第46回
日本リハビリテーション医学会中部・東海地方会

 

開始時間:9:30(受付開始 9:00)

会場:名古屋市立大学病院 中央診療棟3階 大ホール

名古屋市瑞穂区瑞穂町川澄1

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般演題 9:30 - 12:00 受付開始9:00

 

座長 聖隷三方原病院 片桐伯真

 

1. 脊髄損傷者の復職の現状と当院における復職支援について

.中部労災病院リハビリテーション科
渡邊友恵,久賀えみか,八谷カナン,田中宏太佳

リハビリテーション医学では,長期ゴールのひとつに,就労や復職があると位置づけられている.脊髄損傷者(以下,脊損者)の障害は重度であることが多いが,しっかりとした健康管理を実施し,適切な作業管理・作業環境管理を行うことで,重度障害の患者でも残存能力を活用して安定して業務を遂行している症例も経験する.今回我々は,平成22年8月〜平成29年9月に当院に入院した新規脊損者のうち,受傷時に仕事を有していた者に,退院後の復職に関するアンケート調査を実施した.この結果,脊損者の復職率は4割程度で,多くの者が配置転換や勤務形態の変更を行い復職している事が確認された.年齢・性別・麻痺の程度や排泄管理方法,獲得したADLなど復職に関わる因子について検討するとともに,復職者の働き方や医療機関での支援について,文献的な考察を交えて報告する.

 

2. 高齢眼科リハビリテーションの一例(白杖を使わなかった症例)

1本郷眼科・神経内科
2コスモス眼科
1高柳泰世,2川部幹子, 1山本 潔,1坂部 司

視覚障害者の日常生活において,歩行は基本中の基本となる.視覚障害リハビリテーションワーカーは中途視覚障害者にとっては必要不可欠な指導者である.私共は1981年から歩行訓練を重視してきた.多くは白杖単独歩行を目標にしてきたが,今回は腰痛のため白杖は使えなかったので,普段使っているウオーキングポールによる歩行訓練をしたので,報告する.

 

 

  1. HAL?を用いた当院での歩行訓練効果

NHO東名古屋病院脳神経内科
犬飼 晃,榊原聡子,見城昌邦,横川ゆき,饗場郁子

【目的】Hybrid Assistive Limb (HAL?)歩行訓練効果を考察する.【対象】入院しHAL?訓練を実施した23名【方法】HAL?装着歩行時間約20分/回,2-3回/週,合計9回の訓練を実施.【結果】2分間歩行距離: 86.7±39.9m→113.6±43.9m (p<0.001).6m歩行時間: 7.4±4.0秒→5.9±2.7 秒(p=0.002).BBS: 30.2±17.2→33.8±17.8 (p=0.003)と改善.等尺性膝伸展筋力は変化なし.【結論】HAL?訓練は,神経回路再構成を促進し,歩行を改善すると考えた.

 

4. 回復期リハビリテーション病棟におけるロボットスーツHAL?医療用下肢タイプの経験
1尾西記念病院リハビリテーション科
2一宮西病院脳神経内科
3一宮西病院リハビリテーション科
4愛知淑徳大学健康医療科学部
1杉本友宏,1岩田 淳,1長谷川直紀,1上村直也,1北村正彦,1山村裕明,2山口啓二,3牧本卓也,
4和田郁雄

当院でロボットスーツHAL?医療用下肢タイプ(以後,HAL?)治療を導入して2年が経過した.脳卒中患者でHAL?を施行した症例の治療成績を検討したので報告する.症例は,回復期に転院されたHAL?治療を希望された患者である.介入前後で10m歩行の計測(歩行速度,歩幅,歩行率)および副次評価項目(BRS,FAC, BBS, FMA, FIM)の計測を行い,その治療効果を検討した.回復期でもHAL?使用により,歩行速度は改善傾向があった.

 

5. リハビリテーションに難渋した軽微な外傷後に進行した脆弱性骨盤骨折の一例
三仁会あさひ病院リハビリテーション科
後藤正成,猪田邦雄,河村美穂

脆弱性骨盤骨折は近年増加傾向にある.一般の高エネルギー外傷とは異なる病態を有し,未だ体系化された治療プロトコールは存在しない.今回われわれはリハビリテーションに難渋した軽微な外傷後に進行した脆弱性骨盤骨折の一例を経験したので,若干の考察を加えて報告する.

 

座長 聖稜リハビリテーション病院 五十嵐有紀子

 

6. 脳卒中リハビリテーション帰結に対する2つの阻害因子の影響の視覚化と有意差検討
1藤田医科大学医学部リハビリテーション医学II講座
2藤田医科大学七栗記念病院リハビリテーション部
3藤田医科大学医学部連携リハビリテーション医学講座
1渡邉克章,1園田 茂,2渡邉 誠,2奥山夕子,3岡負p人,1岡本さやか,1水野志保,1竹尾淳美,
1松原正典,1佐々木駿

回復期リハビリテーション病棟の脳卒中患者のうち,両片麻痺例,再発例,入院中急変などがあった例,退院時FIMが入院時よりも低かった症例を除外した2,636例を対象とした.入院時SIAS垂直性とFIM認知項目得点の組合せで,FIM運動項目利得,効率がどう変化するかを検討するのに,等高線図での視覚化と,組合せ同士の検定結果を比較したので報告する.

