義足、車椅子、家屋改造立案。嚥下訓練、言語訓練、構音訓練。注意・記憶障害管理。物理療法。
4)対応・検査・治療手技:移乗・移動基本技術。神経伝導検査・筋電図・誘発電位。嚥下造影・嚥下内視鏡 。尿流動態検査・膀胱尿道造影。歩行分析、動作分析。神経・筋ブロック。頭部CT・MRIなど画像診断。
5)研究:リハビリ全般に渡る多彩な研究テーマがある。特に嚥下障害、トレッドミル歩行、装具、ロボット、動作分析、運動学習、脳卒中の障害構造、高次脳機能障害、障害モデル動物などについて最高の研究環境が整っている。日本リハビリ医学会、国際リハ医学会、その他のリハビリ関連への参加・発表が奨励されている。
6)教育:同医学部においては4年生のリハビリ系統講義、1年生のアーリーエクスポージャー、5年生のクリニカルクラークシップ、6年生のCM-E、CM-I、CM-IIなどで教育を行っている。その一部を担当する。藤田保健衛生大学医療科学部リハビリ学科の授業も受け持つ。他者に教える機会を通じ、自己知識を整理する。