2015 - 藤田保健衛生大学医学部 第1学年
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読書ゼミナール- 92 -4)八 谷   寛(公衆衛生学)前半9コマ「人が人を裁くということ」小坂井敏晶著 岩波新書 “この読書ゼミでは、上記テキストを用いますが、それ以外にも医学生に参考となる図書や新聞記事、論文などを、ゼミの本題に入る前に、(可能な限り)紹介します。 さて、検挙、裁判官、裁判員制度、冤罪などどこかで聞いたことがあっても詳しく知らないまま一生を過ごす人も多いと思います。本書は、裁判員制度の国際比較や冤罪の実例、心理実験結果など豊富な具体例をもとに、第I部では裁判制度を俯瞰し、第II部では冤罪の生じる仕組みを詳細に検討し、裁判の意味、裁判員制度によって市民が司法に参加することの意義についてわかりやすく解説しています。そして、第III部では、そもそも「裁き」とは破壊された社会秩序を回復するために処罰を与える対象者を「責任」という名のもとに選び出し、社会秩序の乱れにけりをつけるための社会防衛のための「虚構」であると、私たちの処罰に対する「常識」に真っ向から挑戦し、その上で、豊かな世界のために私たち一人一人がどのように考えるべきか真剣に問いかけた極めて意欲的な著作です。 このゼミを通して、皆さんとともに、真理とは何かについて考えていきたいと思います。また、ディスカッションやレポート・レジメ作成の作法など大学生として身に付けるべき基本的な事項についても、適宜指導していきます。”  一 瀬 千 穂(薬理学)後半9コマ「科学者という仕事-独創性はどのように生まれるか」酒井邦嘉著 中公新書 “私たちは、友人、家族、先輩・後輩、患者さん・・・異なる文化や背景をもつ他者と、想像することによってはじめて共感することができます。そしてこの想像力に、観察すること、根拠を求めること、論理的に説明しようとすることが加われば、それが洞察力であり、創造的な仕事を行う上で最も重要な武器となるような気がします。今年度は「想像すること」「考えること」をキーワードに、酒井邦嘉氏の「科学者という仕事」を取り上げたいと思います。 アインシュタイン、ニュートン、キュリー夫人らの言葉を通して科学者たちの真摯な姿勢やこだわりに触れ、優れた研究がどのようにして成し遂げられたのか、独創性はどのようにして生まれるのかを探りましょう。生命科学の周辺を様々な問題が取り巻く今日、医学を学び始める皆さんにささやかなエールとなれば幸いです。”

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