53回日本リハビリテーション医学会中部・東海地方会学術集会

ならびに専門医・認定臨床医生涯教育研修会

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日 時

2023 99日(土)

 

 

会 場

オンライン開催

 

 

 

 

日本リハビリテーション医学会中部・東海地方会

事務局:藤田医科大学医学部リハビリテーション医学I講座内

 


 

 

学術集会

 

般演題 9:00 - 11:30 

 

 

 

座長 名古屋市立大学医学部附属東部医療センター 青山公紀

 

 1.パーキンソン病患者に対するHAL®︎腰タイプの導入により動作障害・姿勢の改善がみられた一例

1社会医療法人宏潤会大同病院リハビリテーション科

2社会医療法人宏潤会大同病院神経内科

1熊谷健人,1村上忠洋,1手塚歩臣, 1木村仁紀,1小林尚史,2匂坂尚史

 

【症例】80代の男性でHoehn & Yahr Ⅲ度のパーキンソン病患者である.【方法】Hybrid Assistive Limb®️ 腰タイプ(以下HAL®︎腰タイプ)装着下で起立訓練を120分,12回,2週間実施した.【結果】30秒椅子立ち上がりテストは10回から18.5回,10m歩行時間は10.3秒から7.6秒,ケイデンスは108/分から123/分と改善を認め,また安静時の立位姿勢の改善も認めた.【考察】パーキンソン病患者に対してHAL®︎腰タイプを2週間用いた運動療法は有用な可能性がある.

 

 

2.記憶障害を主症状とするNMDA受容体抗体脳炎患者の長期経過一例報告

1藤田医科大学医学部リハビリテーション医学II講座

2藤田医科大学七栗記念病院リハビリテーション部

1赤塚 功,1園田 茂,1水野志保,2冨田早紀,2渡邊 誠

 

後遺症として主に記憶障害が残存するとされる抗NMDA受容体抗体脳炎を発症した34歳女性の回復期リハビリテーション,その後のフォローアップを行ったので報告する.認知リハビリテーションを受け,記憶障害等が残存しながらも自宅に退院となった.その後2年間にわたり自主トレーニングをすすめ,徐々に記憶障害が改善して料理,洗濯等のIADL動作を獲得にするに至った.

 

 


 

 

 

3.回復期病棟入院中にSlit Ventricle SyndromeSVS)をきたしたくも膜下出血・水頭症シャント術後の一例

国立長寿医療研究センター

神里千瑛,大沢愛子,前島伸一郎,加賀谷斉

 

45歳男性.偏頭痛の既往あり.X-112月右内頸動脈-後交通動脈瘤破裂によるくも膜下出血に対しコイル塞栓術施行後,腰椎-腹腔シャント術を実施.高次脳機能障害が残存し,X2月当院回復期リハビリテーション病棟転院.経過中頭痛が悪化し頭部CTにてSVSを認めた.可変式バルブのシャント圧設定が変化しており,適切な圧設定後,頭痛は消失した.本発表では症例の経過と画像評価の重要性について考察する.

 

 

4ベッドサイド眼球運動訓練で眼球運動障害が改善した両側MLF症候群と両眼外転運動障害を認めた急性期脳幹梗塞の一例

1名古屋市立大学大学院医学研究科リハビリテーション医学分野

名鉄病院脳神経内科

3名鉄病院リハビリテーション科

1,3松原弘記,2満間典雅,1村上里奈,1岡本秀貴,1植木美乃

 

脳血管疾患に伴う眼球運動障害に対するリハビリテーションは十分に確立されていない.今回,脳幹梗塞による眼球運動障害に対し眼球運動訓練を行い,良好な改善が得られた症例を経験した.症例は70歳代女性で,めまいで当院救急搬送され脳幹梗塞の診断で入院した.リハビリテーション介入時に両眼水平眼球運動障害と複視を認めた.第1病日目より120分程の眼球運動訓練と指導を実施した.第15病日目に両眼内転運動可能となり,第28病日目に両眼外転運動可能となった.本症例より,脳血管疾患に伴う眼球運動障害に対する早期の眼球運動訓練は,眼球運動機能改善に寄与する可能性が高いことが示唆された.

 

 

5.胸髄損傷に伴う排尿障害の治療と評価の考察

すずかけヘルスケアホスピタルリハビリテーション科

勝山貴博,久野智彦

 

当報告では,重度後側弯症に対する脊椎固定術後1か月で自宅内にて転倒し,Th6高位レベルの胸髄損傷(ASIA分類でAIS-C)の診断で再度固定延長術施行され,術後のリハビリテーション目的に当院入院となった70代女性の症例を報告する.入院経過において,強い両下肢麻痺とともに排尿障害を呈していた.これに対し,排尿障害改善目的として様々なアプローチを行うこととした.本症例を通じて,脊髄損傷後の神経因性膀胱による排尿障害に対する治療法と評価方法について,文献による考察も交えて報告する.

