2015 - 藤田保健衛生大学医学部 第1学年
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読書ゼミナール- 86 -とし、地上の複雑現象そのものに潜む「普遍の原理」を探究しようとする「非線形科学」にこそそのギャップを埋める大きな可能性があると言う。そして、この「新しい自然学」ともいうべき手法において、より一層、「自然は数学の言葉で書かれている」ということを「従来にもまして思い知らされる」と。 最近では、大脳生理学、生態学、発生学といった医学に関わる問題の研究が物理学の「学術誌の誌面を飾ることも、今ではごく当たり前のこととなっている」現在、「堅固で壮麗な建築物を思わせる伝統的な物理学」の世界を俯瞰しつつ、物理学の新たな潮流について思考を巡らせてみることは、これからの医学を志す皆さんにとっても意義あることではないだろうか。この本を携えながら、自然科学、医学、物理学、数学というものに関して共に色々と考えてみませんか?”  吉 田 友 昭(生物学)後半9コマ「あるがままに自閉症です-東田直樹の見つめる世界-」東田直樹著 エスコアール “自閉症の著者が、幼少期からの記憶を振り返りながら自らの内面を吐露した稀有な随筆です。多くの自閉症のひとは対面して会話をすることは正常にできないけれど、言語を操って思考することに何の支障もないので、著者は、自分のアイデンティティと周囲の受け取り方のズレの意味をきちんと分析して読者に示してくれます。その内容は、もしかして我々も心の中のほんの一部のきしみとして持っている「オリ」のようなものにつながるものなのではないかと感じてしまいます。 本文から引用:ビールを、僕がわざと「ジュース」と言うのは「違う、ビール」と言ってもらいたいからです。また、自分のではないお皿だとわかっているのに、自分のところに置こうとするのも「それ、お母さんの」と言ってほしいからです。(中略) 答えの内容が知りたいのではなく、その言葉のリズムや音の響きが僕にとっては重要だから、思った音が聴けるまで繰り返してしまいます。    等々 文章は全体に平易で短いのですが、その内容は人間の内面の本質、認知、自我、尊厳などについて考え直させる、鋭い刃物のような輝きを持っています。将来医療に携わる上での参考という面もありますが、皆さん自らの内省の材料としてもらい、話し合いを通じてお互いを高めあうことができれば幸いです。また、本書の中で出てくる「聴く」ことの意味はおそらく大変大きいので、皆さん自身にも「聴いて思い浮かべる」体験をしてもらう予定です。”

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