 

 

7. 穂の国脳卒中地域連携パス(広域)の作成とアウトカムデータ
医療法人鳳紀会可知病院リハビリテーション科
可知裕章,八木 了,杉原寛治

東三河地区(豊橋,豊川,蒲郡,田原,新城,北設)は以前各々が個別で連携パスを運営していた為,市を跨いでの患者のやりとりが煩雑となり,各連携会議で様式が違うためデータの項目の相違があり分析が困難であった.そこで東三河地区の様々な医療機関/介護保険事業所等で構成される穂の国脳卒中医療連携研究会を発足した.そこで地域連携パスを作成し,2013年度より運用を開始した.今回2013年より2018年までのアウトカムデータを収集・分析したので加えて報告する.

 


 

 

8. 低速度歩行対応型3D加速度計モニタリングシステムを用いた入院中から退院後のシームレス活
動量評価の試み
藤田医科大学医学部ロボット技術活用地域リハビリ医学講座
松浦広昂,太田喜久夫

回復期リハビリテーション病棟では,機能回復の促進とともに生活全般の活動性向上が退院後の生活機能の維持向上に重要である.入院中から活動的な生活を定着させる方法の一つとして,活動量を視覚的にフィードバックさせることが有用と報告されている.当院では,2019年9月から歩行速度が0.6m/sec以上であれば正確に歩行数が測定可能な3D加速度計(J-style)を用いたモニタリングシステムを用いて歩行数を測定し,視覚フィードバックを用いた活動量向上を意識化させる指導を開始し,入院中の歩行習慣の定着化と退院後の生活指導を試みている.今回は,入院例15名および退院後も評価した3例の使用経験について報告する.

 

 

9. 慢性期不全対麻痺患者に対して三次元歩行分析を用いて装具を検討した1例
1藤田医科大学医学部リハビリテーション医学I講座
2藤田医科大学病院リハビリテーション部
3東名ブレース株式会社
1竹中 楽,1角田哲也,1平野 哲,2大迫春輝,3大橋司雅,1柴田斉子,1大高洋平

40歳代男性.急性大動脈解離後の脊髄梗塞により不全対麻痺が残存し,1年経過した時点で当院へ紹介.外来リハビリテーションにて筋力増強訓練や,両側金属支柱付き短下肢装具を使用した歩行訓練を行った.筋力や歩行能力の改善に伴い,三次元歩行分析を用いて最適な装具の種類やSVA(shank to vertical angle)などの条件を検討した.その結果,背側シェル(前面支持構造)とSPS-AFO(Short Posterior Strut-AFO)を組み合わせ,皮膚や疼痛のトラブルに配慮したオーダーメイドの装具を作製したため,報告する.

 


 

10. 回復期リハビリテーションにおける歩容と歩行効率改善の客観評価:脳卒中後の1症例におけ
る検討
藤田医科大学医学部リハビリテーション医学I講座
八木橋恵,向野雅彦,前田寛文,柴田斉子, 加賀谷斉,才藤栄一, 大高洋平

症例は59歳男性.右被殻出血に対し急性期病棟にて保存的に加療されたのち,第13病日に回復期リハビリテーション病棟に転棟した.入棟時,重度の左片麻痺を認め,ADLに重介助を要していた.9週間の歩行訓練を実施し,T字杖および短下肢装具を用いて歩行は修正自立し,自宅退院した.今回歩行再建にあたり,三次元歩行分析を用いた歩容評価および歩行効率の評価により,歩行能力の改善の継時的な検討を行ったため報告する.

 

 

座長 順天堂大学医学部附属静岡病院 田沼 明

 

11. 視床出血後の下肢痙性麻痺に対して,神経ブロック療法前後でのAKIRAによる歩行解析を行っ
た1例
浜松医科大学附属病院リハビリテーション科
高嶋俊治,渡邉浩司,安田千里,永房鉄之,山内克哉

64歳男性.X−3年に左視床出血を発症した.右片麻痺がありX年に歩容改善・痙性改善目的に当科紹介受診.右上肢にボトックス療法,右下肢痙性麻痺に対してフェノールによる脛骨神経ブロックを行った.MAS:膝関節2→1,足関節1+→1に改善し,足関節のクローヌスも消失した.ブロック療法前後の歩行変化を,マーカーを使わずに可動域や歩行速度を解析できるMobile Motion Visualizer 鑑(AKIRA)を使用して評価を行ったので報告する.