 

 

6.口嚥下と咀嚼嚥下における嚥下反射

1社会医療法人財団新和会八千代病院

2藤田医科大学医学部リハビリテーション医学I講座

3国立長寿医療研究センターリハビリテーション科部

1,2水野江美,1二宮 敬,2溝越恵里子,3加賀谷斉

 

嚥下反射遅延の評価法として,stage transition durationSTD)のように嚥下反射が生じるまでの時間を計測する方法と,嚥下反射開始時の食塊先端位置で評価する方法がある.われわれは,藤田医科大学病院で液体10ml1口嚥下と,コンビーフ4gと液体5mlの混合物を咀嚼嚥下した場合の両者を脳卒中患者181名で比較した.その結果,咀嚼嚥下では1口嚥下に比して両者のスピアマンの相関係数が小さくなった.

 

 

7.経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)の導入に難渋したCharcot-Marie-Tooth病の一例

相澤病院リハビリテーション科

大竹弘哲,柿澤昌希

 

CMTX153歳男性.40年弱の病歴で,短下肢装具と杖で通常勤務可能.6年前から睡眠時の無呼吸を指摘された.BMI20前後で,血圧が上昇しやすく,日中の眠気を自覚.簡易スクリーニングのRDIは低値だったものの,睡眠ポリグラフ検査でのAHI20超でCPAPを導入.当初機器メモリーでのAHIは高値だった.中枢性無呼吸と周期性四肢運動障害も指摘されたが,CPAPマスクのエアリークを低減させてAHIが改善し,血圧は低くなった.身体活動性の低下しやすいCMTの患者では体重や血圧の管理は重要で,SASの治療を適宜検討すべきである.

 

 

8.特定機能病院リハビリテーション病棟におけるSection GGの特徴およびFIMとの関連

藤田医科大学医学部リハビリテーション医学Ⅰ講座

福島立盛, 和田義敬, 前田寛文, 平野 哲, 大高洋平

 

2022年度診療報酬改定において,特定機能病院リハビリテーション病棟では入棟時または退院時にSection GGの測定を求められるようになった.米国においてSection GGは,Functional Independence MeasureFIM)に代わるADL評価セットとして汎用されているものの,本邦での報告はまだない.今回,20224月から20233月までに当院を入退院した患者を対象にSection GGの特徴や入退院での推移,FIMとの関連について検討したため,報告する.

 

 

 

 

座長 名古屋市立大学 村上里奈

 

9.回復期リハビリテーション病院において早期に急性期病院へ転院転帰となった症例の検討

1中東遠総合医療センターリハビリテーション科

すずかけヘルスケアホスピタルリハビリテーション科

1小笹陽子,久野智彦,1渡邉浩司

 

急性期病院から回復期リハビリテーション病院への転院後早期に,転院元の病院へ再入院となるケースがある.このような場合,患者や患者家族から前医での治療不十分や見落とし,あるいは自院での対応不十分について疑念をもたれる可能性や,患者の転帰に悪影響を与える可能性がある.私自身も,転院元の病院へ早期に転院となった症例を3例経験した.他の報告での転院転帰となった要因や考察を踏まえて報告する.

 

 

10.新規介護予防体操介入の試み −地域差による影響−

1藤田医科大学医学部連携リハビリテーション医学講座

2市立伊勢総合病院リハビリテーション部

1岡崎英人,2下村益稔,2加藤翔大

 

現在我々は地域住民の介護予防のため新規体操を作り,その導入と効果について検証を進めている.対象は地域高齢者16名中,住宅街(74.6±6.5歳),8名,漁村部(80.5±2.7歳),8名.介入時と,介入後6か月の時点での筋力などを測定し,2地域に対し混合モデルでの2元配置反復測定分散分析を用い検定した.BMI,下肢膝伸展筋力,TUGで交互作用を認めた.地域による特性を考慮しての対応が必要と考えられた.

 

 

11.住民運動器検診における骨粗鬆症スクリーニングテスト

信州大学医学部附属病院リハビリテーション科

池上章太,石田ゆず,長峰広平,宮岡嘉就,吉村智樹,大澤竜司,堀内博志

 

十分な機材を用意できるとは限らない地域住民検診で女性未治療骨粗鬆症患者を検出するために有用な方法を検討した.住民基本台帳から無作為抽出された骨粗鬆症加療歴のない5089歳女性168人の検診を行い,骨粗鬆症を検出できる身体機能テストを調べた.ロコモ度テストである2ステップテストはBody Mass Indexと組み合わせることにより効果的に未治療骨粗鬆症患者を検出するスクリーニングツールとなることがわかった.

 

 

 

 

12.マレットフィンガー装具における療養上での提起として

日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院病院総合支援部

塚川敏行

 

腱性マレットフィンガーの2症例より,指固定式装具を装着して療養生活を送る上での気づきがあり報告を行う.療養生活で苦労する代表的な場面として手洗いや入浴などの水を扱う場面が挙げられる.指の挙上や防水措置を施しての実施を診療上指導するものの,患者は生活上の障壁となり,衛生保持の上でもコロナなどの感染症の時代に不自由さが増長する.このような際に一時的に濡れても構わない,簡易な代替装具の用意の提案を行う.

