本人のコメント (藤井 航)

この度,大塚Award優秀論文賞を受賞することができました.ご指導いただきました馬場尊先生,才藤栄一先生をはじめ,ともに研究を進めていただいた藤田保健衛生大学の嚥下研究班の皆様に,深く感謝を申し上げます.

この論文は,私がリハビリテーション医学講座の大学院在学中に学位論文の一部として執筆したものが元となっています.

藤田保健衛生大学リハビリテーション医学講座では以前から,咀嚼—嚥下連関(Chew-Swallow Complex)の研究が嚥下造影(VF)を用いてすすめられており,その成果は柴田斉子先生がリハビリテーション医学最優秀論文賞を,松尾浩一郎先生が日本摂食・嚥下リハビリテーション学会論文賞を受賞するなど高く評価されています.その研究の一環として,ビデオ内視鏡(VE)を用いた若年健常群の咀嚼嚥下を含めた嚥下反射運動の観察から,咀嚼嚥下の評価に関するVEの有用性を検証しました.VEによる嚥下動態の観察では,内視鏡先端位置を変えることで,whiteout周辺事象として,喉頭蓋の飜転と復位,披裂間切痕の閉鎖,食塊進行の同定が可能であることを示しました.咀嚼嚥下では嚥下反射開始直前に披裂間切痕が閉鎖していない場合が多く,気道防御に影響すると考えられました.これらのことからVEを用いた咀嚼嚥下評価の妥当性が検証できました.

今回の受賞を励みに,これからも摂食・嚥下リハビリテーションに少しでも貢献できたらと思います.今後ともご指導ご鞭撻の程よろしくお願い申し上げます.

2006.9.15 SS