2015 - 藤田保健衛生大学医学部 第1学年
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教 育 学- 47 -教育学Ⅱ(気にかける〈care〉仕方)[教育目標] 教育的な発達・成長への支援の最もオリジナルな形態は、母親による新生児の世話にあるという。教育の「教える」(teaching)という行為の半面には、いつも「育てる・世話する」(care)がある。しかし、教育を社会的な適応と狭く考えると、この「育てる」という面が疎かになるという弊害もある。教育の社会的な機能の低下やフェミニズム論の台頭などによって、この「育てる」、あるいは「気にかける〈care〉こと」のもつ意義が、この10年くらいにわかに注目されるようになってきた。男性と女性というものの考え方の違いに、男性の正義の倫理に女性のケアの倫理を対置させるという向きもある。 この言葉は、看護、社会福祉の分野では主に「ケアリング」という呼称で使われているが、この講義では、この言葉の思想と精神史的な背景を紹介しながら、教育とケアの原点について考え直す機会となることを目指したい。[学習目標] 「ケア」「ケアリング」をめぐるさまざまな見解とその背景を知る。[ 評 価 ] 定期試験の成績と授業への出席状況、レポートなどを総合的に判定して評価する。[準備学習(予習・復習等)] 講義便覧の講義予定を参照し、次回のテーマにつき予め自分でも考えておく。[担当教員] 石川 道夫 兼任教授(医療科学部)[教科書] 「ケアリングのかたち こころ・からだ・いのち」石川道夫・田辺稔編(中央法規出版)[推薦参考書] 「ケアリングのかたち2 こころと手」石川道夫編(中央法規出版)「新・哲学講義 ⑥共に生きる」川本隆史(岩波書店)「ケアリング 看護婦・女性・倫理」ヘルガ・クーゼ(メディカ出版)
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