 

 

13.右手全指デグロービング損傷の母指再接着・環指の中指移行術後にリハビリテーション治療を行った1

浜松医科大学医学部附属病院リハビリテーション科

山本麻里奈,高嶋俊治,小田切愛恵,李 純理,中根浩伸,佐藤知香,高橋麻美,安田千里,

永房鉄之,山内克哉

 

症例は60代男性.右手が耕運機に巻き込まれたデグロービング損傷で,母指,小指は基節骨遠位で切断,示指から環指は中手骨遠位で切断されていた.母指を再接着し,中指は環指を用いて移行術を行った.その他の指は断端形成術を行った.つまみ動作獲得を目標として作業療法を行い,つまみ動作獲得及び就労復帰となった.右手全指デグロービング損傷後のリハビリテーション治療について文献的考察を加えて報告する.

 

 

14左大腿異所性骨化除去術ADLの改善に有効であった一例

藤田医科大学医学部リハビリテーション医学講座

総合犬山中央病院

平岡繁典

 

脊髄損傷の経過において,異所性骨化はよく知られた合併症である.本症例は急性弛緩性脊髄炎によるTh11残存,ASIA:Bの脊髄損傷であったが,股関節部に異所性骨化を合併し,可動域制限が強くADLの改善に難渋した.回復期リハビリテーション病棟を退院後,他院にて異所性骨化切除術を行ったところ,可動域の改善を認めた.その後当院にて外来リハビリテーションを継続したところ,大きくADLが改善し,歩行自立となった.本症例について若干の文献的考察を加え報告する.

 

 

 

 

 

15.右人工膝関節置換術と左人工股関節置換術を同時施行した先天性無痛無汗症の一例

1名古屋大学リハビリテーション科

2総合大雄会病院リハビリテーション科

3善常会リハビリテーション病院

4愛知県医療療育総合センターリハビリテーション診療部

5名古屋大学保健学科

1山口大貴,1山口英敏,1菱田愛加,1真野頌子,1金野鈴奈,1中村匡孝,2玉井花菜子

3岡田貴士,4門野 泉,5杉浦英志,1西田佳弘

 

先天性無痛無汗症は全身の無痛を主症状とする指定難病であり,下肢を中心に骨関節外傷や関節破壊が多発することがある.今回,先天性無痛無汗症の関節破壊に対して,右TKAと左THAを同時に行った症例を経験したため報告する.

症例は39歳女性,右膝と左股関節の関節破壊により歩行困難となり,右TKAと左THAを施行され,術後理学療法を行った.術中TKA周囲骨折により免荷を要したが,理学療法では過負荷に注意し,術後6週で松葉杖歩行を習得し自宅に退院した.

 

 

 

16.反張膝に対して施行した人工膝関節置換術の1 −術後リハビリテーションについて−

信州大学医学部附属病院リハビリテーション科

吉村智樹,池上章太,石田ゆず,長峰広平,宮岡嘉就,堀内博志

 

変形性膝関節症において術前に膝が過伸展する反張膝を呈する症例は少ない.私たちは反張膝に対して施行された人工膝関節置換術(TKA)のリハビリテーションを経験したので報告する.【症例】55歳女性で,全身性関節弛緩症を合併していた.術前に8度の過伸展があり,膝動揺性に起因する歩行時痛を訴えていた.当院整形外科で後十字靭帯温存型TKAが施行され,術翌日からリハビリテーションを開始した.膝周囲筋力トレーニングに加え,通常では施行しない膝窩部へのクッション挿入による軽度屈曲拘縮を残存させる指導を行った.術後6か月の短期ではあるが,術前の疼痛は消失し,軽度屈曲位での歩容が獲得できている.

 


 

 

 

総会

12:40 - 12:50

研修会に先立って総会を行います.ぜひご参加ください.

 

 

専門医・認定臨床医生涯教育研修会

特別講演 13:00 - 15:00

講演1

神経ネットワーク可塑性とリハビリテーション治療

 

京都大学医学研究科脳機能総合研究センター・神経機能回復・再生医学講座  小金丸聡子

                 司会:名古屋市立大学 植木美乃

講演2

回復期リハビリテーション病棟での脳卒中改善に関わる諸要因

 

  藤田医科大学七栗記念病院  園田 茂

                  司会:名古屋市立大学 植木美乃

 

 

◎日本リハビリテーション医学会専門医・認定臨床医認定単位について

地方会学術集会:学会参加は専門医1単位,認定臨床医10単位

         発表筆頭演者は専門医1単位,認定臨床医10単位

参加費:1,000

 

生涯教育研修会1講演毎に専門医1単位,認定臨床医10単位

     受講料:1講演毎に1,000

         認定単位非取得者は単位数に関係なく受講料1,000

 

◎認定臨床医資格要件

認定臨床医認定基準第222号に定める指定の教育研修会(必須以外)に該当します.

平成19年度より「認定臨床医」受験資格要件が変更となり,地方会で行われる生涯教育研修会も1講演あたり10単位が認められます.

 

 

当番幹事:植木美乃 〒467-0821 名古屋市瑞穂区瑞穂町字川澄一番地

              名古屋市立大学大学院医学研究科リハビリテーション医学分野