追加の質問の答え
**科専門医,卒後**年目のQ先生.リハビリの研修を希望して当講座に来て3ヶ月目.現在感じているリハビリテーション医学・医療について尋ねました. |
Q4: 「患者さんを幸せにする手段をリハビリはたくさん持っている気がします.」とありますが,具体的には,どんな手段を指しますか? |
A4: すみません.これは私もまだ勉強中なので,あまり言えませんが,装具や車椅子もその1つだと思います.適切な車椅子や装具を提供することで,患者さんの行動範囲が広がれば少しでも幸せになれると思いますし. あと,具体的な退院後のプランを示すことができるということも患者さんにとって,今後の不安が取り除かれると思います. |
◆ 才藤教授のコメント:
・手に着けた技術も尊いものですが,有効な考え方をもつことも重要です.
・活動の生理学的意味合い(活動-機能-構造連関,特に廃用)は,今までの医療では,ほとんど注意されていない観点です.しかし,この観点をもって治療すれば,慢性疾患や障害を持った患者さんに起こりやすい様々な医学的問題を事前に知り,防ぐことができます.さらに,リハビリテーション医は,これらの患者さんに起こりやすい,例えば,神経因性膀胱・直腸の問題,摂食・嚥下障害,疼痛,痙縮,拘縮などの具体的な診断・対処法を身につけています.従って,リハビリテーション医は,慢性疾患や障害を残す疾患を持つ患者さんの主治医としてとても有能です.
・治療的学習という概念は,医学部ではほとんど習わないことです.学習や教育という人の行動を変える知識・技術を持つ医者がリハビリテーション医です.
・道具の利用も大切です.義肢や装具,そして,環境制御装置など,障害者にとって便利な道具がたくさんあります.最近では,電極とコンピュータで麻痺した筋肉を動かす「機能的電気刺激(FES)」といういわばサイボーグを造る方法論が進歩しつつあります.これらの技術の適応や調整をするためには,人体構造・機能を活動という視点でまとめた「運動学」という知識が必要です.リハビリテーション医は,運動学を知っている医者です.
・もちろん,医療と福祉をつなぐという今世紀前半の医療課題の役割を担う中核もリハビリテーション医です.
2002.8.10 Layout by Shigeru S