 

 

12. 当院における頚髄損傷患者の嚥下障害
1藤田医科大学医学部連携リハビリテーション医学講座
2藤田医科大学七栗記念病院リハビリテーション部
3藤田医科大学医学部リハビリテーション医学U講座
1岡負p人, 2冨田早紀,3水野志保,3岡本さやか,3園田 茂

【はじめに】臨床では頚髄損傷患者に嚥下障害が合併することをしばしば経験するがその報告は少ないため,当院での現状を調査した.【方法】2010年から2017年に当院回復期リハビリテーション病棟に入院した頚髄損傷患者80名を対象に後方視的に調査した.【結果】15.9%に嚥下障害を認め高齢者に多かった.【考察】嚥下障害の原因は不明であるが,合併率は少なくないため,積極的に対応する必要がある.

 

 

13. 入院患者の誤嚥性肺炎予防に用いる酒石酸吸入と,外来での吸入継続の取り組み
1浜松市リハビリテーション病院リハビリテーション科
2浜松市リハビリテーション病院看護部
3聖隷淡路病院リハビリテーション科
1杉 貴文,2田中直美, 1,3重松 孝, 1藤島一郎

【背景】食物を誤嚥した際には咳(むせ)による喀出が一般的であるが,むせを認めなかったり,自己喀出困難できず喀出を促すこともある.当院ではVF時にむせを認めない誤嚥や自己喀出困難なケースに対して10%酒石酸入り生理食塩水の吸入で自己喀出を促している.また,咽喉頭の感覚障害を簡便に評価することもできる.有効なケースは病棟場面でも継続して使用し誤嚥性肺炎再発予防に効果があった症例を経験している.最近では退院後も酢酸入り生理食塩水を代用として吸入を指導し誤嚥性肺炎の予防を試みている.吸入を継続することで誤嚥性肺炎の予防につなげる当院の取り組みについて紹介する.

 


 

14. 産学連携で開発した上肢回旋訓練機器「ぐるぐるストレッチ」の有効性
浜松医科大学附属病院リハビリテーション科
永房鉄之,山内克哉,渡邉浩司,高嶋俊治,安田千里

産学連携にて株式会社パロン(静岡市)と上肢回旋訓練機器「ぐるぐるストレッチ」を開発した.肩関節可動域訓練用で,ボードにグルグルと円を描くように渦巻き状にレールが設置されており,球状のハンドルを把持しその上を滑走させる.本機器は多軸運動を伴い,複数の単軸運動訓練を組み合わせる必要がなく訓練時間の短縮につながる.また自動運動で行え,疼痛軽減が図れる上,レール滑走式であるため振戦や運動失調のある患者にも疲労軽減を図りながら,肩関節可動域の改善が得られる.

 

 

15. リハビリテーション科医が関わった訪問リハビリテーションの診療成績
1信州大学医学部附属病院リハビリテーション科
2鹿教湯三才山リハビリテーションセンター
1,2石田ゆず,2片井 聡,1長峰広平,1池上章太,1堀内博志

平成30年度診療報酬改定では訪問リハビリテーション(訪問リハビリ)への医師の関与が強化され,医療介護連携が推進されることとなった.今回,リハビリ科医が関わった訪問リハビリ事業所での診療成績を報告する.ADLが目標に到達し訪問リハビリを終了出来たのは全例,家族と同居している利用者であり,疾患別では骨折が他疾患と比較し短期間の介入で終了出来ていた.リハビリ科医は疾患のみならず家庭環境を踏まえた訪問リハビリ計画を立案することが必要である.

 

 


 

総会
13:10 - 13:25
研修会に先立って総会を行います.ぜひご出席下さい.

 

 

専門医・認定臨床医生涯教育研修会
特別講演13:30 - 15:45 受付開始12:30

 

講演1
データベースを用いたリハビリテーション医学研究

 帝京大学医学部附属溝口病院リハビリテーション科 百崎 良
司会:浜松医科大学 山内克哉

講演2
地域医療構想における自主的協議連携体制の構築
〜愛知県病院団体協議会(あいち五病協)の取組み〜

 愛知県厚生連安城更生病院 浦田士郎
司会:浜松市リハビリテーション病院 藤島一郎

 

◎日本リハビリテーション医学会専門医・認定臨床医認定単位について
研修会認定単位:専門医は1講演毎に1単位,認定臨床医は1講演毎に10単位
 受講料    :1講演(1単位または10単位)毎に1,000円
         認定単位非取得者は単位数に関係なく受講料1,000円

 

◎認定臨床医資格要件
 認定臨床医認定基準第2条2項2号に定める指定の教育研修会(必須以外)に該当します.                                     
 平成19年度より「認定臨床医」受験資格要件が変更となり,地方会で行われる生涯教育研修会も
 1講演あたり10単位が認められます.