ダビンチ低侵襲手術トレーニングセンター

臨床とタイアップした日本初の訓練施設

急速に普及が進む手術支援ロボット「ダビンチ」において、外科医の基本操作や技術の向上を目的に開設された訓練施設。
2012年4月に本学内にオープンした施設で、上部消化管外科の宇山一朗教授がセンター長を務めています。臨床と結びついたトレーニングセンターとしては日本初となり、全国から多数の医師が訪れ、技術向上のため日々研鑽を積んでいます。

施設では、ダビンチの基本操作を学ぶとともに、藤田医科大学病院の手術見学も可能です。将来的には、基礎コースの修了者を対象に、さらに高度な技術を習得できる上級コースを設置。日本におけるロボット手術の普及や発展に寄与する中心的な役割を担うべく整備を進めています。

ロボット支援手術について

ロボット支援手術は、今までの内視鏡下手術の利点をさらに向上させうる、次世代の医療革新の一端を担った分野です。

サージョンコンソール

図1.サージョンコンソール

手術医療の世界において、手術機器の開発は止まることなく現在も進んでおり、そのひとつがRobotic Surgery ロボット手術です。
現在、最も市場に普及しているロボットは、内視鏡下手術支援ロボットといわれるda Vinci Surgical System(Intuitive Surgical, Inc.、以下、ダビンチ)です。2014年12月において世界では3170台、本邦では179台が納入されており、現在も泌尿器科領域や産婦人科領域を中心にさらに急増しています。
ダビンチ支援下手術では、執刀医はサージョンコンソールという、いわばコックピットで手術をおこないます(図1)。ビューポートをのぞき込み、三次元表示モニターを見ながら、手では2本のマスターコントローラーを、足ではフットスイッチを操作することによって手術をおこないます。

ペイシャントカート

図2.ペイシャントカート

実際に手術をおこなうのはダビンチのペイシャントカート(図2)です。ペイシャントカートは、サージョンコンソールより発せられた執刀医の指示を忠実におこないます。ペイシャントカートには専用カメラの装着アーム1本と、ダビンチ用の鉗子の装着アームが2または3本あります。ダビンチの鉗子は多関節の高性能鉗子で、さまざまなタイプの鉗子や尖刀などが準備されています。また、術者の手と鉗子の動きの縮小倍率を調整することができるスケーリング機能や、術者の手の震えを除去できる手ブレ防止機能がついています。

このダビンチを用いると、腹腔鏡下手術の弱点である鉗子動作の制限や二次元での操作などといった問題点が克服でき、より安定した精度の高い手術が可能となります。